ライトノベル文庫でミステリー物はどれぐらい出てるんだろう?(19年12月~23年12月暫定)

※流石に全体を網羅して調べるという情報収集力も統計力も気力も時間もなかったので、2019年12月から23年8月、暫定で23年10月までの範囲に絞って、「文庫のラノベ」で「ミステリ」ものか、あらすじなどから推測される作品をリストアップしてみました。(リストについては最後の方に) (11/23 23年12月刊行分まで追記 『薬屋のひとりごと』追記)

 

  ◆  ◆  ◆  ◆

 

<<だいたいのジャンル傾向>>

※まずは、だいたいどんな傾向のミステリ系ラノベが登場しているかについて、だいたいリスト化してみました。
 なお、読んだ作品については内容を記憶する限りでだいたい把握していますが、それ以外については繰り返しますがほんまにだいたいな分類です。

【推理 警察 警察ミステリー】
ユア・フォルマ
アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班


【推理 職業探偵】
また殺されてしまったのですね、探偵様
霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない
名探偵は推理で殺す
お兄様は、怪物を愛せる探偵ですか?


【推理 学園が舞台の青春ミステリ―】
生徒会探偵キリカ
探偵くんと鋭い山田さん
シュレディンガーの猫探し
ナゾトキ女とモノカキ男
忘れえぬ魔女の物語
迷探偵の条件
明日の罪人と無人島の教室
呪われて、純愛。
僕らは『読み』を間違える
シャーロック+アカデミー
不死探偵・冷堂紅葉

 

【推理 (探偵以外の)専門職】
薬屋のひとりごと

 

【推理 素人】
マーディスト ―死刑囚・風見多鶴―
君はこの「悪【ボク】」をどう裁くのだろうか?
ミリは猫の瞳のなかに住んでいる
30ページでループする。そして君を死の運命から救う。


【推理 スパイ】
スパイ教室
パーフェクト・スパイ
スパイ≒アカデミー 真実を惑わす琥珀


【特殊設定ミステリー 伝奇 サスペンス】
シュレディンガーの猫探し
霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない
不可逆怪異をあなたと
お兄様は、怪物を愛せる探偵ですか?
魍魎探偵今宵も騙らず
獄門撫子此処二在リ


【特殊設定ミステリー 推理バトル 人狼】
探偵はもう、死んでいる。
スパイ教室
死亡遊戯で飯を食う。
名探偵は推理で殺す
シャーロット・ホームズは推理しない
超探偵事件簿 レインコード オレ様ちゃんはお嫁さん!?


【特殊設定ミステリー SF】
ユア・フォルマ
また殺されてしまったのですね、探偵様
アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班
死亡遊戯で飯を食う。
EVE ―世界の終わりの青い花―


【特殊設定ミステリー ファンタジー 超自然】
シュレディンガーの猫探し
ナゾトキ女とモノカキ男
忘れえぬ魔女の物語
探偵はもう、死んでいる。
楽園殺し
また殺されてしまったのですね、探偵様
霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない
アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班
SICK ―私のための怪物―
君はこの「悪【ボク】」をどう裁くのだろうか?
名探偵は推理で殺す
不可逆怪異をあなたと
ミリは猫の瞳のなかに住んでいる
お兄様は、怪物を愛せる探偵ですか?
30ページでループする。そして君を死の運命から救う。
不死探偵・冷堂紅葉
魍魎探偵今宵も騙らず
シャーロット・ホームズは推理しない
異世界転生事件録 人見知り令嬢はいかにして事件を解決したか?
超探偵事件簿 レインコード オレ様ちゃんはお嫁さん!?
獄門撫子此処二在リ

※【特殊設定ミステリー ファンタジー 超自然】に挙がるタイトルが一番大きなグループとなってる辺り、実にラノベらしい自由さが顕著ですね。
あと、【特殊設定ミステリー】の各グループに属さないタイトルは、おおよそ特殊能力・異能力に頼らない作品となるかなぁとか。ただ、更に舞台設定の特殊性を除くなら、個々に内容を確認するしかないかも。

 

  ◆  ◆  ◆  ◆

 

<<新規作品リスト>>

※次に、リストアップしたついでで、その年に出てる新シリーズ(第1巻)の作品をリストアップしてみました。こちらは2020年から。

(敬称略 お名前の順は「作者/イラストレーター」)

 

※[レーベル 冊数(新規作品数)] □自分が未読 ●既読


【2020年】
 4作品[富士見2 ガガガ1 MF1]

富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室01 《花園》のリリィ  竹町/マリ
□ナゾトキ女とモノカキ男。 未来を写すカメラと人体消失 辻室翔/うなさか

ガガガ文庫
●シュレディンガーの猫探し 小林一星/左

MF文庫J
●探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる  具堂/悠理なゆた

 

※[レーベル 新規作品数] □自分が未読 ●既読

【2021年】
 7作品
[電撃1 ガガガ2 MF2 スニーカー1 GA1]

電撃文庫
●ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 菊石まれほ/野崎つばた

ガガガ文庫
□楽園殺し 鏡のなかの少女 呂暇郁夫/ろるあ
●霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない 綾里けいし/生川

MF文庫J
●また殺されてしまったのですね、探偵様 てにをは/りいちゅ
●迷探偵の条件1 日向夏/magako

角川スニーカー文庫
□マーディスト ―死刑囚・風見多鶴― (上) 半田畔/灰染せんり

GA文庫
●忘れえぬ魔女の物語   宇佐楢春/かも仮面


※[レーベル 新規作品数] □自分が未読 ●既読

【2022年】
 11作品
[電撃5 富士見1 ガガガ1 MF1 スニーカー1 HJ1 講談社1]

電撃文庫
□明日の罪人と無人島の教室 周藤蓮/かやはら
●アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班 駒居未鳥/尾崎ドミノ
●呪われて、純愛。 二丸修一/ハナモト
□君はこの「悪【ボク】」をどう裁くのだろうか? 二丸修一/champi
□パーフェクト・スパイ 芦屋六月/タジマ粒子

富士見ファンタジア文庫
●名探偵は推理で殺す 依頼.1 大罪人バトルロイヤルに潜入せよ 輝井永澄/マシマサキ

ガガガ文庫
□SICK ―私のための怪物― 澱介エイド/花澤明

MF文庫J
●死亡遊戯で飯を食う。  鵜飼有志/ねこめたる

角川スニーカー文庫
●腕を失くした璃々栖 ~明治悪魔祓師異譚~  明治サブ/くろぎり

HJ文庫
□EVE ―世界の終わりの青い花― 佐原一可/刀彼方

講談社ラノベ文庫
□十五の春と、十六夜の花 ―結びたくて結ばれない、ふたつの恋―  界達かたる 古弥月


※[レーベル 新規作品数] □自分が未読 ●既読

【2023年~11月~12月暫定】
 16作品
[電撃4 富士見3 ガガガ2 MF5 スニーカー2 GA1 オーバー1]

電撃文庫
●不可逆怪異をあなたと 床辻奇譚  古宮九時/二色こぺ
●ミリは猫の瞳のなかに住んでいる  四季大雅/一色
●30ページでループする。そして君を死の運命から救う。 秋傘水稀/日向あずり
□双子探偵ムツキの先廻り  ひたき 桑島黎音

富士見ファンタジア文庫
□スパイ≒アカデミー 真実を惑わす琥珀 1  武葉コウ/色塩
□超探偵事件簿 レインコード オレ様ちゃんはお嫁さん!? 1 篠宮 夕/おむたつ
魔術探偵・時崎狂三の事件簿 橘公司 つなこ

ガガガ文庫
お兄様は、怪物を愛せる探偵ですか?  ツカサ/千種みのり
獄門撫子此処二在リ  伏見七尾/おしおしお

MF文庫J
魔女の怪談は手をつないで 星見星子が語るゴーストシステム  サイトウケンジ ぷらこ
魍魎探偵今宵も騙らず  綾里けいし/モンブラン
シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する  紙城境介/しらび
夏凪渚はまだ、女子高生でいたい。1 探偵はもう、死んでいる。Ordinary Case 月見秋水/はねこと
探偵に推理をさせないでください。最悪の場合、世界が滅びる可能性がございますので。  夜方宵 美和野らぐ

角川スニーカー文庫
□異世界転生事件録 人見知り令嬢はいかにして事件を解決したか? 1 鏑木ハルカ/フルーツパンチ
●誰が勇者を殺したか  駄犬/toi8

GA文庫
●不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で  零雫/美和野らぐ

オーバーラップノベルス
□シャーロット・ホームズは推理しない ~人狼って推理するより、全員吊るした方が早くない?~ 中島リュウ/キッカイキ

  ◆  ◆  ◆  ◆


<<年ごとの刊行リスト>>

※最後に、2019年12月から23年11月、暫定で23年12月までのライトノベル文庫でミステリー物の作品をだいたい列挙したリストを掲載します。


※[レーベル 冊数(新規作品数)] □自分が未読 ●既読


【2019年】

12/18
●生徒会探偵キリカS1  杉井光/ぽんかん(8)
●天才美少女生徒会長が教える民主主義のぶっ壊し方 生徒会探偵キリカ 番外  天王寺狐徹/ぽんかん(8)

 

※[レーベル 冊数(新規作品数)] □自分が未読 ●既読

【2020年】
13冊[富士見5(2) ガガガ2(1) MF5(1) ヒーロー1(0)]

1/18 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室01 《花園》のリリィ  竹町/トマリ

1/24 MF文庫J
●探偵はもう、死んでいる。2  二語十/うみぼうず

2/28 ヒーロー文庫
□薬屋のひとりごと9 日向夏 しのとうこ

4/17 富士見ファンタジア文庫
スパイ教室02 《愛娘》のグレーテ  竹町/トマリ

5/25 MF文庫J
●探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる  玩具堂/悠理なゆた

6/18 ガガガ文庫
●シュレディンガーの猫探し  小林一星/左

6/25 MF文庫J
●探偵はもう、死んでいる。3  二語十/うみぼうず

8/20 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室03 《忘我》のアネット  竹町/トマリ

10/24 MF文庫J
●探偵くんと鋭い山田さん2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる 玩具堂/悠理なゆた

11/25 MF文庫J
●探偵はもう、死んでいる。4  二語十/うみぼうず

12/18 ガガガ文庫
●シュレディンガーの猫探し2  小林一星/左

12/19 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室04 《夢語》のティア  竹町/トマリ
□ナゾトキ女とモノカキ男。 未来を写すカメラと人体消失 辻室翔/うなさか

 

※[レーベル 冊数(新規作品数)] □自分が未読 ●既読

【2021年】
 20冊
[電撃3(1) 富士見4(0) ガガガ4(2) MF4(1) スニーカー1(1) GA2(1) ヒーロー2(0)]

1/14 GA文庫
●忘れえぬ魔女の物語   宇佐楢春/かも仮面

1/29 ヒーロー文庫
□薬屋のひとりごと10 日向夏 しのとうこ

3/10 電撃文庫
ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 菊石まれほ/野崎つばた

3/19 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル 竹町/トマリ

4/14 GA文庫
●忘れえぬ魔女の物語2  宇佐楢春/かも仮面

4/30 ヒーロー文庫
□薬屋のひとりごと11 日向夏 しのとうこ

5/20 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室05 《愚人》のエルナ   竹町/トマリ

5/25 MF文庫J
●探偵はもう、死んでいる。5  二語十/うみぼうず

6/10 電撃文庫
●ユア・フォルマ II 電索官エチカと女王の三つ子 菊石まれほ/野崎つばた

6/18 ガガガ文庫
楽園殺し 鏡のなかの少女  呂暇郁夫/ろるあ

7/21 ガガガ文庫
●シュレディンガーの猫探し3  小林一星/左

8/25 MF文庫J
●また殺されてしまったのですね、探偵様  てにをは/りいちゅ

9/18 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室06 《百鬼》のジビア  竹町/トマリ

9/18 ガガガ文庫
楽園殺し2 最後の弾丸  呂暇郁夫/ろるあ


10/25 MF文庫J
●迷探偵の条件1  日向夏/magako

11/10 電撃文庫
●ユア・フォルマ III 電索官エチカと群衆の見た夢  菊石まれほ/野崎つばた

11/18 ガガガ文庫
●霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない  綾里けいし/生川

11/25 MF文庫J
●探偵はもう、死んでいる。6  二語十/うみぼうず

12/18 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室 短編集02 私を愛したスパイ先生 竹町/トマリ


