『フォーチュン アテリアル(1)』『てるてる天神通り(2)』

　(児玉 樹さん)

※『てるてる天神通り(1)』の感想は去年こっちで書いているんだけど、 この第2巻も……そうっすねぇ相変わらずっていう感じです(良い意味で)。
　それでも幼馴染の御菓子に「福の神のおフク」の存在がバレたり、 運勢の悪いメイドさんが迷い込んできたりといった変化も勿論あります。
　眼つきが悪い主人公の幸村天志は毎回のように振り回されてますけど、 天神通りの町内会長(天神の通力を扱える長)らしく、 問題事を解決しようと動くようになってきてますね。
　と、そんな時に限って(汗)。「疫病神」にとり憑かれているメイドさんには別の目的が……。
　メイドさんが密かに連絡をしていたツンデレお嬢様「高津原五十鈴」と幸村天志との関係は!? 　そして「雪の日の朝の復讐」って何!?

　と、あらすじを紹介して、今回はふるさと「天神通り」に戻る前の幸村天志のエピソード、 捻くれた性格の原因のひとつがここで明らかとなるわけですが……

“他人を蹴落として上に這い上がるようなそんな人間に俺はなりたかったわけじゃねぇ!!”

って言う割には、第1巻で天志は町内会長就任を凄く嫌がってたんですけど (雑用係っぽい仕事の上、住民の期待に応えられていないと)。
　ここがどうも繋がらないので悩んでしまいました(汗)。
　どちらも周囲が勝手に期待していたという点では共通してますが、 そもそも天神通りの住民の期待というのは天志の一方的な受け止めであり、 更に進学コースからの転落という自省の念が絡んでネガティブな思い込みとなってます。
　その点で進学校時代での教師という外部から実際に向けられていた「期待感」とはその性質は違う。

“うんざりなんだ。他人と比べられるのも、勝手な理想を押し付けられんのも”

　第2巻収録第7話でのセリフ。ここが指すのは過去であり、 そして天志のパートナーであるおフクが毎度のように愚痴る先代との比較(苦笑)。 まぁ愚痴っといってもしょうもない原因での言い言葉に買い言葉といった勢いあまってなんですけどね (そもそもおフクも天志の長としての成長振りを認めてますし)。
　一応、おフクとの口げんかの件は喧嘩両成敗って事でお互いに謝って終了となりましたが、 多分ここが第2話の第13話に繋がる前振りだったんですな。

　ともかくこれで主人公が吹っ切れたという事なので……これで御菓子との仲が進む……と思ったらなんとまぁ、 気付けば疫病神憑きのメイドさん「八雲」に嵐を呼ぶ(笑)ツンデレお嬢様「高津原五十鈴」と、 将に三つ巴状態デス(苦笑)。
　八雲と天志とのアレな事(というかこれは誤解だったんだが) を目撃してしまってから胸焼けを覚えた御菓子は今後どう振舞うんでしょうね。 ぶっちゃけ五十鈴のあの件も似たような成分だしな。
　とりあえず天志クンにはそのハーレム状態に苦しんでもらおうか(苦笑)。


『フォーチュン アテリアル(1)』の感想にやっといける。
　第1巻は孝平が修智館学院にやってきてから伊織と瑛里華の正体を知ってその上で生徒会に入るという 「体験版」の範囲までを収録してます。 基本原作通りでいてやはりコミックという独特のノリが効いてますね。 加えて毎回オチがついているし(『Canvas2』から引き続いてです)。
　ここまでは原作のコミカライズという点でほぼ忠実ですが(桐葉に抱きつくとか追加イベントあり)、 第2巻で収録であろう体育祭以降、 連載ではかなでと陽菜との過去が登場するように 各ヒロインのシナリオエピソードが一本の束に紡ぎ足されていくのでしょう。 これからがそういう意味では児玉さんの腕の見せ所でしょうし面白くなっていく所だと思います。

　この単行本2冊にはそれぞれ描き下ろしの4コマが数本ずつ収録されてますので要チェックです。

　それとこの2冊の発売に合わせて《てるてる×FORTUNEキャンペーン》が開催中です。

A賞　べっかんこうさん描き下ろし『てるてる天神通り』QUOカード
B賞　児玉 樹さん描き下ろし『FORTUNE ARTERIAL』QUOカード

が抽選で合計100名に当たるとな！　どちらにするかマジで迷うぜ(苦笑)。

(関連)
　児玉樹先生の「FORTUNE ARTERIAL」と「てるてる天神通り」 (ヤマカムすーぱーさん)

(7/29　0：50)