電撃文庫『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』第1巻を読んでみて
※10月16日から放送開始のBS11『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 まで後1週間も待つ猶予も無いので、電撃文庫の原作第1巻を買って読んでみました。
(以下ネタバレあり。これから放映される中で第1巻の話が消化されていくものと思われます)
当初は……キャラクターの台詞回しとかにかなり癖を感じるし、特に妹の「ツン」はちょっと嫌味っぽい雰囲気が有り有りで、更には一人称という形態は『ハルヒ』のキョンとダブってしまう為、読み始めの取っ掛かりは苦しい感じでした。
『俺妹』買った翌日に別で買った電撃文庫『平安鬼姫草子』が面白かったので一時そればかり読み進めてたし (というか『死想図書館のリヴル・ブランシェ』シリーズと並び、今年の当たりラノベかも)。
しかしながら放置している訳にも行かないので9日より読み始めて翌日に第1巻を読み終えてます。
感想はというと、若い世代の(オタの)心の葛藤がストレートに描かれてて、眩しくもあり悩みに同情し共感し、またそのような青春を送れなかったんで激しく嫉妬。1冊に色々な出来事をよく凝縮されている。
特に終盤の世代的な価値観や世間体という壁との激突は事前に少しだけ話には訊いてましたが、よもやここでクライマックスを見るとは思いもしなかったです。いやまぁ、毎年ウチも似たような抵抗運動を家庭でしてますので (大体今の時期に。今年もあるかもなぁ)、もうそれはそれは痛いぐらい身に迫る思いがしました、というか熱い(苦笑)。アニメでこのシーン見るのは精神的にキッツイなぁ(苦笑)。
ともかく今どきの青春ものとしても面白かったし、コミカライズとかアニメ化にまで展開が進んだ事も頷けました。
また、妹の桐乃(中学生)がエロゲを手にしているという部分に関しても、 それが堪らなく好きで手放す事も出来ない存在になっている事と、しかしながらそんな物を手にしている事の異質さ後ろめたさという大きな二律背反に苦しんでいる事でも、十分に禁断の物に魅入られている葛藤が描かれていて、18歳未満が「エロゲ」を買う事に全肯定ではない事が伺えます。
更に父親が「18禁という表記の意味」を挙げ、それを主人公・兄も理解している事 (“18歳未満の奴が持ってちゃまずいだろうよ”) からも同様に18歳未満が「エロゲ」を買う事に全肯定ではない事が分かります。
ウチ自身は「18歳未満はエロゲを買う事が禁止されている」事が一般的なルールだという前提を持ってるので、桐乃がそれらを持っている当初から一般的なルール上好ましくないと理解してます。
で、例えばそういった前提を知らなくても、桐乃の後ろめたさと最後のやり取りを見れば、最終的に一般的なルール上好ましくないと理解するんじゃないでしょうか、そういった読解力ぐらいはあるはず。
そういう意味で、作品全体では最終的には「18歳未満はエロゲを買う事が好ましくない」と示されてます。
青春の葛藤を描く鍵として「エロゲ」を使ったのはある意味極端な例としてだし、特に昨今のコンテンツの中でも人気のあるものだという意味でも取り入れたのかもしれません。
ただ、読み終えてみると、今回の問題にあった実在するエロゲのパッケージを無理に絡める必要もないなと感じてます。作中でも既に架空のタイトルが登場してますからそれでも十分だったかなと。 また原作第1巻の終盤で「18歳未満はエロゲを買う事が禁止されている」事が示されるのですが、なんかアニメの第1話ではそこまで届いていないみたいなので、作中にはやはり禁止されているとのツッコミテロップを流しておくべきかなと。
そういえば予想もしなかったんだけどこの第1巻で桐乃の新しい友人となる2人が登場してるんですよね。第1巻から先の話ではその辺りと絡んだ展開などがあるんでしょうけど、続刊を手にするかはちょっと未定かなぁ。
面白かったのですが、なんか伝奇物とか何らかの不可思議な事件みたいなラノベの方が好みなんで(汗)。気が向いたらか、アニメ見てて気になってきたら気付いたら買い揃えてるかも? 結局、具体的にどうやって桐乃がそれを手にしてるのか何となくにしか分からなかったし。
(2010年10月11日 23:45)
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