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2009年2月19日 (木)

ネット普及前後に見る、いち地方におけるユーザーへの作品情報の流通について

先日触れた際には主にオーガスト系サイトとして自分に当てはめてみての解読に終始してましたが、 ちょっとそれではオーガスト関連として扱うには限界あるのでここで仕切りなおします。


 ちなみにオーガスト系の同人サークルについては今度の「FORTUNE ARTERIAL」オンリー同人誌即売会「珠津島ほりでぃ」での参加サークル数が50です。 また先日のコミックトレジャー13では、Key系(63サークル)、Leaf・アクアプラス系(25サークル)、  TYPE-MOON系(18サークル 今回は少なめ?)、オーガスト系(15サークル)といった感じで、特に『リトルバスターズ』で申し込んだサークルが多かったです (『アイドルマスター』は43、『かんなぎ』は27、『涼宮ハルヒ』39、『とらドラ!』22、 『らき☆すた』26、『なのは』シリーズ102、といった感じでした。『東方』は『なのは』の更に4倍近く)。
 同人全体からするとまだ少数、エロゲジャンルでいうと「葉鍵型月」を除いた中では多いものの、 それらを含めるとやはりオーガスト系は少数派といった感じで間違いはないでしょう。 エンドーさんによるサークルのリスト化や即売会直前のネットラジオを通して同人関係の情報が網羅しやすい事、 サークルの水準が結構高めな事(最近だと蒼魚真青さんの参入が大きかったです)も過剰な評価に結びついたのかも。

 あと「あざとい設定」や「判りやすい」ストーリーという指摘については……、 変に色々と考察しているからか、ウチとしてはそうとは限らないと言いたくなるんだけど (いやだって説明不足で色々と突っ込める所が多いんだもん、色々と考えちゃいますよ)、 でもオーガスト界隈でも少数派だしなぁorz


 とりあえずここでは「エロゲーが大ヒットする条件・参加のアーキテクチャ」 という題材を元に色々と考えてみる事にします……というか、 書いている間にその題材から迷走してどんどん方向が離れてしまいましたのでorz

 それとウチが書き記していくテキストはあくまでもウチが見て感じた範囲です。 地方のコミュニティとかにも属したりしましたが、 情報的な範囲は大都市でのコミュニティとかと比べるとかなり狭いはず。 なのでこれが必ずしも全国的な地方での状況という訳でもないでしょう。


 まずは今回の論点をメモ。
◆売れるエロゲーは『ユーザーが参加する』  (緑玉板2.0さん)

◇“まるでキャラクターとその世界がゲームから飛び出したかのように、コミケの一般ファンを巻き込んで、 みんながマルチとToHeartに参加して楽しんでいた”

◇“当ブログではエロゲーのユーザーを『10年早くWeb2.0の世界に行った人々』と定義づけている。(中略)  ユーザーが参加することによってゲームのキャラや世界が確立し、 ユーザー数の増加によってゲームの価値が高まっていくという好循環だ”

◇“『参加しやすい素材』とは、そのゲームに使われてるパーツのことだ。 『キャラクター』『セリフ』『印象的な1シーン』『背景絵』『音楽』『声』『アイテム』など、 ゲームとして組み合わさる前の素材”

◇“エロゲー業界人や、エロゲーに詳しい人ほど「なぜAugustが売れるのか解らない」とよく言うが、 Web2.0のキーワード『ユーザー参加』の視点で見れば、Augustは売れるのが当然のメーカーであり、 その理由もまた明白なのである”

◇“これらの結果がこのサイトである。《August Dojin Data Base》 見ての通り、数えるのも嫌になるほど大量のオーガスト系同人サークルだ”


『参加のアーキテクチャ』  (緑玉板2.0さん)

 ①ユーザー参加機能をサービスにビルトインし
 ②ユーザーが生成したデータがネットワーク側へ蓄積され
 ③蓄積したデータをサービスに反映させる という一連のメカニズム


◆二次創作しやすいゲームなんて、狙って作るものじゃない
 (Half Moon Diary:ラルフさん)


◇“描きやすいから描くんじゃなくて、描きたいから描く”

◇“面白いゲームを作れば、ユーザーが自分で「Web 2.0的な」仕組みを使って広めてくれる”