12/24 角川スニーカー文庫
□マーディスト ―死刑囚・風見多鶴― (上)  半田畔/灰染せんり

 

※[レーベル 冊数(新規作品数)] □自分が未読 ●既読

【2022年】
 28冊
[電撃10(5) 富士見4(1) ガガガ3(1) MF5(1) スニーカー3(2) HJ1(1) ヒーロー1(0) 講談社1(1)]

2/1 角川スニーカー文庫
マーディスト ―死刑囚・風見多鶴― (下)  半田畔/灰染せんり

2/25 MF文庫J
●また殺されてしまったのですね、探偵様2 てにをは/りいちゅ

3/19 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室07 《氷刃》のモニカ  竹町/トマリ

4/8 電撃文庫
●ユア・フォルマ IV 電索官エチカとペテルブルクの悪夢  菊石まれほ/野崎つばた

5/25 MF文庫J
●また殺されてしまったのですね、探偵様3  てにをは/りいちゅ

6/10 電撃文庫
□明日の罪人と無人島の教室  周藤蓮/かやはら

6/17 ガガガ文庫
●霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない2 綾里けいし/生川

7/8 電撃文庫
●アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班 駒居未鳥/尾崎ドミノ

7/20 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室08 《草原》のサラ  竹町/トマリ

7/29 ヒーロー文庫
□薬屋のひとりごと12 日向夏 しのとうこ

8/18 ガガガ文庫
□SICK ―私のための怪物―  澱介エイド/花澤明

8/25 MF文庫J
●探偵はもう、死んでいる。7  二語十/うみぼうず

9/9 電撃文庫
●アマルガム・ハウンド2 捜査局刑事部特捜班  駒居未鳥/尾崎ドミノ

10/7 電撃文庫
●呪われて、純愛。  二丸修一/ハナモト
□明日の罪人と無人島の教室2  周藤蓮/かやはら

10/20 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室 短編集03 ハネムーン・レイカー  竹町/トマリ

10/25 MF文庫J
●また殺されてしまったのですね、探偵様4  てにをは/りいちゅ

11/1 HJ文庫
□EVE ―世界の終わりの青い花―  佐原一可/刀彼方

11/10 電撃文庫
●呪われて、純愛。2  二丸修一/ハナモト

11/25 MF文庫J
●死亡遊戯で飯を食う。  鵜飼有志/ねこめたる

12/01 角川スニーカー文庫
●腕を失くした璃々栖 ~明治悪魔祓師異譚~  明治サブ/くろぎり
●僕らは『読み』を間違える  水鏡月聖/ぽりごん。

12/9 電撃文庫
●ユア・フォルマ V 電索官エチカと閉ざされた研究都市  菊石まれほ/野崎つばた
□君はこの「悪【ボク】」をどう裁くのだろうか?  二丸修一/champi
□パーフェクト・スパイ  芦屋六月/タジマ粒子

12/20 ガガガ文庫
●霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない3 綾里けいし/生川

12/20 富士見ファンタジア文庫
●名探偵は推理で殺す 依頼.1 大罪人バトルロイヤルに潜入せよ 輝井永澄/マシマサキ

12/28 講談社ラノベ文庫
□十五の春と、十六夜の花 ―結びたくて結ばれない、ふたつの恋―  界達かたる 古弥月

 

※[レーベル 冊数(新規作品数)] □自分が未読 ●既読

【2023年~12月暫定】
 43冊
[電撃8(4) 富士見7(3) ガガガ6(2) MF13(5) スニーカー4(2) GA2(1) オーバー1(1) ヒーロー2(0)]

1/7 電撃文庫
●不可逆怪異をあなたと 床辻奇譚  古宮九時/二色こぺ

1/20 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室09  《我楽多》のアネット  竹町/トマリ

1/18 ガガガ文庫
□SICK 2 ―感染性アクアリウム―  澱介エイド/花澤明

1/25 MF文庫J
●死亡遊戯で飯を食う。2  鵜飼有志/ねこめたる
●探偵はもう、死んでいる。8  二語十/うみぼうず

2/1 角川スニーカー文庫
●僕らは『読み』を間違える2  水鏡月聖/ぽりごん。

2/25 ヒーロー文庫
□薬屋のひとりごと13 日向夏 しのとうこ

3/10 電撃文庫
●ミリは猫の瞳のなかに住んでいる  四季大雅/一色

3/17 ガガガ文庫
●お兄様は、怪物を愛せる探偵ですか?  ツカサ/千種みのり

3/17 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室 短編集04 NO TIME TO 退  竹町/トマリ

3/25 MF文庫J
□魔女の怪談は手をつないで 星見星子が語るゴーストシステム  サイトウケンジ ぷらこ

4/7 電撃文庫
●30ページでループする。そして君を死の運命から救う。 秋傘水稀/日向あずり

4/25 MF文庫J
●死亡遊戯で飯を食う。3  鵜飼有志/ねこめたる

5/25 MF文庫J
●探偵はもう、死んでいる。9  二語十/うみぼうず

6/01 角川スニーカー文庫
●腕を失くした璃々栖 弐 ~明治悪魔祓師異譚~  明治サブ/くろぎり


6/20 ガガガ文庫
●霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない(4)   綾里けいし/生川

6/23 MF文庫J
●シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する  紙城境介/しらび

7/14 GA文庫

●不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で  零雫/美和野らぐ

7/25 MF文庫J

□魍魎探偵今宵も騙らず  綾里けいし/モンブラン

7/20 富士見ファンタジア文庫

□スパイ教室(10) 《高天原》のサラ  竹町/トマリ

7/25 オーバーラップノベルス
□シャーロット・ホームズは推理しない ~人狼って推理するより、全員吊るした方が早くない?~ 中島リュウ/キッカイキ

8/01 角川スニーカー文庫
□異世界転生事件録 人見知り令嬢はいかにして事件を解決したか? 1 鏑木ハルカ

8/10 電撃文庫
□ユア・フォルマVI 電索官エチカと破滅の盟約 6 菊石まれほ

8/18 ガガガ文庫
●獄門撫子此処二在リ 伏見七尾 おしおしお

8/19 富士見ファンタジア文庫
□スパイ≒アカデミー 真実を惑わす琥珀 1 武葉コウ
□超探偵事件簿 レインコード オレ様ちゃんはお嫁さん!? 1 おむたつ

8/25 MF文庫J
□死亡遊戯で飯を食う。4 鵜飼有志
□夏凪渚はまだ、女子高生でいたい。1 探偵はもう、死んでいる。Ordinary Case 月見秋水
□シャーロック+アカデミー Logic.2 マクベス・ジャック・ジャック 紙城境介

9/8 電撃文庫
□ブギーポップは呪われる 上遠野浩平 緒方剛志

9/19 ガガガ文庫
□楽園殺し3 FES 呂暇郁夫 ろるあ

9/29 角川スニーカー文庫
●誰が勇者を殺したか  駄犬 toi8

9/29 ヒーロー文庫
□薬屋のひとりごと14 日向夏 しのとうこ

10/18 ガガガ文庫
□楽園殺し4 夜と星の林檎 呂暇郁夫 ろるあ

10/20 富士見ファンタジア文庫
□魔術探偵・時崎狂三の事件簿  橘公司 つなこ

10/25 MF文庫J
●探偵はもう、死んでいる。10  二語十 うみぼうず

11/10 電撃文庫
●ソードアート・オンライン IF 公式小説アンソロジー
  川原礫、時雨沢恵一、渡瀬草一郎、牧野圭祐、ほか 原作:川原礫 abec、黒星紅白、ぎん太、かれい、ほか

11/14 GA文庫
●不死探偵・冷堂紅葉 02.君に遺す『希望』  零雫 美和野らぐ

11/17 富士見ファンタジア文庫
□スパイ教室11 《付焼刃》のモニカ  竹町 トマリ

12/8 電撃文庫
□ソードアート・オンライン オルタナティブ
  ミステリ・ラビリンス 迷宮館の殺人  紺野天龍(原作:川原礫) 遠田志帆
□双子探偵ムツキの先廻り  ひたき 桑島黎音

12/25 MF文庫J
□探偵に推理をさせないでください。最悪の場合、世界が滅びる可能性がございますので。  夜方宵 美和野らぐ
□死亡遊戯で飯を食う。5  鵜飼有志 ねこめたる

 

  ◆  ◆  ◆  ◆

 

※このリストを作るきっかけは、7月か8月初めごろか、書店の新刊見てて(6月からなんか)ミステリっぽいラノベが次々出てない!? 読むのが追い付けない! って思った事からでした……えっと、現時点で既にいくつか手が回ってなかったり積み上げてたりしてますorz

 実際にここ数年調べてみて、刊行数も20年の12冊が今年(23年)は12月暫定集計で43冊と3倍以上、完全新作も20年の4冊から16冊にまで増えてます(23年11月23日更新)。
 冊数については『スパイ教室』シリーズや『探偵はもう、死んでいる』シリーズが巻数を重ねていますし、完結した『霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない』(全4巻)、『ユア・フォルマ』(現6巻)、『死亡遊戯で飯を食う』(現4巻)、続きが暫く出てませんが『また殺されてしまったのですね、探偵様』(現4巻)など出てます。最近でしたら、23年から始まった『不死探偵・冷堂紅葉』『シャーロック+アカデミー』が早々に続巻刊行を決めてます。調べ始める前に思ってた以上にたくさん出ているなって実感してます。


※最後に、個人的にお勧めなタイトルを。

ガガガ文庫『シュレディンガーの猫探し』  小林一星/左
GA文庫『忘れえぬ魔女の物語』  宇佐楢春/かも仮面
電撃文庫『アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班』  駒居未鳥/尾崎ドミノ
MF文庫J『また殺されてしまったのですね、探偵様』  てにをは/りいちゅ
角川スニーカー文庫『僕らは『読み』を間違える』  水鏡月聖/ぽりごん。
ガガガ文庫『お兄様は、怪物を愛せる探偵ですか?』  ツカサ/千種みのり
角川スニーカー文庫『腕を失くした璃々栖』  明治サブ/くろぎり
GA文庫  『不死探偵・冷堂紅葉』  零雫/美和野らぐ
ガガガ文庫『獄門撫子此処二在リ』  伏見七尾/おしおしお
電撃文庫 『ユア・フォルマ』  菊石まれほ/野崎つばた

(2023年 8月25日 16:48)

(2023年 11月23日 18:30 23年12月刊行分までリスト追記 『薬屋のひとりごと』など追記)

(2023年 11月23日 22:50 東大新月お茶の会さんの【note連載版】ライトノベル回顧2023 からの情報を追記)


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2023年12月 4日 (月)

『このライトノベルがすごい!2024』ムック本内での結果発表。2023年度はライトノベルミステリー流行の兆し?

