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2007年12月10日 (月)

『てるてる天神通り』第1巻 (児玉 樹さん)

 (関連 児玉 樹さん)

※昨年完結の『Canvas2』では原作を越えたと評価されウチも熱読した児玉 樹さんの初のオリジナル連載の単行本です。
 雑誌『少年エース』で連載されていたんですが……『Canvas2』完結に合わせて購読を止めた為、 その新連載も掲載リアルタイムでは読んでなかったのですよ。 しかしながらその作風を知ってますから「きっとハートフルで面白いはず」ということで単行本化をず~っと心待ちしておりました。

 お話はとある面白い商店街が舞台。 6年ぶりに帰ってきたケーキ屋の息子・幸村天志(たかし)がくじ引きで町内会長に選ばれた事から始まります。
 周りには幼馴染で甘味処『天井屋』の看板娘・天井御菓子(みかこ)に蕎麦屋の看板娘の北原冬子、 それに骨董屋の息子・真名井草輔と個性豊かな友人もいて(更に最凶の年上幼馴染も)、 更には商店街の住民もお祭りのように賑やかで、退屈という言葉を知らない街のですが…… 素直じゃない天志は「町内会長=雑用係り」とばかりに毎日振り回されっぱなし(苦笑)。

 しかしそんなハズレくじ同然の町内会長という職務には秘密があって…… 会長バッチを身に付けるとなんと「福の神のおフク」などこの通りに住む「天神」と会話出来るようになり、 その通力を扱う事が出来るという特典付でした……天志クン、更に嫌がってます(苦笑)。

 毎回なにかイベントが起こっている 変人通り 天神通りで難題解決に無理やり奔走させられる天志くんを中心に、 身を刺すようなシリアスな展開からドッと大笑いするようなネタ、アクションシーンまで(!)緩急交えたエピソードが綴られてますが、 たとえ悲しい出来事でさえ笑顔で吹き飛ばしてしまう懐の広さと優しさがこの『てるてる天神通り』には満ちてますね。 各話の最後は毎度のオチでしめられてますし(ここもツボ)。
 事詳細を触れたり、好きなシーンを挙げようとするといくらでも書けるような気がするぐらい、 とにかく何度でも読み返したくなる楽しくて優しいコミックです。
 というかココまでくると「児玉節」と呼んでもいいんじゃないでしょうか、この人情劇的な作風は。

 また単行本の方では『Canvas2』の時と同じようにカバーを外すと連載告知の時の2ページコミックが、 そして4コマ2本にあとがきマンガといった描き下ろしがそれぞれプラスされてます。

 にしても今回の主人公も目つきが悪い(笑)。 そんな彼を振り回す友人たちも本当に影も光で照らすほど愉快で魅力的ですし、 おフクも妖精さんのようにちんまくって生意気で子供っぽくて神様らしいキャラクターですね。 そんな賑やかな住民がたくさんいるから……打ち出の小槌のようにこれからも幸せを招くエピソードが読めるんだと思います。

 っていうかネタバレし過ぎないよう抑えようとするとなんとも抽象的な表現に終始してしまうな(苦笑)。 和むとか癒されるなんて在り来たりな言葉を使わずにその作風が伝わればいいんですが。

※この『てるてる天神通り』に加え、『Canvas2』に続くゲーム原作のコミカライズも描かれているんですが、 なんというか『コンプティーク』数ヶ月前の号でのあの発表には本当に驚きましたよ。なんせウチのサイトが応援する AUGUSTの『フォーチュン アテリアル』のコミックなんですから。 先の「児玉節」に光るものがあったからこういった縁が出来たんだろうなぁと思いますね。 こちらだけは(『コンプ』だと読む連載とか記事が多いから)連載リアルタイムで読んでいきますので~。

※次は『てるてる天神通り』と対極的なくろがねぎんさんの『HR』の感想ですね。また数日後に時間があればorz

(12/10 1:00)


※っと『てるてる天神通り』についての感想なら『Canvas2』連載と前後して出された児玉 樹さんとツガノガクさん(コミック版『涼見やハルヒの憂鬱』)の合同同人誌 『えびてん01』『えびてん02』についても触れておかないと。

 こちらは04年11月と05年2月に発行された同人誌で、 『エース桃組』2004 winterで『騒々、背高草』を描かれてたツガノガクさんはSFものを、 そして児玉さんは天狗様のお話と狐の妖怪さんのお話をそれぞれ描かれてます。
 優しいヒトあらざるものが登場するだけでなく、 『Canvas2』や今の『てるてる天神通り』に通じる雰囲気も兼ね備えてたりしますね。

 今更改めてその時系列をみると、 『エース桃組』連載の『Canvas2 エクストラ・シーズン』が2005年冬号(04年12月頃発売)で完結し、 05年4月に『Canvas2 ~虹色のスケッチ~』連載スタートとなる間に作られた同人誌となりますな。
(05年2月発行の『えびてん02』には以前にゲストで描いた漫画が再録)
 これまで『虹色のスケッチ』第1話でシリアス面を加え、それ以降の作風を決定付けたと思ってたのですが、そうではなく、 それ以前(『エクストラステージ』連載中かそれよりも前)には作風の要素を全て揃えていたのかもしれません。


 優しい「ヒトあらざるもの」と人とのお話をこのように重ね重ね描かれているという事は、 児玉さんにとっても優しい「ヒトあらざるもの」が何か特別なテーマなのかもしれないですね。

(12/11 3:25)


※部屋の片づけをしたら平野耕太さんの『進ぬ』の伊豆逃避行編や林家志弦さんの『不思議な妖精ピサチ』など発掘。 その中にツガノガクさんの『騒々、背高草』も。
 ツガノガクさんというと『涼宮ハルヒの憂鬱』に『時をかける少女』(こちらは未読)、 先の同人誌とSFっぽいというイメージが強いけど、 『騒々、背高草』は田舎が舞台のノスタルジー性徴期ものです。 田舎が舞台だという事だけは覚えてましたが内容を改めて読んで結構意外だった。
 ただ『ハルヒ』以前に読み切りのその1話を保存していたという事は、読んだ当時何か思い当たる部分があったのかも。

(12/14 2:05)



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