◇“オーガストのゲームが売れてるのは、一言で言っちゃえば絵が可愛くて、設定があざといからです。 オーガストは充実した素材を提供しているのかもしれませんが、それが売れている原因ではありません。  大体、オーガスト同人って大勢に影響与えるほど――上記のエントリで挙げられているToHeartほどという意味ですが――多くないと思うんですが”

◇“ただ、普段ゲームをやらないユーザーにこそアピールする作品が売れる、 というのはまったくその通りだと思いますね”


 まず、話題の前提として『参加のアーキテクチャ』という言葉の理解と咀嚼に努める必要があります。 というか「Web2.0」なんて言葉も全くよく判らないもので(汗)
『参加のアーキテクチャ』  (緑玉板2.0さん)

 ①ユーザー参加機能をサービスにビルトインし
 ②ユーザーが生成したデータがネットワーク側へ蓄積され
 ③蓄積したデータをサービスに反映させる

 という一連のメカニズム

「同人(二次創作)」という分野に当てはめると、
 ①⇒二次創作したくなる原作ゲームのキャラや世界観(舞台設定)
 ②⇒二次創作で蓄積された要素が原作ゲームのキャラや世界に加筆
 ③⇒追加された要素を原作者側が黙認(消極的容認)~容認~公認

このサイクルが拡大されていく(ユーザー数の増加によってゲームの価値が高まっていく)ということでいいのかなぁ。 この流れは『ちゅるやさん』『キョンの性転換』ブームの経過にもちょうど当てはまる気もしますが、 エロゲ界隈では、1作品の消化ペースが余りに速いこともあってすんなりと当てはまらないような気がしてならないです。 強いて言うなら作品コンテンツの寿命が長い作品だけが適用されると。
『ハルヒ』関連の派生も、そもそも息の長いコンテンツが色々と弄れ続けた(二次創作される) 事で要素(ネタ)が飽和状態になった、 そんな閉塞から脱する為にネタの再発掘をしている最中、 ひょんな事からユニークな要素が突然溢れ出した事から注目されたのでは。
 そのようにネタの再発掘が必要なぐらい色々と弄られる、 寿命の長い作品だけの特権となる条件のような気がします。そのレベルとなると、 最新作にも負けないような継続的な支持の集まる作品に限られますね(『月姫』『ひぐらしのなく頃に』『ToHeart2』がその代表でしょう)。



 と、実はここの『参加のアーキテクチャ』についての定義変換作業は、 以下の文章を書いた後に記したものでして……というか『参加のアーキテクチャ』を理解していなかったばかりに 「ウチのこの半日はなんだったんだろうか」と思うくらい、無駄な考察となっちゃいましたorz

 なので『参加のアーキテクチャ』について正しく咀嚼できていないっぽいですorz



 緑玉板2.0さんは結構キャリア長めのゲームシナリオ作家の方で、 経歴を見ますと『ToHeart』が盛り上がった頃も現役の方ですね。 そこで目にした未プレイのはずの年齢層によるファン行動とか同人サイドでのブーム発生に衝撃を受けて、 “エロゲーの大きなトレンドが変わったことの象徴”と捉えられてます。 ここで前提となるのは「1997年」の頃だという時代背景のはずなのですが、 なんかそれが昨今と混同されているような(汗)。とりあえず「1997年から1999年あたりまで」 について整理しながら、自分が居たとある地方での状況について触れていきます。


 プレイできない年齢層のファンが発生した(《同人における参加のアーキテクチャ》の①)背景については、 (裏技を使ったというケースはとりあえず省くけど)ストーリーを知る術が無いという環境条件を考えると、 「キャラクターという素材」というビジュアルに魅力を感じた事がきっかけとなった点は大きいでしょう。 ここが緑玉板2.0さんの指摘されている1997年の最初の起爆剤です (『雫』『痕』から既にチェック入れていたユーザーも居たでしょうけど)。


 ネットがまだ今日のような普及を迎えていない頃、作品が更に広がっていった経過はこんな感じでしょうか。

 そのストーリーという内容についてですが、 これは1997年より『電撃大王』で連載が開始となった高雄右京さん手掛ける『ToHeart』コミカライズによって とりあえず広く知る術を得てます(ウチはその第1巻を98年の夏に福岡天神の丸善で購入してます)。 キャラクターと断片的な情報しか知らなかった層も関心ある方ならそれを手にしてその内容を知ったのでは。