※先週『このラノ2024』発表とかありましたが、その結果がまとめられたムック本の入手に手間取り(というか広島での入荷が遅いので)、更に体調不良とかも重なってしまって、結果を受けての記事を書く暇というか、記事の方向性とか考える余裕がなくて、時間をかなり置いてしまいましたorz

「2023年度はライトノベルミステリー流行の兆し?」と打って出てはいますが……ジャンルでの刊行数の増加傾向ぐらいしか、自分としてはその推定を出すに至らなかった事だけは、先にお伝えしときます。

(関連記事)

ライトノベル文庫でミステリー物はどれぐらい出てるんだろう?(19年12月~23年12月暫定)
『このライトノベルがすごい!2024』に投票してきました。

 

  ◆  ◆  ◆  ◆


<<『このラノ2024』の2023年度各結果でのミステリー作品>>


【文庫部門BEST50】 50作品中10作品
2位★死亡遊戯で飯を食う。
7位★僕らは「読み」を間違える
10位 探偵はもう、死んでいる。
12位★不死探偵・冷堂紅葉
15位 薬屋のひとりごと
17位 スパイ教室
22位★シャーロック+アカデミー
24位★さよなら、私たちに優しくなかった、すべての人々
26位★十五の春と、十六夜の花
27位★獄門撫子此処二在リ

※【今年度新作BEST25】では25作品中、★の付いた7作品


【協力者ランキング トップ30】でのラノベミステリー
2位 死亡遊戯で飯を食う。
5位 僕らは「読み」を間違える
10位 十五の春と、十六夜の花
11位 不死探偵・冷堂紅葉
13位 さよなら、私たちに優しくなかった、すべての人々
17位 シャーロック+アカデミー
19位 獄門撫子此処二在リ

 

【協力者が選ぶ!ライトノベルBEST5】より、単純に作品が挙げられた回数で、ミステリー作品(と思われる)の投票数を集計

19 死亡遊戯で飯を食う
12 僕らは『読み』を間違える
8 不死探偵・冷堂紅葉
8 十五の春と十六夜の花
6 さよなら、私たちに優しくなかった、すべての人々
5 獄門撫子此処二在リ
5 シャーロックアカデミー
2 ミリは猫の瞳のなか
1 腕を失くした璃々栖
1 不可逆怪異をあなたと
1 30ページでループする
1  呪われて、純愛
1  薬屋のひとりごと

※以上の結果から見られるのは、【文庫部門BEST50】の中でミステリーものが10作品と1/5を占めていて7作品が新規作品だという事と、それ以外にも【協力者が選ぶ!ライトノベルBEST5】で色々な作品が紹介されていた事でしょう。


  ◆  ◆  ◆  ◆


<<2023年のラノベ界隈ではラノベミステリーは増えたか?>>

※2023年度の【文庫部門BEST50】でのラノベミステリーの割合は10作品でした。これが多いか他のジャンルとの割合比較まで出してないので比べようがありませんが、過去の【文庫部門BEST】(が掲載された各年度の『このラノ』ムック本)から比較することが出来ました。

2022年度【文庫部門BEST50】 50作品中3作
8位 スパイ教室
10位 探偵はもう、死んでいる。
33位 薬屋のひとりごと

2021年度【文庫部門BEST40】 40作品中4作
8位 探偵はもう、死んでいる。
13位 スパイ教室
34位★ユア・フォルマ
39位 薬屋のひとりごと

2020年度【文庫部門BEST40】 40作品中3作
2位★スパイ教室
4位★探偵はもう、死んでいる。
35位 薬屋のひとりごと

 もしかしたらミステリー要素もある作品の見落としもあるかもしれませんが、とりあえず21年度から23年度までの【文庫部門BEST】見つける事の出来たのは4作、去年から今年にアニメ化を果たしていた『スパイ教室』『探偵はもう、死んでいる。』『薬屋のひとりごと』、アニメ化が決定してる『ユア・フォルマ』でした。2019年度以前については手元にそれらのムック本が無かったので……

 特に『スパイ教室』『探偵はもう、死んでいる。』『薬屋のひとりごと』の3作品は2023年度でも【文庫部門BEST50】に挙がっているように安定した人気がある作品となってます。

 ちなみに3作品のうちの2作品が登場した2020年度(19年9月~20年8月)の新規タイトルのラノベミステリーでは、

【2019年】

11/25 MF文庫J
探偵はもう、死んでいる。(第15回ライトノベル新人賞 最優秀賞)

12/18 講談社ラノベ文庫
天才美少女生徒会長が教える民主主義のぶっ壊し方 生徒会探偵キリカ 番外

【2020年】

1/18 富士見ファンタジア文庫
スパイ教室01 《花園》のリリィ (第32回ファンタジア大賞 大賞作を改稿)

5/25 MF文庫J
探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる

6/18 ガガガ文庫
シュレディンガーの猫探し (第14回小学館ライトノベル大賞 審査員特別賞受賞作)

といった5タイトルの作品が登場してました。『探偵くんと鋭い山田さん』『シュレディンガーの猫探し』は買って読んでましたね。更に言えば、2011年から続いていた『生徒会探偵キリカ』シリーズ10冊目に当たる最新作『生徒会探偵キリカS1』(現在出てるシリーズでは最新刊)が19年12/18に(番外編と同日で)講談社ラノベ文庫より出てた頃にもなります。

 参考に、2019年度(18年9月~19年8月)については刊行予定表でミステリっぽいタイトルかな~という感じでパッと見で調べてみましたが

富士見ファンタジア文庫 19年3/20
札幌市白石区みなすけ荘の事件簿 ココロアラウンド 辻室翔 霜月えいと

電撃文庫 19年7月10日
淫らで緋色なノロイの女王  著者:岩田 洋季 イラスト:鍋島 テツヒロ

という作品を見かけました(見落としありそう)。ただ、続巻が刊行されるような作品はこの年度では見られず、『探偵はもう、死んでいる。』までは出てないようです。

 となると、やはり2020年度の動向に、後のライトノベルミステリーの兆しが見えるのかもしれません。

 

 続いて、2021年度以降以降の新規タイトルを挙げてみます。

2021年度(20年9月~21年8月)のラノベミステリー新規作品(5作品)

【2021年】

12/19 富士見ファンタジア文庫
ナゾトキ女とモノカキ男。 未来を写すカメラと人体消失

【2021年】

1/14 GA文庫
忘れえぬ魔女の物語 (第12回GA文庫大賞金賞)

3/10 電撃文庫
ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 (第27回電撃文庫大賞 大賞)

6/18 ガガガ文庫
楽園殺し 鏡のなかの少女

8/25 MF文庫J
また殺されてしまったのですね、探偵様


2022年度(21年9月~22年8月)のラノベミステリー新規作品(6作品)

【2021年】

10/25 MF文庫J
迷探偵の条件1

11/18 ガガガ文庫
霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない

12/24 角川スニーカー文庫
マーディスト ―死刑囚・風見多鶴― (上)

【2022年】

6/10 電撃文庫
明日の罪人と無人島の教室

7/8 電撃文庫
アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班 (第28回電撃文庫大賞 選考委員奨励賞)

8/18 ガガガ文庫
SICK ―私のための怪物―


2023年度(22年9月~23年8月)のラノベミステリー新規作品(22作品)

【2022年】

10/7 電撃文庫
呪われて、純愛。

11/1 HJ文庫
EVE ―世界の終わりの青い花―

11/25 MF文庫J
死亡遊戯で飯を食う。(ライトノベル新人賞 優秀賞)

12/01 角川スニーカー文庫
腕を失くした璃々栖 ~明治悪魔祓師異譚~ (第27回スニーカー大賞 金賞)
僕らは『読み』を間違える (第27回スニーカー大賞 銀賞)

12/9 電撃文庫
君はこの「悪【ボク】」をどう裁くのだろうか?
パーフェクト・スパイ

12/20 富士見ファンタジア文庫
名探偵は推理で殺す 依頼.1 大罪人バトルロイヤルに潜入せよ

12/28 講談社ラノベ文庫
十五の春と、十六夜の花 ―結びたくて結ばれない、ふたつの恋―

【2023年】

1/7 電撃文庫
不可逆怪異をあなたと 床辻奇譚

3/10 電撃文庫
ミリは猫の瞳のなかに住んでいる (第29回電撃文庫大賞 金賞)

3/17 ガガガ文庫
お兄様は、怪物を愛せる探偵ですか?

3/25 MF文庫J
魔女の怪談は手をつないで 星見星子が語るゴーストシステム

4/7 電撃文庫
30ページでループする。そして君を死の運命から救う。

6/23 MF文庫J
シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する

7/14 GA文庫
不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で (第15回GA文庫大賞 銀賞)

7/25 MF文庫J
魍魎探偵今宵も騙らず

7/25 オーバーラップノベルス
シャーロット・ホームズは推理しない ~人狼って推理するより、全員吊るした方が早くない?~

8/01 角川スニーカー文庫
異世界転生事件録 人見知り令嬢はいかにして事件を解決したか? 1

8/18 ガガガ文庫
獄門撫子此処二在リ (第17回小学館ライトノベル大賞 大賞)

8/19 富士見ファンタジア文庫
超探偵事件簿 レインコード オレ様ちゃんはお嫁さん!? 1

8/25 MF文庫J
夏凪渚はまだ、女子高生でいたい。1 探偵はもう、死んでいる。Ordinary Case


 20年度から23年度まで見ると、それまで5~6作品だった新規タイトルが23年度では22タイトルと大幅に増えている事が分かります。

 ただ、続巻が継続的に出ているタイトルというと、上記の【文庫部門BEST】連続ランキング内の3タイトル以外ではかなり限られます。
『また死んでしまったのですね、探偵様』は4巻が刊行された22年10月以降続巻が出てませんし、伝奇アクションで勢いのあった『腕を失くした璃々栖』も2巻で完結。『シュレディンガーの猫探し』は全3巻で学校生活内から学園祭、更に田舎での因習伝奇と幅広くミステリーしてて良かったので次回作を心待ちし続けているのですが……。『アマルガム・ハウンド』3巻目が……カクヨムの方で23年4月に完結編が公開されてました『忘れえぬ魔女の物語』もコミカライズがいつ原作に追いついちゃうのか~その世界の謎に近づけるよう早く続きが読みたいです。それ以外にもナンバリングされてるけど1巻目以降音沙汰が……というタイトルもあります。もちろん1冊完結の作品もありますが。


  ◆  ◆  ◆  ◆


<<『このラノ2024』でのラノベミステリーへの注目>>

【協力者ランキング トップ30】の解説(P77)より
“また、今年はミステリものが多数出版されたことを裏付けるように、『不死探偵・冷堂紅葉』や『シャーロック+アカデミー』といったタイトルも上位に食い込んだ。果たしてミステリライトノベルは1ジャンルとして定着するのか、来年の結果を楽しみに待ちたい”

【9月以降刊行の注目の最新作】の解説(P158)より
”謎を解く――ミステリ要素が散りばめられた作品が多く刊行された2023年”
 角川スニーカー文庫『誰が勇者を殺したか』、電撃文庫『ブギーポップは呪われる』、富士見ファンタジア文庫『魔術探偵・時崎狂三の事件簿』、MF文庫J『カルネアデス』の4タイトルを紹介

【『このラノ』的ラノベ語り!!】(P190)より
”ライトノベルミステリー流行? 謎解きが物語の決め手となる”

 今回、2023年度の話題としてラノベミステリーが増えたとの声が、ランキングや企画ページでの解説、”今年はなんといってもライトノベルにミステリブームが到来した年でした(nyapoonaさんのコメント)”などの協力者の方のコメントで見受けられました。

 更に【『このラノ』的ラノベ語り!!】の解説では、その増加傾向の背景について
”ミステリーの場合では、テーブルトークゲームとして流行してきた「マーダーミステリー」を受けていることも考えられるだろう”
と考察されています。
「マーダーミステリー」ゲームについては初めて聞きました(というぐらい自分の視野が狭いのです)ので、それが影響を与えたのかについては自分には分からなかったのですが。ただ、「マーダーミステリー」についてウィキペディアの記事を見ると、GA文庫作品『月見月理解の探偵殺人』や今期2位の『死亡遊戯で飯を食う。』などが題材とした所謂「人狼ゲーム」もその派生のようですから、そうした点から見て影響があったと言えるのでしょう。

