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2008年10月 4日 (土)

藤井理乃さん『羊くんならキスしてあげる☆』

 (藤井理乃さんE★2 コミックス)
漫画:藤井理乃さん  原作:野村美月さん

“高校生執事くんと5人の魅力的な女の子たちが繰り広げる、 下宿屋ラブリープロジェクト!”(帯より)

 永原 羊くん:一姫を長くお世話してる高校生執事
 一姫 : お嬢。小学校に入学したばかり
 麻生小鳩:泣き虫七×七の四十九光(コネ?)アイドル
 知念 渚:羊くんの同級生。高飛車、女優志願
 神凪ソアラ:当たらない占い師
 佐伯透花:他人嫌い、意地悪(?)
※揺れ動く人の気持ちとか感情の表現が独特の絵柄に強く出てる藤井さんの単行本最新作です。  藤井さんの作品というとコミック版『はぴねす!』 (感想1感想2)や 『CLANNAD~光見守る坂道で~』以来ですが 今回は来年春にゲーム化するというゲーム化前の原作ものとなりますね。 連載されていた雑誌は買ってなかったので(汗)この単行本で初めてそのお話を読むことが出来ました。

 お話は、両親が失踪したり行方不明となってしまったお嬢様・一姫と、 一姫が赤ちゃんだった頃からお世話し続けてきた執事の羊くんが、 困窮した生活を脱する為に屋敷を下宿にした処、癖の多い住民が集まってきた。 そんなところから始まる群像劇です。

 お話の中には羊くんに既に何らかの好意を抱いている状態から進んでいくものもあり、 ちょっと前置きが省略されている所も見受けられますが、 下宿人それぞれの表に見せている部分と内面とかが見え隠れしてます (ソアラ姉さんも笑顔の裏には色々と重いものを抱えているようで)。
(※藤井さんのブログによると“小説と連動企画漫画だったので小説がありきの部分が多くなってしまう”とのことでした。 ファンブックは今度ショップで探してみます)

 その中でも特に複雑な家庭環境から出てきたという「佐伯透花」について多く語られている感じですね。 刺々し過ぎるほどの人間嫌いだった彼女が一姫と手をつないだ事から少しずつ氷解し始め、 羊くんに対する複雑な感情(幸せそうに見える一姫を巡る嫉妬から始まってるんだよねぇ)と 「守る事と見守る事を取り違えてしまう」事から縺れる事もあるけど、 それがひとつの気持ちに辿り着くまで全体を通して描かれてます。

 ソアラさんは傍観者に近いですが、 一姫の望みを手助けしたり透花の心を解きほぐそうとするなど下宿の住民の姉的存在となってますね。 ただ彼女自身も占いが当たらないのではなく余計なものまで見えてしまうという能力に悩んでいたのですけど、 この幸せな下宿のみんなとの未来に触れた事で前向きな気持ちを手にしてます。

 さて主人公はというと……お嬢様・一姫とその執事の羊くんですが……時々の二人のお話も交わり、 特に一姫が一番大好きな羊くんの手伝いができるようがんばっていく姿なんかも描かれてますが、 ちいさな一姫はこの下宿での群像劇を眺めて大好きなみんなが仲良くなることを望んでいる事に終始してますね。 透花と一緒にいる時も透花の思惑とは全く関係なく純粋にそう望んでます。
 羊くんは……なんだろう、赤ん坊の頃から一姫をひとりで育てお世話し続けた苦労人ではあるんだけれども、 その健やかな成長を見守り幸せを願うからか在り得ないくらいの献身さを持つ。 だけど下宿人の面々と関わる場面が限られてるから基本的に「いい人」という印象しか受けないんですよ。 (透花以外は)既に何らか好意を抱いている状態でその前までの過程が省かれているからだからなんでしょうけど。 「いい人」までの過程も見れたら最後に語るソアラさんの予言の重みもより増したんじゃないかな。

 主役の二人がまるで下宿という舞台の一部と化しているのはそもそもその舞台を用意したのがこの二人だからなのですが、 ラストシーンに映る未来の綺麗に成長した一姫と羊くんの姿はそこが拠り所に留まらない存在であったと感じさせますね (ソアラさんの予言だから間違いない)。

 そいえば……羊くんって誰ともキスしてないや(苦笑)。未来の一姫ちゃんの気持ちはどうなったんでしょうね。

(10/4 13:50)



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