 それから公認アンソロジー本の発売(99年8月)といった二次創作的なコミカライズによって、 「作家のフィルター」を通してですけど、その内容が更に紹介されていったはずです。 ここでの過程で《同人における参加のアーキテクチャ》が段階的に初めて機能し始めているかと。

 作品の広がりについては、トレーディングカード(98年3月)やマスコットフィギュア(98年6月)、 カプセルフィギュア(98年12月頃)といったグッズアイテムの登場も欠かせませんが、 この辺りはキャラクター信仰についての議論に関係しますので今回は省略。


 コミカライズや公認アンソロジーは同人即売会や同人ショップといった所ではなく、 コミックの置かれるような全国の書店や玩具店・カードショップなどで展開されました。 このようにメーカー(Leaf)が関わる形で作られたアイテムが全国規模の展開をみせたことも 『ToHeart』ブームにかなり影響を与えたはずです。
《同人における参加のアーキテクチャ》についても公式アンソロジーで接する事となり、 それはまた参加される同人作家への憧れとかにも志向したのではないでしょうか。
 ちなみに、《同人における参加のアーキテクチャ》としてLeaf関連で派生したネタというと…… 「ドリームキャストの精(氷川へきるさん)」とか? ですが、それが三次的創作にまでは至ってなかった、ですよねぇ(多分)。
吉田創さんやむねきちさんによるネタなんかも色々と記憶に残ってるんですけど(気合いでレーザー光線を屈折させる坂下とか)。


 情報のスピードも地方では手に入れやすいアイテムの発売時期に歩調を合わせていたと思います。 そもそも当時のインターネット環境は一般家庭にはそこまで普及していないでしょうし、 たいていは学校施設の電算室を利用していたのでは。ウチも大学の電算室から 『ホワイトアルバム』の美咲先輩FCや『ガングリフォン』ファンサイトに通ってたものでそう思うだけかもしれませんが(汗)。

 だから、関心の度合いからしてファンのアンテナは高く密度も濃いでしょうけど、 ネットによる影響については(上記の書籍・グッズの普及と比べると) 非ネット環境のファン層を掘り起こせたかで見れば限定的だったかと思います。 それこそ各所で出来た小さなコミュニティの中の誰かがネットに繋がっていれば環境条件は変わりますが(供給される情報量次第)。


 ウチは大学卒業後は数年ぐらいネットと接する機会がほとんどなく、 雑誌などからの情報と誰かが遠征するコミケの戦利品を回し読みするぐらいしか情報を得る術がありませんでした。

(今はサイト最古のコンテンツとなっているアニメ版『ToHeart』の用語集は、 そんな限定的なネット環境の下、 広島や福岡の地域にいた知り合いのファンなどからの反応を聞いたりしながら、 放映内容や関連する本などから情報をまとめて黙々とワープロに打ち込んで作成していったものでした。
 初めてそのコピー本を地元即売会で出した際に、 思想脳労さんの同アニメ解説本を偶然手にするまで、 地域外からの作品(アニメ版)への反応は得られてなかったはず。
 一応、最近でも時々勤務先であったりする知り合いの御方に間借りして事典をネット公開してましたが、 仕事で収入を得てパソを手にしネット環境を得た2000年8月末にやっと現在の環境に至ってます。
 ちなみに事典を作るきっかけは大学時代にネットで読んだ『ToHeart』PC版の事典から。 そのオフセット版をサークル通販で手にした事からでした)
(というか、そのころから考察系に傾向してますねorz)


参加のアーキテクチャによってエロゲーが大ヒットする条件(緑玉板2.0さん)

1、インターネットによる情報伝播
2、ユーザーの二次創作をメーカーが積極的に支援
3、ユーザーが参加しやすい素材を使ったゲーム
 少なくとも「1」の条件についてはまだ20世紀末前後は限定的だったでしょう。 上記で触れているようにアイテムが全国的に手に取りやすくなった事の方が大きいはず (「2」の条件が当てはまります)。 二次創作の支援についてもそのアンソロジー本という舞台に吸収されていった事で、 同じように全国に広められたのでは。