 解説の中で興味深い事といえば”ライトノベルでのミステリーは、長らく流行らないと言われてきた”とのコメントがあったり、協力者の方からのコメントでも”富士ミスやスニミスから続いた長い苦闘(nyapoonaさん)”と述べられたりされて事ですね。

※これについて、自分は『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』『生徒会探偵キリカ』『神様のメモ帳』『月見月理解の探偵殺人』と続巻を重ねたタイトルや、紙城境介さんデビュー作の『ウィッチハント・カーテンコール 超歴史的殺人事件』『クロクロクロック』『ジンクスゲーム』や二丸修一さんの『ギフテッド』などミステリー物みたいなラノベを読んでいたり、『ビブリア古書堂』シリーズというライト文芸系を読んできた……と挙げてみるだけで多彩な作品が並びますから中々実感がなかったのですが、ただ、いくつかのタイトルで数冊で完結したり、完結を見ずに打切りとなった作品もあったなと振り返りました。

”ライトノベルに近しい(キャラクターが立った作品が人気の)ライト文芸でミステリーの土壌が育ってきたことで、ライトノベルのほうにもミステリーが流れ込んできたとも考えられる”
という解説の指摘も、ライトノベルミステリーの増加への影響として見逃せないでしょう。ライト文芸については自分は『ビブリア古書堂』シリーズや『博多豚骨ラーメンズ』などのメディアワークス文庫はチェックしてましたが、それ以外のレーベルについてはミステリものが色々あるみたいだなという程度の認識でした。ただし、ここ数年、ライト文芸などのミステリーのアニメ化が何本か放映されてましたね。

『アンデッドガール・マーダーファルス』 講談社タイガ 青崎有吾さん著(カバーは大暮維人さん)
『啄木鳥探偵處』 創元推理文庫 伊井圭さん
『京都寺町三条のホームズ』 双葉文庫 望月麻衣さん
『虚構推理』 講談社 城平京さん
『バチカン奇跡調査官』 角川ホラー文庫 藤木稟さん
『美少年探偵団』 講談社タイガ 西尾維新さん
『宝石商リチャード氏の謎鑑定』 集英社オレンジ文庫 辻村七子さん

 ラノベを書かれてる作家の方や志望される方の中にライト文芸でのミステリー作品から刺激を受けて、新たな作品を書かれる又は書き始める、という事もあったのかもしれません。


  ◆  ◆  ◆  ◆


<<2020年度の『このラノ』は24年度ラノベミステリーの発端だったか?>>

 2020年度の『このラノ』では『探偵はもう、死んでいる。』や『スパイ教室』が登場してます。そしてそれらに加えて20年度以前からBEST40に入っていた『薬屋のひとりごと』の3作品が、20年度以降24年度まで連続してBEST40~50に挙がっていることは先に触れたとおりです。

 それらの3作品が刺激となって、20年度以降にラノベ作品や各ラノベ新人賞への応募作品でミステリー傾向の作品が書き始められた、という場合もあるかもしれない。そんな推測も出来てしまいますが……

鵜:自分の場合は、これこそがトレンドだと思っていたんですよね。投稿時代に『たんもし』や『スパイ教室』などの隆盛を見て、ライトノベルの文法を使ってそれ以外のジャンルのお話をやっていると解釈したんです。では自分が書けるジャンルが無いかと考えた結果、デスゲームものになりました。
(同時発売記念! 『探偵はもう、死んでいる。』著者・二語十&『死亡遊戯で飯を食う。』著者・鵜飼有志Wインタビュー)

 具体的な証言がこちらのインタビュー応答の一例だけだと、とりあえず少なくとも……という程度なので、3作品が影響を与えたと言い切るには弱いですよね。各新人賞への応募でのジャンル傾向とか分かれば何か見えそうですが。


  ◆  ◆  ◆  ◆

 

<<補足 「ラノベニュースオンライン」サイトでのいくつかのインタビュー記事>>

独占インタビュー「ラノベの素」 竹町先生『スパイ教室』
まず自分の中で大きなウエイトを占めている作品が、石田衣良先生の『池袋ウエストゲートパーク』。ミステリ的な要素や事件を追っていくタイプの作品ですね。あとは湊かなえ先生の『告白』も面白いですよね。現在のバイブルはこの2作品でしょうか。ライトっぽいミステリ小説の魅力に関しては、作品への入度にあると思っています。謎というわかりやすい物語の提示から作品に入り込めること、そしてトリックや物事が明かされていくにつれて見えてくる、登場人物の想いや苦しみだったり、人間像が次々に提示されていくカタルシスが非常に好きです。知的好奇心が旺盛なのかもしれません(笑)。

(スパイを題材にしようと考えたきっかけはなんだったのでしょうか。)
きっかけのひとつとして柳広司先生の『ジョーカー・ゲーム』がありました。アニメでは『プリンセス・プリンシバル』という作品も印象的で、ミステリ的な手法をうまく取り入れてキャラクターが活躍している作品だと感じていました。エンタメで描く騙し合い、情報を隠した中で展開するミステリ要素。自身がミステリ好きであることや、スパイとミステリ要素の親和性に着目した結果、スパイを題材にしようと考えました。


独占インタビュー「ラノベの素」 紙城境介先生『シャーロック+アカデミー』
結論から言うとミステリーです。そもそも僕は『ウィッチハント・カーテンコール 超歴史的殺人事件』(ダッシュエックス文庫刊)というミステリーの作品でデビューしているわけなんですけど、その後にミステリーをやらなかった理由がいくつかあったんですよ。1つは単純に売れなかったから。もう1つは、最初の2作品が特に顕著なんですけど、僕自身が「どんでん返し」を組み入れる作風だったんです。でも書きながら思ってしまったんですよ。この作風をずっと続けるのは無理だなと。(中略)『僕が答える君の謎解き』(星海社FICTIONS刊)を書いた結果、どうやらそんなにどんでん返しがなくてもミステリーは書けるらしいってことに気付かされたんです。特に第2巻はミステリー好きの方たちからの評価も良く、じゃあいけそうだっていう手応えを掴んで今を迎えているっていう感じですね。

※それ以外にもライトノベルでのミステリーについて多くの事を語られてます。


独占インタビュー「ラノベの素」 菊石まれほ先生『ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒』
募に至るまでオリジナルの作品を何本か書いてきて、私自身がどのくらいの実力があるのか知りたくなったというのが最初の応募動機だったと記憶しています。選評をいただけるということもあり、私の作品がどう判断されるのか知りたいなと。『神様のメモ帳』や『狼と香辛料』といった作品がとても好きだったこともあり、初めて送った賞は電撃大賞でした。


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<<次に来るかもしれないラノベミステリー>>

 23年度【文庫部門BEST50】の『不死探偵 冷堂紅葉』も11月に2巻目が刊行され、【文庫部門】で第2位だった『死亡遊戯で飯を食う。』がこの1年で4冊も続巻し続けこの12月には待望の第5巻が出ます。燃えるような伝奇アクションが激しい『獄門撫子此処二在リ』も2巻目が執筆されてますし、電撃文庫の『不可逆怪異をあなたと 床辻奇譚』も年明け1月に第2巻が出るそうです。

 また【9月以降刊行の注目の最新作】で挙げられてました『誰が勇者を殺したか』も早くも続巻が決まってます。

 23年年末12月にはMF文庫Fライトノベル新人賞の審査員特別賞受賞作『探偵に推理をさせないでください。最悪の場合、世界が滅びる可能性がございますので。』電撃文庫『双子探偵ムツキの先廻り』も出ますし……11月新刊でミステリかもしれないと購入したラノベも積み残してるし~読み切れない!? 今年はどんだけラノベミステリーが刊行されてるんだ~~!!

 それ以外でもライト文芸などから、もしくは今回の『このラノ2024』のベストランキングや来年度の各文庫レーベルでの各受賞作などから刺激を受けて、今年のデビュー作のような新たなラノベミステリー作品が現われるかもしれません。今年登場タイトルの続編とか読みたいですよね!!
 ……というか今この時にもどなたかが懸命に執筆されているはず!! ともかく来年が楽しみですね。

(2023年 12月4日 18:00 1週間前から書き始めて結論に至らないままにorz)

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2023年11月16日 (木)

見失われたもうひとつの全訳『サラゴサ手稿』を求めて

◆『サラゴサ手稿』について

 18~19世紀に生きたポーランドのヤン・ポトツキによって書かれたものの、長く未完全のままだったフランス語の長編小説『サラゴサ手稿』。それは大まかに伝えるなら次のような物語です。


 スペインの国王フェリペ5世からワロン人衛兵隊長に任命され、拝命の為にマドリードに向かう騎士のアルフォンソが道中のスペイン南部シエラ・モレラ山脈をさまよう中で出会う、様々な人たちとそれらの語る数々の物語、更に物語の中の人物の語る物語。
 ナポレオン軍のサラゴサ包囲戦に参加したフランス軍将校が回収したそれらの物語が書かれたスペイン語の草稿を、フランス語に訳したもの。
 
 語られる物語の中には不可解不可思議な出来事もある事から、この『サラゴサ手稿』はフランス語幻想文学の先駆だとみなされるなどされてきました。更に、未完のまま作者自身の印刷で1805年に地下出版された書物に始まり、欧州各地に散った原稿を搔き集めて何度も編集出版が試みられてきましたが、それでも不完全な物語に留まっていた為に、より完全な姿に蘇らせようとした試みが幾度もあった事から、世紀を超えて長く関心が寄せられてきたのです。

 この未完成の物語は部分的にでしたが1980年に国書刊行会「世界幻想文学大系」『サラゴサ手稿』(工藤幸雄氏翻訳)で初めて日本で紹介されました。そして1990年代終わりごろより、(その少し前に出版された完全版だとされた本を元に)工藤氏によって完全な物語が完訳され、近く出版されるとされてきました……2023年現在に至るまで出版されていませんでしたが。

 しかしその間に、この『サラゴサ手稿』は2002年の新たな自筆原稿の発見で完全な姿に完成となったのです。それは2004年より海外で出版され、2022年9月・11月、翌年1月、岩波文庫より畑浩一郎氏翻訳のヤン・ポトツキ『サラゴサ手稿』完訳として上・中・下の3冊で刊行されたのです。

※こちらの上・中巻を手にしたちょうど1年前の去年11月末に、「岩波文庫版『サラゴサ手稿』完訳版で漸く見えてきた、これまで知られてこなかった長い研究の経過」という記事をまとめてました。

 

 

◆見失われたもうひとつの全訳『サラゴサ手稿』を求めて

 こうして完訳を手にした今、それではあの工藤氏(2008年没)の完訳はどこにいったのだろう? そんな疑問が先月(2023年10月)に不意に沸き上がりました。そこで『サラゴサ手稿』について先月辺りから調査を再開して地元の図書館で手にする事の出来る情報を集め始めたのです。

 ただ、それらを元にこれから書きますのは、寄り関心を持っていた方なら多分2004年ぐらいに、国内出版物から辿れば岩波文庫版の中巻が刊行された去年の今頃には既に調べることが可能だった(すでに調べがついているはずの)内容が中心になるかと思います。特に自分の場合、工藤幸雄氏が亡くなられる2008年までのインタビュー記事や回顧録(読めているのは1冊のみ)について、この度、国立国会図書館のデータベースや地元図書館での検索などで今更になって存在を知ったという体たらく、かなり出遅れてしまった有様ですので。

 今回、これまでに刊行された国書刊行会と岩波文庫のふたつの『サラゴサ手稿』にある解説での情報を元に、これまでに出版などされた『サラゴサ手稿』のバリエーションを整理しつつ、長らく幻となっている全六十六日の全訳『サラゴサ手稿』についてまとめてみたいと思います。

※以下にテキスト表題と収録書籍を挙げます。(色で引用テキストを見分けるようにしてます)

「ポトツキ論」:
国書刊行会「世界幻想文学大系」『サラゴサ手稿』(工藤幸雄氏翻訳 1980年)の巻末に収録

他、工藤幸雄氏の記述も

「『サラゴサ手稿』来歴」:
岩波文庫『サラゴサ手稿』(畑浩一郎氏翻訳 2022年)中巻「訳者解説2」のこと

 

