太田出版 『超エロゲー』
※雑誌『コンティニュー』に載っていた膨大(にみえたよう)なエロゲのパッケージに通史的な内容を期待してしまったわけですが……。 8ビット時代から今年発売の『ヴァリスX』までのWin時代より振るいに掛けられたタイトルについてレビューした内容となってますね。
期待しているのと食い違ったからちょっと肩透かし……
と、ここで改めて目次を見たら65タイトルぐらいあるからそれはそれで結構な量ですな。
また発売当時ではなくこの本を執筆したごく最近 (Win時代)の視点でPC8801以前の創世記からWin時代初期までのタイトルをレビューすると言う事は、 過去を知らない若手エロゲーマーと視野を重ねる事が可能なのかもしれません。 あくまでもその筆者の視点でもあるのでそのレビュー内容に好き嫌いあるかもしれないけど。
ウチは雑誌で情報収集していた時期に遡ると高校時代に『ログイン』『コンプティーク』 『ポプコム』買ってた頃に至るから(プレイし始めたのは浪人時代からですが一応) 16ビット辺りもタイトル名などは知ってはいるんですけど内容までは深く知らないですね。 なので(あくまでも編集の方の視点での見解となるにしても) どういった内容であったかを知る機会にはなるかと思います。
Win時代にしても『夏色デスティニー』なんて初耳。なんかその発売事情は泣けてくる。
レビュー嫌いには向かない本ですけど、『Theガッツ』シリーズで有名なオーサリングヘブンの日高社長インタビュー (これだけで14P。あと札幌オタクスポット記事含めて20P)はまあ前半しか読んでないけど苦労話とか作り手・売り手の目での発言を聞けて中々面白いです。 家庭用ゲーム機でのインディーズゲーム(アダルト作品中心)の興亡史(6P)については興味があればでしょうね。
最後の《エロゲハンター秋葉原を行く》はライターによる座談会風な感じですが、 筆者の一人・多根清史さんのエロゲ史が語られたりWin時代による色々な変化を指摘されてみたりという部分もあってちょっと素通りできないかも。
“「オカズゲー」と「恋愛ゲー」の二分化と言いますかね”大まかに分けると確かにその通りかも。 でもたっちーは『神語』でその両方をやってしまってるんですが(凌辱サイドは途中で耐えられなかったデス)。
“『Kanon』と『臭作』への二極化ですか!”
“いや、keyとたっちーの二極化ですよー”
なお会話のその前の方では「泣き系」という区分の消滅が指摘されてます。 恋愛ゲーに吸収されたというよりもその「恋愛ゲー」での物語的なジャンル区分そのものが廃れて キャラクターの属性の区分(それと声優買い)が専ら行われていると。
そう指摘されると確かに好みのキャラクターでタイトルを選ぶ事もあるなぁと思い当たるんですよね。 黒髪とか巫女とか佐本二厘さんとか安玖深 音さんとかスレンダーとかorz
ただ、発売前の(キャラや声優買いといった)事前情報で購入タイトルを決める傾向にある点も否定できませんが、 『処女はお姉様に恋してる』や『もしも明日が晴れならば』『郡青の空を越えて』などのように発売後にネットで話題となった例もまだまだ健在であり、 今後もそれで売れるタイトルが出てくるはずだとは思います(市場のタイトルからすれば少数だし話題性は数週間程度である事は確かかも)。
そう実感している点で否定的な反応は持ちますが、 それはともかくキャラクターの属性でタイトルを選ぶ傾向という点はショップ的にもやはり関心を向けてしまいますね……ちょっとそういった方向での重点を強めてみたいかな(販促展開するスペースが足りないけど)。
レビューだけでなら買って失敗だったかなぁと思いましたが、 もう少し読み進めてみるとそれなりに買った意味はあるかなぁと思えるようになりました。 まだ全体を読み切っているわけではないので……最終的にこれはこれでと満たされるものである事を祈りつつ、 少しずつ読み進めていきたいと思います。
まあ内容がエロゲなだけに通勤中にページを開くのが憚れるのが難点だがね(爆死)。
(11/25 1:55)
| 固定リンク