「3」については、パッケージ的な素材による影響はもちろん否定できない重要な部分。
『セリフ』『印象的な1シーン』『音楽』『声』『アイテム』という素材も、 フィギュアによる再現(アイテムとか)や同人作品での紹介(セリフ・シーンの再現)を通じて、 それらを手に出来る環境にあるファン層に更に広まった。

 特に『音楽』という素材は最初の同人アレンジ音楽のブームを作り出した契機だったはず。 そこでの活躍から台頭して今日のエロゲBGMに関わる方も多いですね(Apple plojectやLittle Wingなど)。
(音声についてもサンプリングした同人CDが確かに存在してましたが、声はその後NGとなってましたね。 ウチもそのCDは幾つか持ってる。 そいえばLeaf初期のCD-DA版ディスクの音楽トラックにはスタッフの方々の声でサンプリングされた隠し曲があってな)

 ただ「3」は、そういった素材を利用できるユーザーは 同人誌とか音楽アレンジを作る技術レベルと意欲がある方に対象が限られます。 そういった二次創作できるユーザーなんて全ユーザーから数えても大ヒットの一部を担うに過ぎません。  そしてそこから発することの出来る影響力は、二次創作物が頒布される範囲(即売会・同人ショップ)に限定されます。 これもやはり限定的です。ただし、同人誌に関わる人たちなら公認アンソロジーに参加する機会があれば状況は変わります。



だから緑玉板2.0さんの示す《参加のアーキテクチャによってエロゲーが大ヒットする条件》の定義は、 20世紀末前後の状況下ではまず次のように絞り込まれるのでは
A ユーザーの二次創作をメーカーが積極的に支援(容認・公認アンソロジー本を監修)
B ユーザーが公認されたアイテムを手にしやすい環境下にある
緑玉板2.0さんの提示したこれらの条件は今でも当てはまるかな。

 これに加えて必要なのは、
“描きやすいから描くんじゃなくて、描きたいから描く”
(Half Moon Diary:ラルフさん)
と言われるような要素。これは上記の「3」とも絡みますが、それの前提となる追加条件といえます。 つまりは「二次創作にするだけの魅力」がなければ、いくら窓口をメーカーが開いたとしても、 その作品から二次創作する人なんて現れない(極少数に留まる)という事です。

 あと、その「3」の条件での事例で取り上げられている「参加できないゲーム」の所ですけど、 結局は「二次創作にするだけの魅力」があるかどうか次第であって、 難解さが弊害となるかどうかというよりもその弊害を乗り越える意欲が二次創作者にあるかどうかなのでは。
 ただ、難解さを廃してその表層的な「キャラクターの魅力」にクローズアップする傾向の方が、 全体としては多いかなぁとは思いますが(作品の抱える難解な要素を取り込んだ二次創作も実際にはあります)。

C 表層的にまずアピールできるような魅力ある素材(二次創作したくなるような素材)をメーカーが提示

加えて、魅力(関心度)を更に盛り上げるような情報をメーカーが(店頭や雑誌などで)示し、 注目を得られるようなムービーや音楽を(発売以前、そして以後に)公開するといったメーカーのアピールこそ重要といえます。 「参加のアーキテクチャによってエロゲーが大ヒットする」事はそもそもあくまでも二次的なヒットなのですから (しかしながら、ロングセラーという観点から言うと「参加のアーキテクチャ」による影響はかなり大きいはずです)。

D 雑誌などからの情報供給・情報の露出

 話題性とかの普及方法をインターネット普及以前(ネットと口コミ以外)で考えると、 後はエロゲ雑誌しか思いつかないんですよね。 これについては、「作品情報」や「レビュー」に限らず、「読者投稿」による紹介とか投稿イラスト、 それから誌面で紹介された同人誌なんかも(他から同人の情報を得られないなら)それなりに読まれていたかも。 また1997年や2000年の頃、そういったエロゲ雑誌ってまだ「18禁」扱いになってなかったですから (ここ数年はアダルト素材を用いている雑誌はどれも「18禁」扱い)、なんとかがんばって買っていたのではないでしょうか。

 とりあえずウチはあの頃、『E-LOGIN』『PCエンジェル』(途中から『カラフルピュアガール』も)といった雑誌を買って読んでいた他は、 ゲームのチラシとか店頭でのデモや店頭での紹介でしか情報を得られてなかったはずです。