 

◆六十一日 2002年/2022年

 2022年から翌年にかけて、岩波文庫より畑浩一郎氏翻訳のヤン・ポトツキ『サラゴサ手稿』完訳が全3巻で刊行されました。
 この完訳は2004年から刊行された完全版を底本にされてます。それは先立つ2002年にあった『サラゴサ手稿』研究での重要な発見などの成果から完全な姿に再現されたものです。

 2002年、“ポーランドのポズナニの古文書館で調査を行っていたフランソワ・ロゼ(ローザンヌ大学教授)とドミニク・トリエール(モンペリエ大学名誉教授)というふたりの研究家が新たなポトツキの自筆原稿を発見(上巻「訳者解説1」の略年譜)”しました。そしてそれらを調査する中で“ポズナニにあるポトツキ家の書庫でヤン(ポトツキ)の残した自筆原稿を精査(下巻「訳者解説3」P450)”して、新たな事実が判明したのです。

“(ポトツキには)製紙された年が漉入れされた特注の紙を使う習慣があった。~紙はその年のうちに無くなるか、あるいは遅くとも翌年には全てが使い切られている。そのおかげで、それぞれの草稿の執筆時期についてかなり正確に把握できる”(中巻「訳者解説2」)

 ふたりによる新たな研究の成果によって、これまで幾度も『サラゴサ手稿』の姿を求めながら不完全だったのは、“物語の整合性、一貫性に関する問題は、小説にはひとつの形しかないと考えるから生じるのであり、実は『サラゴサ手稿』には少なくともふたつの異なるバージョンが存在することが分かった”のです。

「一七九四年版」
“1791年頃から書き始められ遅くとも1794年には、小説の一部が完成を見ている”『サラゴサ手稿』の最初のバージョン。
“「1794年」と漉入れされた紙に書かれた第十九日から第三十三日までの自筆原稿が残”されるだけで“前半部分が未発見であるばかりでなく、完成度も低い”とされる。
“この(「一七九四年版」の)時点ですでに小説の基本的な設計は完成している”
“主要な登場人物はすでに全て揃っている”

「一八〇四年版」
“1804年から1808年にかけて、ポトツキは小説を改変する作業を行なう”
“第四デカメロン(第四十日目)までは順調に進むが、第五デカメロンの途中、第四十五日で突如、筆が止まる。そしてそのまま先は続けられずにこのバージョンは打ち捨てられてしまう”
 未完ではあるが、ベルギーの書店から刊行された『ポトツキ全集』(2004~06年 全5巻)に収録され、2008年にはフランスのガルニエ・フラマリオン社より刊行の『サラゴサ手稿』より2分冊の一つとして刊行される。

「一八一〇年版」
“1809年から1814年にかけて、あるいはポトツキの死の直前である1815年にいたるまで、小説には絶えず改変さが施される”
“先行する一七九四年版、一八〇四年版では大きな位置を占めていた「さまよえるユダヤ人の物語」が、一八一〇年版では完全に削除されている”
“作品内に張りめぐらされていた数々の伏線が回収され、第六十一日において物語は遂に大団円を迎えている”
「一八〇四年版」と同じく『ポトツキ全集』に収録され、2008年刊行の2分冊の一つとして刊行される。
2022年刊行の岩波文庫『サラゴサ手稿』の底本

 この完訳の登場により、1980年の国書刊行会「世界幻想文学大系」『サラゴサ手稿』の「ポトツキ論」で述べられ国内で広まっていた「六十六日間」ではなく「六十一日間」が物語の全てとされたのです。

 

 

◆十四日 1958年/1980年

 先の自分の記事では、もうひとつの先行した翻訳の書籍についても触れてました。それが1980年刊行の工藤幸雄氏翻訳による国書刊行会「世界幻想文学大系」収録の『サラゴサ手稿』です。岩波文庫から完訳が刊行されるまで、この『サラゴサ手稿』が知られていたものとなります。
 こちらはフランス語版「カイヨワ版」(1958年出版 NRF版とも)を底本として、ポトツキ自身が書いたと判明している「十四日目」までを翻訳し収録した内容となってます。

 工藤氏の『サラゴサ手稿』巻末にある「ポトツキ論」では、その時点で判明していたこの作品の来歴などがまとめられてます。
 その中で「カイヨワ版」の全容について、“十四日までを収録した前半(198ページ分)”“『アバドロ、イスパニア物語』としてジプシー酋長の話だけをむりにまとめた後半(120ページ分)”と説明されてます。そのうち、工藤氏の『サラゴサ手稿』では前半を訳し、後半は省かれてあります。
 後半が省かれた理由は、ポトツキ研究の泰斗=泰山北斗=その道の大家である在英亡命ポーランド人のレシェク・ククルスキ教授(Kukulski, Leszek 1930-1982)の考証により“「発行者の手が入りすぎており、きわめて信に置きがたい」”と指摘されていたからです。

 なお、「カイヨワ版」自体の底本は、ポトツキ在命中の1813年と1814年にパリのジッド書店から刊行された「パリ版」と呼ばれるふたつの物語でした。十四日目までを収録した「カイヨワ版」の前半は1814年刊行の『アルフォンスの十日物語』と、後半の『アバドロ、イスパニア物語』は1813年発行の『アバドロ』と。「カイヨワ版」は二冊の「パリ版」と“それぞれほぼ合致している(P322)”と「ポトツキ論」は記されてます。

 更に「カイヨワ版」と「パリ版」については、工藤氏のこの『サラゴサ手稿』に付録された「世界幻想文学大系」の「月報28」に寄せられた篠田知和基氏の「『サラゴサ手稿』の幻想」で次のように紹介・評価されてました。
“カイヨワが底本としたものは頭文字だけの作者名による『アルフォンス・フォン・ヴォルデンの生涯の十日間』(1814年)という作品であり、これと、その続編である『アバドロの物語』から拾いだした数章をまぜあわせ、その両篇のポーランド語訳の総題と作者名とをとって、あたかも幻の幻想文学の代表作のようにして紹介したもの”

※後に説明する二冊の「パリ版」については、翻訳者などにより、微妙に名称が異なります。

 


◆十日 1804年/1812年

 では「カイヨワ版」前半の「十四日間」部分がどうしてポトツキ自身の原稿が基になっていると判明しているのかについて、一応確認のため記します。

「ポトツキ論」P320によると最初の『サラゴサ手稿』は、「十日目」までが1804年末に、続く三日分(三日目の途中までで中断)が1805年初めに、『サラゴサにて発見された手稿』としてペテルブルグにあったポトツキの自家用印刷所で秘密出版されました。ただし、十三日目の途中で文章が中断されたとあるように未完全な形で。これら「十三日間」が最初のポトツキ自身の原稿によるものでした。

 続いて出版された二冊の「パリ版」については畑浩一郎氏完訳『サラゴサ手稿』の中巻「訳者解説2 『サラゴサ手稿』来歴」に詳しく書かれてます。1812年にポトツキはパリのジッド書店に「第四デカメロン(第四十日目)」までの書かれた未完成の原稿を送っていたのですが、同年のナポレオンのロシア遠征の影響で残る原稿が届かなかった事から、書店の店主により“おそらくポトツキの承諾を取らぬまま、手元の原稿をふたつに分割し、改変を加えた上で刊行に踏み切”られたのです。それが「パリ版」と呼ばれる1813年発行の『アバドロ、スペインの物語』と1814年発行の『アルフォンス・フォン・ウォルデンの十日間の経験』だったのです。

 特に『アバドロの物語(パリ版)』については工藤氏の「ポトツキ論」の中で、「カイヨワ版」における後半部分と“ほぼ合致している”とされ、その「カイヨワ版」の後半部分についても先に示されてる通り、ククルスキ教授により改変が入っていると指摘されたことから、ポトツキ自身の原稿による作品からは省かれたわけです。
 一方の『アルフォンス・フォン・ヴォルデンの十日間の経験(パリ版)』の部分については、ポトツキ自身が秘密出版した最初の「十三日間」の『サラゴサ手稿』の存在によって、大きな改変が入らなかったのだと思われます。だから、その「パリ版」と“ほぼ合致している”とみなされた「カイヨワ版」前半部分が、ポトツキの原稿とも“ほぼ合致している”とされ、工藤氏が翻訳する対象となったのでしょう。


※以前はこの1804年の秘密出版のものが最初期とされてますが、2002年の新発見で原稿のままで出版に至っていない最初期バージョンの「一七九四年版」という原稿の存在が明らかとなってます。

 

 

◆十四日 1958年/1980年

「十日間」に続く三日分についても、1805年の秘密出版で作者自ら発行していたことから、少なくとも「十三日目」まではポトツキ直筆の原稿だと検証できたのだと思われます。

※ただし、「第十四日目」の部分がどうやって証明されたかについては、検証するすべがないので不明となります。そもそも、『アルフォンス・フォン・ウォルデンの十日間の経験』などと称されているのに「十四日間」の話が収められている理由さえも伺い知ることが叶いません。

 ともかく、この「カイヨワ版」を底本に工藤氏によって『サラゴサ手稿』が日本語で初めて翻訳されたわけですが。しかしこの「カイヨワ版」について、2022年刊行「岩波版」中巻の「訳者解説2 『サラゴサ手稿』来歴」では次のように問題点を指摘されてます。
大きな反響を呼び、『サラゴサ手稿』の文学的価値を決定づけることになる。その反面、この版が小説の評価・分類をミスリードしたというマイナス面も無視できない”
“カイヨワによって公開された箇所は、小説の中でもとりわけ幻想的な演出が施されている部分であり、(中略)フランス語で書かれた幻想小説の先駆と見なされてしまうのである”

 実際、『幻想文学論序説』(1970年ツヴェタン・トドロフ著 三好郁朗訳 1999年創元ライブラリ収録)でも幻想文学の事例として何度となく取り上げられ、工藤氏の翻訳版が日本国内唯一の刊行となった事から、2022年からの完訳版刊行まで国内でも幻想文学作品として広く認識されてきました。

※ちなみに「訳者解説2 『サラゴサ手稿』来歴」では「カイヨワ版」について、“あくまでポトツキの筆になることが分かっている箇所のみ、すなわち冒頭から第十四日目までを公開した”と解説しているものの、1980年」の「ポトツキ論」で触れられている後半部分の『アバドロ物語』については触れられてません。

 

 

◆六十六日 1980年/1999年/1997年/2001年/2004年

 1980年刊行の「世界幻想文学大系」収録の『サラゴサ手稿』の巻末の「ポトツキ論」P318で“六十六日の物語は、まだいちども原作のフランス語では出版されぬままであり、筆稿の一部が失われた今では、もはやそれは望めない”と工藤氏は記してました。そして“全体が出版されているのはエドムント・ホイェツキによるポーランド訳(1847年ライプツィヒ版、1950年・56・65年ワルシャワ版)のみである”とも述べられてました。

 しかし1999年、創元ライブラリで刊行される形で改訳出版された『幻想文学論序説』(1970年ツヴェタン・トドロフ著 1975年翻訳のものを改訳)の三好郁朗氏が「訳者あとがき」の中で次のように記されていたのです。

ところで、本書(※『幻想文学論序説』)が幻想文学の典型的作品にあげていおるポトツキの『サラゴサ手稿』が、同じこの創元ライブラリに収められることになった。このたびの新訳(工藤幸雄訳)は、物語の六十六日まで、すべてを含む完全版と聞く。幻想文学を愛する者にとり、楽しみがひとつ増えることになる”(P260)

 おおよそこの紹介が以降、待望され続ける事となる、工藤幸雄氏による「全六十六日間」の完訳『サラゴサ手稿』の噂の始まりだと思われて……ましたが、長らく失念していたもう少し遡る完訳の噂が、というよりも訳者本人からの紹介(予告)があったのです。

