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2010年2月23日 (火)

『穢翼のユースティア』 登場人物名の素材?

 (今日のユースティア  関連AUGUST)

早川さんが2月19日付で 「ユースティア・アストレア」について
“女神アストライアー、ギリシア神話に登場する、ゼウスとテミスの間に生まれた女神。 「聖乙女」を意味します”
と触れられてまして、(特段に名前の由来について注意を払ってなかった事から)自分もその由来や関連性に驚きました。 加えて22日付では更に補足も。
“「正義」のタロットに描かれる女神で、「正義の女神」”
(タロットは『琥珀色の遺言』という推理ゲームと『ジョジョ』第3部で意味合いを読んだ程度でしたからその名までは思い浮かばなかったです(汗))

 そういえば「エリス」って『Canvas2』の「鳳仙エリス」と同じ名で最近だと 「準惑星」とされた星の名前にもなり、なんか曰く付だった様な事を思い出してました。



《『穢翼のユースティア』 登場人物名の素材?》

【ユースティア・アストレア】

◆「ユースティア(Eustia)」
  ⇒「ユースティティア(Justitia)」が変化?

「ユースティティア(Justitia)」 ローマ神話の「正義の女神」
(以上Wikipediaより)


◆「アストレア(Astraea)」
  ⇒「アストライアー(Astraia)」が変化?

「アストライアー(Astraia)」
 神々の王ゼウスとテミス女神のあいだの娘。
 ローマ神話での正義の女神であるユスティティアと同一視された。
 ヘレニズム以降の比較的新しい時代の神話によれば、人類の段階的な堕落に失望して地上を去ったという。
(以上Wikipediaより)

 タイトル名を「ユースティア」と聞いた時、まず最初に浮かんだのは「ユスティニアヌス」というビザンツ皇帝の名でした。 改めて調べると英字では「Justinianus」という表記であり、その語源は「正しい」という言葉だそうで。 ただし「ユースティア」とは英字の綴りは(頭文字が)異なってます。

 ここまでを先に調べた後に「アストレア」の方も調べてみましたら、 ローマ神話の「正義の女神」が「ユースティティア(Justitia)」(Wikipedia) って記述がありました(!)。

 ただ、似ていると言っても「ユースティア(Eustia)」という表記と頭文字で微妙な違いがあるので、 完全に整合しているには至らないです。 でもここまで揃ってて「正義」という言葉との関連性が彼女にはないなんて、逆にありえないんですが。

 またその関連では「おとめ座」にまつわる神話があり、早川さんも触れてますけどこれが『穢翼のユースティア』の背景と共通する部分が多い事は興味深いですね。
 サトゥルヌス神による自然豊で平和な安定した統治がユピテル神統治による四季のある世界に代わり、 文明や経済を発達させながらも人類は糧を求める為に争いを始め悪行に手を染めてしまう。 神々の中で最後まで地上に残っていたアストライアー神だけが人々に正義を説いたが聞き入れてもらえなかった為に地上を去ってしまい、星となった。



【エリス・フローラリア】

◆「エリス(Eris)」 ギリシア神話の不和と争いの女神
 ホメーロスによれば、軍神アレースの妹で彼に従う。
 ヘーシオドスによれば、夜の女神ニュクスの娘で、口争いや殺人などの種々の災いの母でもある。
 女神テティスとペレウスの結婚式に招かれなかった腹いせに、 「最も美しい女神に」と記した黄金の林檎を宴の場に投げ入れ、 ヘーラー、アテーナー、アプロディーテー3女神の争いを惹起し、パリスによる裁定(パリスの審判)を仰ぐことになり、 トロイア戦争の遠因を作った。
 通常、有翼の女性として描かれる。
(以上Wikipediaより)


◆「フローラリア(Floralia)」=フローラ(Flora)
 ローマ神話に登場する花と春と豊穣を司る女神

(Wikipediaより)

※エリスの花をあしらった髪飾りなんかはフローラ神に通じる部分です。

 ただその豊穣の女神は別の神話では、 夫ユピテル(ジュピター、ゼウス)が女神ミネルヴァを産んだ事に対抗した神々の女王ユーノー(ヘラ)に頼まれて、 自然に子を身ごもる魔法の花を与えて戦神マルスを産んだ、という話もあります。
 主にゼウスの浮気を原因とするヘラとの不和は有名な所ですが、 夫婦間の対抗で一方に手を貸した事なんかはエリス神の謂れとの繋がりは無いにしても、関連として結び付けられそうです。

 エリス自身、主人公の「本妻」を自称して付き従っている(妄信に近い?)辺りは、この「不和」という言葉が話の中で絡みそうかな?  しかしこの人って華やかな名を持つ割にその態度はダウナーというかヤンデレっぽくないです?(苦笑)



【聖女イレーヌ】

◆「イレーヌ(Irene)」=イレーネ(Irene)。エイレーネ
 ギリシャ神話の華やかな平和の女神

 ゼウスとテミスの娘
(以上Wikipediaより)