 雑誌付録にCD-ROMが登場した事も情報供給に影響を及ぼしたかも。 当時CD-DA形式でBGMのトラックが音楽CDと同じ規格でしたので、 発売前の『ToHeart』や『ホワイトアルバム』『こみっくパーティー』『Kanon』『Air』の主題歌を聴く事が出来たのです。

 以上からウチが整理して《参加のアーキテクチャによってエロゲーが大ヒットする条件(改)(仮)》 を定義するとこんな感じに。
A ユーザーの二次創作をメーカーが積極的に支援(容認・公認アンソロジー本を監修)
B ユーザーが公認されたアイテムを手にしやすい環境下にある
C+D 表層的にまずアピールできるような魅力ある素材(二次創作したくなるような素材) をメーカーや雑誌などから情報供給・情報露出
 しかしながら、全てのユーザーが二次創作するわけではないのだから、 以上の定義や《同人における参加のアーキテクチャ》自身には、 作品コンテンツの寿命が延命されるのを支える一部、大ヒットを支える一部を担うに過ぎないような気がします。  ただその影響は、対象となった作品に限ら そのメーカーの出す次の作品、原画の方が次に描く作品にも当然に引き継がれます。
「売れた」ことで「名作を作れる可能性」が格段に大きくなるのである
(緑玉板2.0さん)
 最初の作品は発売直後により注目されていきますが、 注目を浴びて好評だった後、次に出す作品に対してはその発表の時から注目されることとなります。 そしてこのような次回作がより注目されていくというサイクルは、 メーカーが反響に確実に応え続けていけば、拡大して続いていくこととなり (それがうまくいかないと混迷期に陥る事になりますが、そこでしっかりと技術開発し続けていれば更に次に結びつきます)、 そうして中堅・大手メーカーへと成長していく事となります。


 あと、インターネットによる情報供給については、その普及以前だと「パソ通」によるコミュニティが存在していたと、 当時について触れた文献を読むとよく聞かれます。『ToHeart』以前の『雫』『痕』などはそこで注目されたと。 もしかするとそういった部分を見て「インターネットによる情報伝播」としたのかも。 ただ、これもそういった環境を持つ人とその周辺に情報的な影響は限定されるかと思う(そういった環境を持つ人はアンテナがかなり高い方でしょう)。


 とりあえず、ここまでは「ネットによるコミュニティが普及する前」としての話でした。 先に触れている通り、これが全てではなく、個々の環境によってはまた状況が変わっていると思います。




 ここからはネット普及後の傾向。とりあえずウチが自宅でのネット環境を手にした2000年からの話。

A ユーザーの二次創作をメーカーが積極的に支援(容認・公認アンソロジー本を監修)
B ユーザーが公認されたアイテムを手にしやすい環境下にある
C 表層的にまずアピールできるような魅力ある素材(二次創作したくなるような素材)をメーカーが提示
D 雑誌などからの情報供給・情報の露出

 これらの「参加のアーキテクチャによってエロゲーが大ヒットする条件(改)」 の仮定義がネット普及後の今だとどうあるのかですが……


「A」についてはメーカーが著作権問題で管理する必要がある部分を明確にした他は、 基本的にそれを容認するといった傾向は変わりないみたいです。 また公認アンソロジー本も、一時期失速した勢いが新しい題材(原作作品)を得ることで存続し続けてましたが、 昨今では『処女はお姉様に恋してる』『恋姫無双』『フォーチュンアテリアル』 など出版される作品が新たに開拓されていってます。
 以前の「葉鍵型月」に限られていたアンソロジー本の頃と比べると対象作品は増えてはいますが、 しかしそれでも実際に年間に発売されるエロゲの数から計れば多くはないです。
 同人誌についてもショップに委託される作品で言えばほぼ似たような傾向。
 ネットでかなり特異な支持を得られない限り、マイナーな作品の二次創作はどれも (メーカーの黙認など何らかの支援があったとしても)広く話題が広がる機会はほとんど見られないです。 稀な例は『遥かに仰ぎ、麗しの』や『コンチェルトノート』(原作者の関わるノベル本)の関連同人誌ぐらい?