 1997年に刊行された『幻想文学1500ブックガイド』(「幻想文学」編集部/石堂藍/東雅夫 編)にある、工藤幸雄氏による「私撰東欧幻想文学10篇」で次のように予告されていたのでした(なお、10選というお題目なのに『サラゴサ手稿』1篇しか挙げられてないのは熱意というかご愛敬ですね)。

“昨年完成した翻訳原稿は出版社のデスクに空しく寝ている。たぶん、来年には出るだろう。今回の版元は東京創元社である”

 この本は大学時代に大学図書館で読んでいたと思うのですが、その頃はまだ、同じく工藤氏の『サラゴサ手稿』も大学で借りてコピー印刷したものを手元に置いた(その後に神田の古書店で本書を見つけて購入)程度の関心だったからか、この予告をあまり認識していなかったようです。

 また「私撰東欧幻想文学10篇」の中で工藤氏は、“六十六日の物語のフランス語版の上梓は作者の死後百七十四年、一九八九年である。方々に散らばる書写原稿をまとめあげたラドリザ教授はヤンを(略)と称える”と、完訳の底本について述べられてます。

 この底本とは、畑浩一郎氏の「訳者解説2」で挙げられているジョゼ・コルティ書店から1989年に刊行された「コルティ版」の事です。
 
 今回、改めて『サラゴサ手稿』に関する資料を集める中で、かなり具体的に工藤氏の完訳原稿の行方も分かりました。
 2012年に国書刊行会より刊行された『幻想文学講義 「幻想文学」インタビュー集成』(東雅夫氏 編)に収録された、工藤幸雄氏への2001年7月4日のインタビュー、「『サラゴサ手稿』讃」です。
 それによると、“東京創元社の担当編集者であるIさん(※インタビュー中では実名の苗字)”が原稿を受け取っていたというのです。“Iさんが慎重なうえに、フランス語の出来る方だものだから、ちゃんと読んでくれている。そのチェックで思ったよりも時間がかかったんです”と、校正作業?が進行していた事が明らかとなりました。それがどの程度進行してたかは不明ですが、その頃については空しく眠っていたわけではなかったようなのです。

 また、2004年12月に中公新書より刊行された工藤幸雄氏の回想録『ぼくの翻訳人生』の「はじめに」の中でも次のように『サラゴサ手稿』の完訳について触れられていました。

“今二十一世紀に入って最初の役所がフランス語による怪異物語、ヤン・ポトツキ『サラゴサ手稿』の完本(版元、東京創元社訳稿完成、出版時期未定)、続いてヴィトカツィの奇妙な小説『非充足』(版元、出版時期未定)となる。すべて異色の文学だ”

 今回の調べ事で辿った上で、この2004年が『サラゴサ手稿』完訳に触れた最後となります。ただし、もしかしたらその後に出された別の回想録でも触れているかもしれません。
 そして2008年に工藤幸雄氏は亡くなられました。工藤氏はロシア語・ポーランド語に通じていて、『サラゴサ手稿』『ハザール事典』の他、映画『カティンの森』の原作の翻訳や、『ポーランドを生きる ヤルゼルスキ回想録』の翻訳など手掛けられてました。『ぼくの翻訳人生』では、ポーランドなどでの暮らしぶりとか、日本から欧州への船上で『サラゴサ手稿』(カイヨワ版)を翻訳したなど様々なエピソードが記されてました(地元の図書館に収蔵されてましたので限られた時間で目を通してました)。

「全六十六日」の完訳原稿の消息は2001年までは具体的に編集部で原稿チェックされていたらしい事が分かりましたが、2004年においても刊行時期が未定でした。

 2004年といえば、同じ頃にベルギーの書店より『ポトツキ全集』(2004~06年 全5巻)の刊行が始まった年です。そう、その前の2002年に『サラゴサ手稿』研究の最前線・欧州では、ポズナニで新たなポトツキの自筆原稿が発見され、複数のバージョンがある事が判明していたのです。
 この出来事と「全六十六日」の完訳原稿の消息は時期的に見て関連している可能性がありますが、今の所、工藤氏がその欧州での新発見の報に接したかどうかも、『ポトツキ全集』を手にしたかどうかも分かりません。

 


◆六十六日 1847年

 では、工藤氏が完訳の際に底本とした「コルティ版」とはどのようなものでしょうか。

 その前に、先に「ポトツキ論」の中で工藤氏が触れてました“全体が出版されているのはエドムント・ホイェツキによるポーランド訳(1847年ライプツィヒ版)”について、もう少し説明を加えます。

 岩波文庫の「訳者解説2 『サラゴサ手稿』来歴」では「エドムント・ホイェツキ」について、“(ライプツィヒでポーランド語訳が刊行された1847年の)二年前からパリに亡命中のポーランド人”だと伝えます。
 その頃のポーランドは19世紀ウィーン体制でロシア帝国皇帝が王位を兼ねていたポーランド立憲王国となっていたものの、ロシアによる専制的支配に対して民族蜂起を繰り返しても鎮圧されたことから大量の亡命者を出していた。時期的に見てそのひとりだと思われます。
 そして1847年の「ライプツィヒ版」について、“『サラゴサ手稿』の全体像はこのポーランド語訳によって初めて明らかになる”と取り上げつつも、“改竄の上にかろうじて成り立っている”と幾つもの大きな問題を挙げられてました。

“複数の草稿を突き合わせてもなお埋まらぬ空隙、筋立てに残る矛盾を克服するために、彼は作品を改変することを厭わないのである。物語の順番は入れ替えられ、新たなエピソードや登場人物が考案され、少なからぬ文章が削除される”

 こうしたかなり強引な形でしか全体像がつかめなかった訳について、「訳者解説2」では次のように記されてます。
(東西ヨーロッパの)各地に残された資料を寄せ集め、執筆年代も完成の度合いもまちまちな原稿を突き合わせて、物語の筋が一貫すべく小説の全貌を明らかにしていく作業がいかに困難を極めるかは容易に想像できる”と。

 工藤氏が全体像が明らかとなった「ライプツィヒ版」を邦訳の底本に選ばなかった理由は、原著のフランス語で書かれたものではなくポーランド語訳だった事の他に、この改竄の問題もあったのかもしれません。そもそも工藤氏が最初に訳した『サラゴサ手稿』の底本だった「カイヨワ版」でさえ、ポトツキの原稿に手が加えられたとされる後半は採用しなかったのですから。

 ただ、この「ライプツィヒ版」について、改竄はありましたがそれはまた同時に、寄せ集めた資料を突き詰め再構築するという作業をされていた事から、先のジッド書店が出した「パリ版」における発行者による改変の入った『アバドロ スペインの物語』とは違ったアプローチを試みようとした痕跡と見る事も出来ます。
 元にしたポトツキの原稿について「ポトツキ論」も「訳者解説2」もより深く掘り下げられてませんが、ホイェツキがパリで亡命生活を送っていたのですから、1812年にポトツキがジッド書店に送った「第四デカメロン(第四十日目)」までの未完成の原稿をその書店から借り受けていたのかもしれません。


※ポーランドの文化・国家遺産省の文化振興基金(国の特別目的基金)の資金提供を受けて作成されている「Free Readings Library」ウェブサイトで公開されている「ライプツィヒ版」の解説では、(以下自動翻訳)
“チョイェツキの翻訳の基となったフランス語の原文は失われており、彼の論文には翻訳作業の痕跡が残っていないため、翻訳を行ったのは25歳のエドマンド・チョイェッキ(同時期に他の多くの研究や編集作業に携わっていた)ではなく、彼が名前を貸しただけで、実際の翻訳者は匿名のままであると推測できます。この仮説は、2016年にWydawnictwo Literackie社から出版された、フランスの学者による綿密な復元に基づくサラゴサ写本の新しいポーランド語翻訳の著者であるアンナ・ワシレフスカによって提唱されました”
(アンナ・ワシレフスカ(Anna Wasilewska) 新ポーランド語訳版で2016年にグディニャ文学賞を受賞)
というより最新の研究が記されてます。

 

 

◆六十六日 1989年

 1989年に刊行された「コルティ版」とは、ラドリザ教授(René Radrizzani 「訳者解説2」の中では記述なし)が編集してジョゼ・コルティ書店から刊行された、初めてフランス語で書かれた『サラゴサ手稿』の全体像です。

 しかしその編集に当たって、「訳者解説2」によると“かつてホイェツキが直面したのと同じ問題にぶつか”ったのです。“物語の欠落箇所が残る”という問題です。工藤氏が「ポトツキ論」のP318で“六十六日の物語は、まだいちども原作のフランス語では出版されぬままであり、筆稿の一部が失われた今では、もはやそれは望めない”と指摘されていた問題が絡んでいたのでした。

「コルティ版」では、その欠落箇所をホイェツキの「ライプツィヒ版」“を参照し、それをフランス語に翻訳する形で補う(「訳者解説2」)”事で全体像を再現されていたのです。

 1989年の「コルティ版」刊行から7年ほどを経た1996年頃に、工藤氏はこの六十六日間の物語からなる『サラゴサ手稿』を完訳されたとされます。しかし、2002年以降の最新研究でポトツキの原稿が整理された事で、「ライプツィヒ版」「コルティ版」それぞれの問題点がようやく解消され、漸く完全な姿を得たのです。

 


◆六十六日、もう一つの試み 1956年/1965年

 工藤氏の完訳『サラゴサ手稿』原稿の他にも、工藤氏が知るもうひとつの「六十六日間の物語」の完本の試みが実は存在していました。
 それが工藤氏の「ポトツキ論」P303の別記で触れられてる“ポトツキ研究の泰斗”在英亡命ポーランド人のレシェク・ククルスキ教授(Kukulski, Leszek 1930-1982)が悲願”とした“フランス語の手稿のうちの欠落部分を、ポーランド訳から再生して、フランス語によって六十六日間の物語の完本”という試みです。ククルスキ教授は1847年のエドムント・ホイェツキの「ライプツィヒ版」を編集し直し監修した「ワルシャワ版」(1956年・65年)を著してましたが、大学図書館の本を探せるCiNiiで検索した限りでは、その2冊以外の『サラゴサ手稿』研究は出されてなかった、悲願は果たされなかったようです。

 工藤氏の「ポトツキ論」では、氏の最初の『サラゴサ手稿』翻訳の際に“同教授監修のポーランド語版を参照し、その詳細適切な注釈を大いに活用させていただいた”と触れられてます。

 

 

◆見失われたもうひとつの全訳『サラゴサ手稿』の痕跡

 この度の「見失われたもうひとつの全訳『サラゴサ手稿』を求めて」に着手した最初の日(今この文章を書いている日から1週間前)に、参考となる資料をネット検索などで調べている際にある物語の存在を知りました。
 それは河出書店が出版されていた『東欧怪談集』(沼野充義 編 1995年出版 2020年新装版刊行)に収録された次の物語です。

『サラゴサ手稿』第五十三日 トラルバの騎士分団長の物語 工藤幸雄氏訳

 これは岩波文庫『サラゴサ手稿』(畑浩一郎氏翻訳)の中では、中巻の「第三十七日目」にてジプシーの族長が語る「神に見捨てられた巡礼者、エルバスの物語」の中で登場する人物が語る物語にあたります。
 工藤氏が訳していたこの物語の存在が何よりも重要なのは、これまで国書刊行会「世界幻想文学大系」『サラゴサ手稿』の「第十四日目」までしか読むことの出来なかったとされていたその先の物語の一部が、1995年には既にこの世に出ていた事、全訳されていた痕跡が存在していた事です。

 


◆見失われたもうひとつの全訳『サラゴサ手稿』を求めて……2023年

 その物語の一部が既に出版されていたものの、2022年の新たな研究に基づいた「全六十一日間」完訳の刊行後も、2023年現在も、工藤氏による完訳については音沙汰がありません。しかし……この一報は本当でしょうか!?