 イレーヌはヘレナの他、エイレーネとも呼ばれ、その名はビザンツ帝国最初の女帝の名にもあります。 孤児から皇帝レオン4世(ハザールのレオン)の后となり、 皇帝の死後に息子の摂政を経て女帝となっており、ビザンツの暗黒期を脱した頃だった事から「平和の女帝」とされてます。
(8世紀末~9世紀末に「皇妃コンクール」で后を選んだと言う記録も。 ただし彼女がそれを経たかは不明。彼女が息子の后を選ぶ際に自らが審査をする形で開催してるそうです)
 ただ、聖像崇拝の復活を行ったという宗教の擁護者でありその功績から死後聖人となったという面を持つと同時に、 息子を殺して(エイレーネが命じて処刑したかどうかは諸説あり)女帝となったという面を併せ持っていますが。
(ハザール帝国関連の資料として『ビザンツ皇妃列伝』のエイレーネーの項を持っているので直ぐ調べられました。後でですが推定や仮説部分を分け直してます(汗))

 ローマ神話の平和と秩序の女神パクスと同一であり、 これは「パクス・ロマーナ」などのように長く頂点を極めた文明がその名を冠する事がありました。

 雑誌での記述が曖昧なのですが、先代より「イレーヌ」との名を引き継いでいるとすれば、 「ノーヴァス・アイテル」の永続と繁栄を支える「聖女」に永遠なる安定を願い、その名で讃え敬ったという事でしょうか。



【リシア・ド・ノーヴァス・ユーリィ】

◆「リシア(Licia)」
 ⇒「ルキア(Lucia「光」)」に由来?

◆「ノーヴァス(novus)」 ラテン語「新しい」

◆「ユーリィ(Yurii)」
 ギリシャ語のゲオルギオス(中世ギリシャ語では「イェオルイオス」)で、キリスト教の聖人である聖ゲオルギオスに由来
(以上Wikipediaより)

「ゲオルギオス」大地で働く人・農夫
「聖ゲオルギオス」ドラゴン退治の伝説を持つ聖大致命者凱旋者ゲオルギイ

「リシア(Licia)」については全く情報が見当たらないんですよね。
 ラテン語の「光(Lux)」に由来する「ルキア(Lucia)」と関連しそうな気もします。時とともに発音が変化したと解釈する事も出来そうですし。
 なお「リシア輝石」のリシアはリチウム(ギリシャ語の「石(lithos)」に由来)であり、英字的に異なる為、これは除外。

 様々な意味で「光」となる事が望まれて「リシア」は名づけられたのでしょうか。

 恐らく「ノーヴァス・アイテル」を統治する王家の名は「ノーヴァス・ユーリィ」でしょう。 その意味を拾い集め合わせると「新しい、大地で働く人」という言葉となり、 王がそう明言するという事はつまり先頭に立って尽くすリーダーのような存在を自負している、となりそうです(新しい⇒第一の・最初の)。

「光」はまた、《牢獄》に届かないものでもありますね……。



【フィオネ・シルヴァリア】

◆「フィオネ(Fione)」
 ⇒「フィオナ(Fiona)」?

「フィオナ(Fiona)」
 ケルト語で「青白い」「明るい」の意味 (以上Wikipediaより)


◆「シルヴァリア(Silvaria)」  ⇒「銀(Silver)」?

「シルヴァリア」は文字通り「銀」に関わる生業を祖先がしていた事に由来しそう。 そして「フィオネ」についても言葉の変化の範囲だと思うのでケルト語に由来していると見ていいかな。 ただ彼女自身の職務に忠実すぎる性格はその名に影を差している様子です……。


※これを調べていく中で、更に関連するかもしれない事項を見かけてますのでここにメモ。

【ノーヴァス・アイテル】

◆「ノーヴァス(novus)」 ラテン語「新しい」

◆「アイテル」
⇒「アイテール(Aither)」ギリシア神話に登場する原初神で、天空神
(以上Wikipediaより)

 ……「新しい天空の神」という名前ですか? これは大それた名前をつけているというのではなく、 人類最後の都市を(聖女の祈りによって)救い出した天の上に住まう神を忘れず末永く讃えようと名付けたと見るべきでしょう。


【ゼウスの娘 ホーライ3姉妹】

 アストライアー(正義) ⇒ユースティア
 エイレーネ(平和) ⇒イレーヌ
 エウノミア(秩序) ⇒?

 2人までがここに登場する中、唯一欠いているのが秩序の女神。もしかすると今後に登場するのかも?


※またこれら以外にもゼウス関連でフローラ神が関わるし、ローマ神話関連なども色々と登場している事から、 そういった辺りも作品の中で関連してくるのかもしれません。 ここまで色々と調べてみると神話の話が中々に興味深く思えましたです。 同じく興味ありましたら関連する文献を見てみるのも良いかもしれませんね。

(2010年2月23日 15:20 惑星の由来名も多かった気がする)

(2010年2月24日 21:20 「エイレーネ女帝」の部分を修正)



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