「B」については2000年以前よりも拡大しているかと。 ここ最近の注目すべきポイントは、 コミカライズされた連載が載るコミック誌とその単行本(関連するノベル版) がこの数年でかなり増えているところです。それも「葉鍵型月」以外の作品のコミカライズの増加。 それが全国の書店で発売されるのです。最近だと『フォーチュン アテリアル(2)』『リアライズ』と『てとてトライオン!』のコミック発売でしょうか。 それだけ原作ストーリーに内容が近いコミックに接する機会が増えているのですよ。

 ただ、コミックが先か原作ゲームが先か、どっちでそのストーリーを知ったのか、というとどうなんだろう?
 原作は知らないけどコミック連載が面白く良かったからコミックは読んだ、というパターンが実際にあるからなぁ (ウチは『Canvas2』体験版のみプレイで児玉 樹さんのコミックを読んでました)。

 アンソロジーは作家が原作の素材を独自にイメージでミックスして描き上げていくもの (それを一応メーカーがチェック)なのに対して、 原作物であるこういったコミカライズは、メーカーの監修のもと、 容認される範囲で作家が独自性を発揮しつつ、原作のストーリーを描いていくものです (描かれる作家さんに、メーカー側が直接依頼しているんじゃないでしょうか)。 多分、メーカーとしては、コミカライズの方がストーリーを伝える有効な手段となると考えているのでしょう。
 ともかく、メディアミックスの一環としてコミカライズされる傾向はこれからも続く事でしょうね。

 以上に挙げた書籍以外のアイテムについては、買う人はどれも買うんだろうし、絞る人は限定的な購入に留めるかと。 ウチもオーガスト系で活動はしてますが国防予算や置き場の関係もあって買うのはかなり限ってますし。 ここについてはウチにコメントする資格はないなぁ。

 そして現在では手広くされているのが「アニメ化」なのですが……以前にも触れてますWOWOW放映の『シャッフル!』 が広島でもBSさえ見れれば視聴できたことからPS2版もヒットしたのを目の当たりにしているので、 その地域で放映があれば関連作の販売促進や人気UPにも繋がると見てますけど、 『Fate』『恋姫無双』『CLANNAD』なんかは広島では放映がなかったのにコンシューマ版が売れたのですよね。
 放映がなくてもコンシューマ版がヒットするのはPC版でもヒットしたという影響が強いってこと?

 とりあえずこれらを比較すると、書籍の方が価格的にも内容的にも手に取りやすい供給物だといえるんじゃないでしょうか。 原作未購入でもストーリーを知る事が出来るという点でも優勢です。 うまくリンクさせればコミカライズ版をきっかけに原作ソフトに手を広めてくれるかもしれません。 アニメやグッズによる「表層的なアピール」の効果についても判らないとしか。


「C」については「アピールする側」では店頭や雑誌などでの告知に限らず、 今では「発売前」の情報供給がより強まっているかと思います。 そしてインターネットによる情報の流通が大きく影響してますね。
 店頭や雑誌などでの情報は、新しい情報を次々と紹介していくとともに古い情報は止む無く外されていきます。 余程人気が継続していれば情報の掲示期間も延びますけど。 それに対してネットで公開されている情報はネット上から撤去されない限り、 どんなに古い情報でもいつどんな時でもネットから確認できます(探す必要とかはあるでしょうけど)。

 最初に起きる(一次的な)話題での評価から、その評判な作品に別の人が興味を持った時に、 もし既に雑誌でも取り上げられなくなった作品となっていたなら、 または雑誌とかの情報が手元にないけどネットに繋がる環境にいるなら、 ネットで紹介されている情報はその時直ぐに確認できる唯一のものとなります。
 これは後日に出たコンシューマ版やアニメなどから遡り辿る新たなファン層にも情報をもたらせる事も示してます。  ともかくそうして得られた「表層的なアピール」な情報からその作品の購買意欲を生み出せたなら、 それが二次的なヒットのきっかけとなるのです。

 ここまでの情報というのは一応メーカーの公式サイトなどのものです。 最近だとYOUTUBEによって(これまでダウンロードしないと見る事が出来なかった)デモ映像をより手軽に見れるようになってますね。
というかダウンロードでの供給すらない事もあるし(涙)。  公式的な情報の他、アキバblogさんやオタロードblogさん等がレポされる、 発売前のその作品がどう注目されているのかといった情報(店頭での「表層的なアピール」)なんかも、 同じく出掛けること無しに得られる情報になると思います。