20230107 新年早々うれしいニュース(翻訳家・垂野創一郎氏:プヒプヒ日記より)
“新年早々、うれしいニュースが流れてきた。あの伝説の彼方に消えたと思われた工藤幸雄訳『サラゴサ手稿』がついに出版されるという(情報ソースは昨年末の「読んでいいとも年末特別篇」での東京創元社の発表)。”

 去年年末にイベントか何かでそのような発表があったの!? タイミング的に岩波文庫からの完訳刊行を受けての反応でしょうか? しかし、11月時点でも実際に刊行の予定などは挙がってないので……。

 

(2023年11月16日17:45)

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2023年9月21日 (木)

『このライトノベルがすごい!2024』に投票してきました。

『このライトノベルがすごい!2024』に投票してきました。


※今回は作品へのコメントを頑張って書いてみました。とは言え、特に読んで間を空けてしまうと思い出すのが大変です。読書メーターで投稿してた感想などにも頼りました。

『このライトノベルがすごい!2024』での対象ライトノベルは「発売日:2022年9月1日~2023年8月31日」の期間に刊行された作品となります。

※『このラノ2024』では5作品を選ばないといけません。
 とは言え、この1年で刊行されたラノベは膨大ですし、自分が読んだラノベも結構な冊数となってます。

(参照)ライトノベル文庫でミステリー物はどれぐらい出てるんだろう?(19年12月~23年8月)

 ですので今回、5作品に絞り込むにあたって、個人的に次の条件を立てました。

(一)この1年ぐらいの新作であること 対象期間より少し前ぐらいから始まった作品という基準

(二)実績や評判が既に伴っている(続巻を4冊以上)か他の方からも支持を得られていそうな作品よりも、この1年の新規作品を優先

 以上の条件で候補から止むを得ず外す事になった作品について予め触れておきます。

『死亡遊戯で飯を食う』(MF文庫J)は趣向を凝らした女の子だらけの連続デスゲームを駆け引き交えつつ追体験する作品で22年11月刊行開始から1年も経たないうちに4巻も出てる急成長株だと思うので、結構他の方々からの支持を集めてるのかなと。

『ユア・フォルマ』(電撃文庫)は今春から読み始めて最新刊に追いついた所。ラノベでは珍しい近未来SFで刑事物ですが、こちらもアニメ化が決まるくらい人気を得てるはずです。数年遅れでやっと注目したので迷いましたが、去年のこのラノ応募期間直後に読んで早く読めばと後悔した去年7月と9月に連続刊行した新規の近未来SF刑事物『アマルガムハウンド』を今回推すことに。


※ここからは投票内容を記します。(敬称略)


●女性キャラクター3人
(1)獄門撫子 獄門撫子此処二在リ
(2)冷堂紅葉 不死探偵 冷堂紅葉
(3)笹葉更紗 僕らは『読み』を間違える

●男性キャラクター3人
(1)天内晴麻 不死探偵 冷堂紅葉
(2)テオ・スターリング アマルガム・ハウンド
(3)阿ノ玖多羅皆無 腕を失くした璃々栖

●イラストレーター 3人
(1)ぽりごん。 僕らは『読み』を間違える
(2)尾崎ドミノ アマルガム・ハウンド
(3)おしおしお 獄門撫子此処二在リ


●作品・シリーズ 5作品

(1)獄門撫子此処二在リ  伏見七尾/おしおしお 小学館ガガガ文庫
現代ものの伝奇的な雰囲気や苛烈さは、その発表の際に予感してましたが、想像や期待していた以上に苛烈鮮烈奇想天外で怒涛で、半分読んだ辺りでこれはもう「新たなる新伝奇が来た」と確信してました。京都が舞台の魑魅魍魎絡みばもはや元ネタ出尽くしてると思い込んでたけど、創作的な未知の怪異が躍り出てきたりヒロインの家系も絡みついたりしてて、完全に杞憂。そして特筆は相棒の謎の美女、無花果アマナですね。楽しそうに会話を交わしながらも中々正体不明で関係の波にハラハラですよ。その謎も含め様々な仕掛けがある本作は、伝奇的なラノベを渇望する読者に是非とお勧めしたい。それから更なる怪異巡りも期待したいです。

(2)不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で  零雫/美和野らぐ GA文庫
主人公の少年とヒロインが体育倉庫で起きた密室殺人事件を捜査し推理する過程が慎重かつ丁寧で学園探偵ものとして楽しめました。更に驚きなのは、連続したもう一つの密室殺人事件。ヒロインが殺された事件の真相とそのヒロインが不老不死だという事、そして主人公の持つ異能が、結果として事件そのものを無かったことにしたのです。更にはそういったちゃぶ台返しが有るにもかかわらず、その件を含めてアンフェアと感じない推理ものとなってた事でしょう。

(3)僕らは『読み』を間違える  水鏡月聖/ぽりごん。 角川スニーカー文庫
登場人物それぞれの読書と感想が心の内面として読者に告白されるけれども、作中の自分も相手や周りもその内面に気付かれず、だから誰からもまだ理解も出来ない。だから互いに「読み」間違えてしまうんだと。そうわかると、読み手の中に切なくほろ苦い青春群像劇が姿を現してくるのです。

(4)アマルガム・ハウンド2 捜査局刑事部特捜班  駒居未鳥/尾崎ドミノ 電撃文庫
戦火で非業の死を遂げた妹という傷とアマルガムへの嫌悪を抱えるテオと人型アマルガムのイレブン、そのアンバランスな関係が凶悪事件の捜査を進めるうちに次第に互いを知ろうとし、終盤の異形が支配する凶悪事件では互いに庇おうとする様に変化していくのも心地よかった。

(5)腕を失くした璃々栖 ~明治悪魔祓師異譚~  明治サブ/くろぎり 角川スニーカー文庫
悪鬼悪霊悪魔と交わり術で争い生きる世界観、そしてゴシックホラーと近代化した明治の雰囲気とが融合したようなやや重々しい古めかしい雰囲気の文体も含めて確固とした世界観が描かれてました。


※今回の傾向としては、読んでいるジャンルも偏ってますので(苦笑)ライトノベルでミステリっぽい作品を中心に選んでみてます。

「ライトノベル文庫でミステリー物はどれぐらい出てるんだろう?(19年12月~23年8月)」記事のリストより、この一年期間(22年9月~23年8月)のミステリっぽいラノベの刊行数が42冊と、前年度期間(19冊)から倍増していることからも、個人的には「ミステリ系」ラノベは今回の注目ジャンルになるんじゃないかなと期待してます……。

(2023年 9月21日 14:27)

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2023年6月26日 (月)

広島が舞台の「ご当地ラノベ」(2023年6月暫定版)

※先日に、よっちさんの「47都道府県が舞台のラノベ」関連ツィートにて地方が舞台のラノベが話題に挙がってて、地元広島が舞台なのに初めてその存在を知ったタイトルが挙がってました。

 その流れで、改めて広島が舞台のラノベを挙げてみようとツイートしましたが、一応記事でまとめた方がいいかなって事で、こちらで書き改めてみました。


※調べ尽くしているわけではないので、未完の暫定記事な感じです。

『ガンパレード・オーケストラ』(電撃文庫・榊涼介さん) 2006年
※PS『高機動幻想ガンパレード・マーチ』の続編にあたるPS2ゲーム3部作より、中国地方が舞台となる「緑の章」のノベライズですね。


『ヤクザガールズ・ミサイルハート』(竹書房ゼータ文庫→星海社文庫 元長柾木さん) 2006年
※投下されようとした新型爆弾がその爆撃機ごと異境(ファーサイド)の力で時を止められ上空で球体に固定化され……。うやむやなままに世界大戦が休戦しているという冷戦に近い情勢の1989年、国際会議が開催されることとなった軍都・広島が舞台に、異能の力を持つヤクザ同士の抗争が起きるというSF極道活劇。かつての広島が描かれてますし、猿猴(えんこう)という怪異の名前なんかは広島市内だと広島駅そばの街とか路面電車電停や川と橋にあるから馴染み深いです。


『この恋と、その未来。』(ファミ通文庫・森橋ビンゴさん) 2014年
※冬の広電の胡町電停と京都市電路面電車が表紙の巻では広島三越の辺りが登場したり、広島の洋菓子とケーキのお店BOSTONが登場するなどしてます。主に広島市中心部より西側の辺りが描かれてる感じだったでしょうか。


『日和ちゃんのお願いは絶対』(電撃文庫・岬鷺宮さん) 2020年
※『失恋探偵ももせ』『三角の距離は限りないゼロ』『あした、裸足でこい。』などを出されている作者の方の作品。尾道が舞台のセカイ系恋愛ラノベ、だそうです。


『弥生ちゃんは秘密を隠せない』(小学館ガガガ文庫・ハマカズシさん) 2021年
※レーベルの紹介ページにある「ためし読み」で読める冒頭では、広島城に近い「音町高校」が紹介されてます。また、よっちさんが紹介されたガガガ文庫の「聖地マップ」によると、その高校に近いアストラムライン城北駅、その終点で広島市中心部の本通駅、その駅と接続する紙屋町地下街シャレオとその東方面の通りにあるストリートピアノ、紙屋町の西側にある旧市民球場跡地、更には宮島の厳島神社と宮島ロープウェイ、宮島の山頂である弥山が登場するそうです。
日刊わしら「広島が舞台の小説『弥生ちゃんは秘密を隠せない』発売!」

 

 

【番外】
『メイド喫茶ひろしま』(ぽにきゃんBOOKS・八田モンキーさん) 2014年
※真っ赤なバイク‐CB400FOURを駆り、“赤ヘルの多麻”と恐れられた滝本多麻が倒れた祖父の治療費と営んでいた喫茶店の借金返済の為に池袋の繁華街でメイド喫茶の経営に挑む、というお話。

 

『公務員、中田忍の悪徳6』(小学館ガガガ文庫・立川浦々さん)
※異世界から来たエルフと同居する公務員が主人公というラノベ。2023年5月時点でのその最新刊の裏表紙あらすじに以下の一文が……
”新たな〝耳神様伝説〟の残痕が、忍たちを広島県竹原市忠海町〝大久野島〟へと誘う”

 


【参照】
よっちさんの「47都道府県が舞台のラノベ」関連ツィート
※今回、この記事を書くにあたっての最初のきっかけの記事です。

ウィキペディア「広島県を舞台とした作品一覧」
※文芸作品だとラノベ以外が古今かなり作品が挙がってて、ラノベが挙げている1作しか見当たらず(多分)。

ブックオフオンラインの聖地巡礼ラノベ舞台マップ

 


※地方の街とかが舞台という「ご当地ラノベ」、地方ラノベとかローカルラノベとかその時々で口にしてましたが、とりあえずこちらが定着してるし馴染みやすそうです。

 その「ご当地ラノベ」への関心は遡れば……西尾維新さんの『新本格魔法少女りすか』(講談社ノベルズ)がきっかけでしょうか。最初の事件が少し前まで大学生活を送っていた福岡市内の地下鉄ホームだったり(コミカライズではしっかり福岡市営地下鉄の車両が描かれてました)、キャナルシティという大型商業施設などが登場してました。更に木崎ちあきさんの『博多豚骨ラーメンズ』(メディアワークス文庫)でも福岡の各地が描かれていました。
 その事があって、読むラノベを選ぶ際には時々ですが、地方が舞台の作品を手にする事もあったのです。
 東京都内が舞台の『神様のメモ帳』(電撃文庫・杉井光さん)、池袋とか秋葉原などが登場してアニメでより描写が加わった『冴えない彼女の育てかた』(富士見ファンタジア文庫・丸戸史明さん)、名古屋駅を中心とした『クロクロクロック』(電撃文庫・入間人間さん)『道-MEN 北海道を喰いに来た乙女』(ダッシュエックス文庫・アサウラさん)など、それなりにですが。

