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2008年1月 8日 (火)

『Fate/zero』第4巻 読了

※今世紀最初の英雄叙事詩『Fate/zero』をついに読了。ライダーさんの臣下になりたいです。

 ほぼ全域がアクションシーンの連続と言う感じで、時々、 高空の雲の隙間から大海を望むように静を描くあたりなんかは ノベル版『ファントム』『ヴェドゴニア』の頃のような作風の印象だったりします。 ラストの淡々と静まったエピローグの進行なんか特に『ヴェドゴニア』のラストシーンとも雰囲気がやや重なる。
 ただ、そのエピローグは実質的に続く 『Fate/stay night』のプロローグ以前のエピソードという意味合いが本来であり、 つまりは「これにて終結」とはならない規定事項であり必須だとも分かっていますが、 しかしながら、 『zero』という世界観に限る視野だと聖杯戦争の結末の破滅さから一転して淡々と後始末を描く辺り、 もしくは終わりが陰謀渦巻きながらも余りに平穏すぎるものとなっている (切嗣の安寧という位置付けでしょうけど)点で、 僅か数%ながら蛇足のように感じる部分もあります。

 それは聖杯戦争のクライマックスでの戦闘的文章の筆調が余りに華麗で残酷で劇的で暗転していたからその落差に上手く降り切れなかったのかもしれないし、 いくつもの陰謀とか禍根が残されたまま『zero』が幕を下ろしてしまったからかもしれない。 もっとも後日談たる『Fate/stay night』を知らな過ぎる為なんでしょうけど……。

 で、今夜はさっきまでウイキペディアにある『Fate』関連の項目をネタバレ全開で読み漁っておりました。 ある程度は雑誌付録の用語集とか読んでましたがいくつか今回の調べで初めて知った設定などあり、 興味に尽きなかったです。あ~でもいつか『Fate』本編はプレイしてみたいんですけどねぇ。 『月箱』でさえ老後の為に封印している具合なのでなんかその頃までプレイできそうにない気もしますorz


※次の読書@通勤の朋は……
◆自分が表紙を描いてます風蛍さんなどによる『フォアテリ』小説集『FMPC』は…… なんか自分の表紙というのが恥ずかしいので自宅で読みます(爆死)。早く届かないかなぁ~。
◆『空の境界』下巻(講談社ノベルズ)は「忘却録音」まで読んだ後にファミ通文庫『おとボク』ノベルに移っていて中断してたので、 こちらを再開するという選択肢。
◆メロンブックス通販で注文済みの三水舎:鳳さん の『水月』ノベル『夢ノマタ夢』という選択肢。ただし届くのはまだ先。
かにしの陰謀団の『LoversChronicles』はサイズ的にも携帯不可なので寝る前に読んでます。 後1話残すのみかな。

(1/8 3:15)


※ネタバレしないようにしつつ昨晩に眠た目で書いてたから上記のテキストは読了感想的には微妙でした。 なので色々と後書きします(苦笑)。

「衛宮切嗣」という人間は、願望と行動とに大きな隔たり(矛盾)を抱えている故に、 更には4巻の最終決戦でのセイバーに対する決定的な裏切りを引き起こした故に、 そして余りに孤高すぎた故に、嫌悪感を抱くには至らず同時に好意をも抱けず、 余りに癖の多い人物でありながら「反英雄」ともするには何か足りない。
 ライダーさんが漢気溢れすぎる英雄として、アーチャが唯我独尊なキャラクターとして、 セイバーが忠義ある騎士王として、ウェイバーは……弄られキャラ(笑) というように余りに個性的なキャラクターが多くあり目立ちすぎた為に、 それらに隠れるように「衛宮切嗣」は『Fate/zero』という舞台における癖のある役者らの一人、 冷徹さを極めている者と思い込んでもいたのですけど。(なお、セイバーに対する裏切りは訳あっての行動)

 しかしこの第4巻では冒頭に切嗣の過去(少年時代)を置いたことで、そして稼動した聖杯を前に (といってもその聖杯は……)自らのこれまで抱えた矛盾に対する彼自身の真の願望を明示し、抗い、 そして全てを失った後、唯一手にした未来へその真の願望「正義の味方」になる事を託すことが叶った。 そういう意味ではこの『Fate/zero』の真の主役は「衛宮切嗣」であり、 10年後に繋ぐ為の蛇足のように思えた終幕も、彼の願望を継承させるという意味あるものだったといえます。
 屈託なく切嗣の願望を受け継ぐと宣言した衛宮士郎の姿に切嗣はやっと安寧を抱く事が出来た……。


 あと、ライダーさんのマスター・ウェイバーのラストシーンですぐ思い出したのが 06年夏コミ初出の『キャラクター マテリアル』にあるロード・エルメロイII世。 つかテレビゲームに「大○略」Tシャツ、解説にあるいくつかのキーワードを統合すれば、 あの軟い青年が難しい大人に成長した姿となったのがエルメロイII世(テレビゲーム好き)だというのは明白ですな。 なるほど10年後にも僅かながら絡むようで。彼のラストに「テレビゲーム」をわざわざ置く辺りは(苦笑)。

※昨晩のネタバレ探索で一番驚いたのが10年後に召還される「ライダー」の真名。 特に彼のエピソード辺りが『Fate/zero』と直結しないまでも今回触れた後書き部分と関連しているようですねぇ。 それ以外にも言われてみれば某主人公と「ライダー」とには確かに「料理」とか共通するスキルもあるわな(爆)。

(1/8 23:35)


(関連)
Fate/Zeroの物語的制約(ギアス)  (かなり詳細に全般を分析されてます)

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