 あと、公式サイトで公開されている情報や素材は、イラストを描く際にも、キャラクターの資料にもなるし、 色彩も公開されているビジュアルから手軽に得られますので、もう何度となく利用してます。 そのように作品を知る前(発売する前)や発売以降にその素材に触れて二次創作するなんて事も「ある」状況になってます。
 もちろんこれが期待できるのは“描きたいから描く”という魅力を備えていればです。


「D」についてはもう「C」でほとんど触れてますが、 付け加えるとネットによる情報の流通によって「雑誌」の影響力は削がれている事が既に周知されてます。 最新情報でさえフライングで雑誌を手にした方から一足早く情報が流されてしまうこと、 そして定期刊行という事から速報性でも劣っている現状。あと、遠方の地方では発売日が遅いです。 でも、それだから雑誌の役割がお終いだとは言えないと思います。ここからは雑誌関係に重点をおいて見ます。

 フライングからのそういった情報は断片的であり、詳しく見るにはやはり実際に誌面を見る必要があります。 もしかするとフライングの時点では見落としていた注目記事があるかもしれないし、 表題の更に詳細に重要な部分があるかもしれません。 そんな点でいえばフライング情報が何が何でも優位だとは言えません。事前告知という受け止め方も出来ます (フライング情報の方でもそういった注目ポイントを旨く記してもらえれば雑誌購入を後押しする事も可能なのでは)。
 ただ、その事前告知だけで情報が十分だとは思われないよう、 雑誌の方でも作品の紹介はもとより、特集記事やインタビュー、 コラムなどの企画を設けて購読する価値があるような誌面づくりをしていって欲しいです。 「表層的なアピール」から深い話題まで抑える感じで。

 やはりそのエロゲ雑誌の喪失となると、そのような情報の空白化がどんな状況に至るのかなんて想像できませんし。 それこそWEB雑誌みたいな形態なのでしょうか(手にとって読めない雑誌なんて雑誌じゃないよなぁ)。



A ユーザーの二次創作をメーカーが積極的に支援(容認・公認アンソロジー本を監修)
 ⇒容認は容易。原作を知っている事が前提となる場合がほとんどかも。

B ユーザーが公認されたアイテムを手にしやすい環境下にある
 ⇒コミカライズ化を活用して未プレイユーザーにもアピール。

C 表層的にまずアピールできるような魅力ある素材をメーカーが提示
 ⇒インターネットによる情報伝播を活用。

D 雑誌などからの情報供給・情報の露出
 ⇒雑誌という媒体としての独自性の発揮
 というかこれらの条件って結局の所ほとんどのメーカーが既に実践しているよな(汗)。 《参加のアーキテクチャによってエロゲーが大ヒットする条件(改)》も仮定義に留まりますね。まだ条件が足りない。

 更に「魅力的だと感じられる」作品だとどうアピールできるかどうか、 そのアピールに好印象の反応が得られているか、といった事、 そして発売される作品という結果がどれだけ好評だったか、といった辺りでしょうか。



 というか、これ以上考えるのが非常に面倒になってきました(滝汗)。 だって休暇丸一日=10時間以上を完全にこの話題に注いじゃいましたので、さすがに疲れてしまう。情報の流通について考えてみたという程度に留めます……。

 りきおさんが指摘されている、 シナリオに捉われず、二次創作でキャラクターが動き出せるような原作というお話や 『To Heart』人気の変化など、興味深いものがあるんですけど。 その他、ウチのここまでのテキストを再考するような箇所もあるような気がしますが、 ごめん、もう勘弁してくださいorz


 そういえば……
緑玉板2.0さん:ゲームシナリオライター
Half Moon Diary:ラルフさん 雑誌記事のライター
りきおさん 同人サークル

ウチ ファンサイト・一応同人サークル、あとエロゲ販売の仕事を一応担当
大まかですけどメーカー・ショップ・メディア・二次創作者、そしてユーザー(4人とも当てはまります)と、 エロゲに関わる各ポジションが一応ですがこの話題で見事に揃ってますね。(ウチがどの程度の店員か、アキバの店員さんと比べると甚だ疑問ですけど)。

(2/19 0:40 今日は『祝福のカンパネラ』を消化するはずだったのにorz)



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