 またここ最近は作品出してませんが、シンデレラガールズの二次創作の連作で2015年頃の広島市内や宮島が登場するお話も書いてましたが、『この恋と、その未来。』が描く際のきっかけの一つでした(それを意識して胡町電停のシーンを書いてたりとかしてましたし)。新幹線を降りてから(当時改装工事中だった)広島駅北口のどこで自家用車に乗り合わせるか、仕事の帰りに現地に行って確認したり、平和公園や宮島で移動シーンをロケハンしたりとか、書き上げるまでに何度も宮島とか広島市内に取材に出れたのは、地元民だから出来た事でした。
 ……そう言えば去年の今頃とか、夏コミに向けて丸戸史明さん20周年記念合同誌に寄稿するための短編を書いている時に、新宿とか雑司ヶ谷などのシーンを描く際には、聖地巡礼でその辺りに足を運んだ記憶とかも駆使しつつ、日の出の時間とか地下鉄の始発ダイヤとかロケ地をストリートヴューで確認したりとか色々と調べて苦労したことを思い出しました……。

 ラノベと言えば異世界転生とか異世界ファンタジーとか、割と「異世界」がお馴染みだったりしますが、「ご当地ラノベ」は、地元民や旅行や引っ越しとか進学で訪れたことのある方にとっては馴染みがある土地だとしても、足を運んだ事が無かったり文献やテレビ番組とかでしか知らなかったり方々からすると、モンスターとかエルフとかは出てきませんがある種の「異世界」に映るのかもしれません。……という風に考えたりしましたのは、修学旅行での乗換で30分ぐらいしか滞在した事が無い名古屋が舞台の作品を読んだりした時に思ったからです。

 

(2023年 6月26日 18:28)

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2023年6月12日 (月)

『土曜ソリトンSIDE-B』があった1995年頃聴いていた音楽についての個人的な思い返しとか。

 福岡市にある大学に進学して寮生活を始めて、サークル活動とか色々と新しい事を始め出した1995年。この年は聴く音楽の好みを見つけた年でもあったと今でも思います。そのきっかけとなったのが、NHK教育で土曜の夜に放送されていた「土曜ソリトンSIDE-B」でした。司会はギタリストミュージシャンの高野寛さんと女優の緒川たまきさん

 ただ、その番組を放映が始まった4月から見ていたわけではありませんでした。新学期が始まって翌月頃、6月に「テクノ特集」が扱われる番組があると何かで耳にして、初めてその存在を知ったのです。

 ちなみにその回以降、用事がない限り毎週欠かさず放送を見てビデオテープにも録画して、大学時代にこの番組を何度も見返してましたが……卒業の時にそれらのビデオは寮に残しちゃったんですよ。まぁその後にビデオデッキが壊れて録画用DVDに媒体が移った辺りで処分してたかもしれませんが。
 その代わり、今も大事に持っているのがムック本『土曜ソリトンSIDE-B リターンズ』です。放送内のトークとかインタビューがテキストに起こされて収録されてます。6月以前に放映されていて見ることが出来なかったテイ・トウワさんがゲストの回についてもこの本で読み返すことが出来ましたし、YMOの3人それぞれの回も振り返ることが出来ます。

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「テクノ」と聞いてのイメージは、当時は多分、93年に再生したYMOの音楽だったと思います。
 大学進学以前に自分が聴いていたのYMOと坂本龍一さんの音楽、後は宮崎アニメ関連で久石譲さんのサントラとかアレンジCDでした。
 家にあったYMO散開記念ベストアルバム『SEALED』『コンプリート・サーヴィス』、再生YMOのCDとライブビデオ、『音楽図鑑』から『スウィート・リヴェンジ』のCDアルバム、あとは録画したテレビ放映からカセットテープに録音した坂本龍一さんのライブ音源(のちの『プレイング・ジ・オーケストラ』に収録されたライブ)なんかを、CDプレイヤーやカセットテープ用のウォークマンで聴きながら高校生活とか大学受験とかしてた感じです。

 ともかく、そういうわけで「テクノ」という見出しに釣られて番組を見た訳です。そして初めて見た「土曜ソリトンSIDE-B」の、「テクノ特集」のゲストは電気グルーヴの石野卓球さんだったのです。
 内容については『土曜ソリトンSIDE-B リターンズ』で振り返ることが出来ます。番組司会のミュージシャン・高野寛さんと石野卓球さんが二人とも「YMOチルドレン世代」という事で、トーク内容も、銀蝿派かYMO派か、とか、歌詞作りの事とか(”思い出せないようなレベルだったら、たいしたことなかったな”って言う石野さんのコメントは割と今も印象的かな)、YMOについての受け止め方の違いなど、12ページに渡ってやりとりされてました。


 1995年にこの「テクノ特集」をもし見ていなかったら、自分が聴く音楽の方向性は大きく変わっていたはずです。もしくは、数年のずれ込みがあったかと思います。
 というのも、それまでYMOと坂本龍一さんの音楽ばかりしかほとんど聴いていなかったのですが、それ以外の音楽はテレビの音楽番組とかで流れる流行歌以外に聴く機会がなかったんです。大学生活以前は特に、おこずかいからCD1枚を買うのも大変だったから、新規開拓する勇気もありませんでした。
 更に言えば、90年代中頃はまだ、バブル景気終焉を実感する前だったという時代背景もあったかもしれません。
 広島アジア大会が開催された94年には広島でパルコにタワーレコードが、基町クレドのパセーラにヴァージンメガストアが出店していて、音楽を買えるジャンルが一気に広がっていたんですが……逆をいえば何が好みか、探しきれなかったんです。進学した95年の「土曜ソリトンSIDE-B」と「テクノ特集」でやっと好みを見つけて、天神のショッパーズ福岡にあったタワーレコードでその辺りをチェックできるようになったと思います。
(96年には福岡の中洲川端にオープンしたキャナルシティ(開業日に足運んでましたわ)にヴァージンメガストアが出店していて、大学時代は本屋巡りと合わせて、タワーレコードとヴァージンメガストアによく通って、配布されてた月刊の無料音楽冊子を手にしてました)

「土曜ソリトンSIDE-B」がきっかけで踏み出した一つが「電気グルーヴ」の曲を初めて聴いたことでした。多分、番組中の紹介か「テクノの歴史」というコーナーでライブシーンの盛り上がり振りとかノリノリな熱気ある感じとかが紹介されたのを目にしてなければ、電気のCDを聴き漁るなんてこともなかったかもしれません。『ORENGE』とか『A(エース)』とか聴いたり、97年の「ツアー野球ディスコ」第2公演の「Shangri-La」初上演だった福岡ドラムロゴスでの初ライブ体験もなかったですね。レンタルビデオにあったライブVHSで、エンディングに「アルファベットでB.A.S.S!」が流れてる場面でメンバーの砂原良徳さんが上半身裸でネクタイ締めて福岡天神のイムズビルから出ていくトコなんて、気付く事が無かったし。
 ただ、番組当時だと石野さんはソロアルバム『DOVE LOVES DUB』をリリースした年でしたが、リズムメインの曲を受け入れられたのは2000年代に入ってからでした。曲で参加されてたPS『攻殻機動隊』のサントラも同じくらいに遅れて嵌ってました。その辺りに個人的な好みの波がありますね。
 BGM的にはテクノだし、インスト曲もそうなのだけど、ちょっとブラックな成分を混ぜた面白い日本語歌詞が加わることで日本のテクノポップって感じになっていたところが、自分の中で受け付けられたのかなと思う。

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  そしてもう一つが、「テクノ特集」の中の「テクノの歴史」というコーナーでテイ・トウワさんの「Batucada」のPVを初めて見た事でした。というかこの回よりも前にゲストで出演されてたと知った時は愕然としましたよ。『リターンズ』で会話のやり取りは振り返ることが出来たのですが。
 ともかく番組を見てからアルバム『FUTURE LISTENING!』を買ったりリミックス買ったりして……福岡のお洒落なクラブっぽい所でのDJライブに行く機会なんかも(自分、完全場違いだったorz)。1999年のアルバム『Last Century Modern』と2000年の「火星」まではCD買ってましたね。
 テクノポップかラウンジミュージックとも呼ばれるらしいジャンルの傾向があり、ボサノヴァやタミル民族音楽なども交えていて。それから『FUTURE LISTENING!』が、坂本龍一さんの91年のアルバム『ハートビート』(テイ・トウワさんも参加)や94年のアルバム『スウィート・リヴェンジ』、95年の『スムーチー』とも近い感じだった事から、好みが合致してたんだと思う。

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 話を「土曜ソリトンSIDE-B」に戻す。石野卓球さんの次のゲストは坂本龍一さんでした(1995年6/10)。そして細野晴臣さん(7/22)、高橋幸宏さん(9/2)、矢野顕子さんと細野晴臣さん(12/16)と、YMO関係者がゲストで登場していて、番組のシリーズ最終回ではYMO特集まで組まれてました。
 93年の再生YMOから入った自分にとって、それまでは、すでに刊行されていて書店に並ぶ本か古本屋の本、中古CD店のCDなどでしか、文字と音楽でしかYMOを知る機会がありませんでした。あの頃はインターネット黎明期で今のように豊富な情報もなく、触れられる映像も、奇跡的に録画できたテレビ番組程度でしたから。
 それが、この番組を通じて再生以前の事とか再生後の活躍などを含めて見ることが出来たのです。……といってももう既にその映像内容の記憶自体は埋もれてなくなってますが(汗)。でも1995年にリアルタイムでそれらの放映が見れた事は大変恵まれていたように思います。

 という感じで、「土曜ソリトンSIDE-B」を中心に1995年頃の自分の周りでの音楽とかを、記憶と『土曜ソリトンSIDE-B リターンズ』で掘り起こして思い返してみました。あくまでも自分個人の記憶なので、不確かなところとかあるかと思いますが。

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2023年3月22日 (水)

「Twitterアーカイブをダウンロード」を利用してみました。

【Twitterアーカイブをダウンロード】の場所は、
06
【設定とサポート】
 L【設定とプライバシー】
   L【アカウント】
     L【データのアーカイブをダウンロード】

という所にあります。

【データのアーカイブをダウンロード】をクリックすると、ツイッターアカウントのパスワード入力が求められます。パスワードを入力したら登録してるメアド宛に【認証コード】が送られるので、受信して【10分以内】にコードを入手して、ツイッターの認証コード入力画面に入力してください。

 すると【データのアーカイブをダウンロード】に進められます。
 その中でリクエストする感じです。

 ちなみに自分は13年も無駄に長く利用してましたからデータは膨大です。リクエストしたのが【3月17日21時ごろ】で、用意されたデータがダウンロード出来るようになったのは【20日の0時16分(メールとツイッターにて通知)】でした。
 なお、今回の場合だと、ダウンロードの有効期限は【2023/03/26 23:59:38】となってます。
 画面はアーカイブのダウンロードが可能となった状態です。 07 ダウンロードの時間は30分ぐらいだったか。そうしてダウンロードされた圧縮ファイルを解凍すると次のフォルダが展開されます。02

【data】フォルダを開くとこんな画面が広がります。ツイートやダイレクトメッセージでのやり取りに関連した画像なんかもこの階層のフォルダに収納されてます。03
 実際に過去のツイートを閲覧するには、解凍したフォルダのトップにある【Your archive】htmlを起動させる必要があります。そうして表示されたのが以下の画像に写ってるページです。Photo_20230322224101 ここでは過去のツイートやリツイート、ダイレクトメッセージなどが見れます。期間を指定したりテキスト入力で検索してツイートを抽出する事も出来ます。 04 05

一番最初のツイートを見る事も出来ます。自分の最初のツイートは2010年3月5日ですね。

 しかし……実際にこうしてツイートのアーカイブを手にしましたが、膨大過ぎて今すぐ何かを調べるって気になれないです。
 とりあえず今は手元に残しておくとして、必要な時に検索とかでツイートを抽出するいう使い方になるのかな。

(2023年3月22日23:09)

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