« 『毛枯れ翼のユースティア』(テックジャイアン・PUSH! 1月号のオーガスト関連情報) | トップページ | Rhinoの思い浮かんだ『2010年の重大エロゲニュース』 »

2010年11月30日 (火)

アニメ『俺妹』におけるエロゲメーカー協力問題の論点(訂正・加筆修正版)

※結構前に挙げていたテキストですが、その中には色々な指摘とかこちらでの説明不足や書き損じがありましたので、 その辺りを手直ししてみました。(そのテキストへの批判とそれへの返信はこちらに挙げてみてます)

 また、ここまでの間に原作である電撃文庫『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の全巻を買い揃えて読破し、アニメもBS11で放映されている第7話まで見ております。

 第1巻の感想については先に掲載してますが、 少なくとも小説版で目にした印象では「18才未満に販売できない物を18歳未満が手にすること」を全面的に肯定するような内容ではなく、 そういった禁じられているものへのためらいといった青少年の葛藤も何度と無く触れられてたかなと思ってます。
 また第2巻についても少し前に湧いて出た規制派の主張とそれへのツッコミが話題に挙がってますね(警察に勤める父親が意外なアシスト)。 アニメだとこの辺りにも踏み込んでいくんでしょうか。


※とりあえず以下のテキストは、先のものを加筆修正しているので、一部重複している部分もございます。 一応一通り読み直してますけど。



※『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』アニメ第1話が早い放映が成されて以降に挙がっていた議論について、 ウチのツイッター上での発言と、その後の反応を元にまとめてみます。


【18歳未満の方には販売しておりません】

※最初に、「エロゲ」とは「アダルトゲーム」の事であり、 性的な内容がある事から18才以上の成人を対象としてます。 なので販売店としての立場で言えば18歳未満には「販売できない」物となります。
 ウチの勤務先では会計時に場合によっては身分証を確認させてもらうので、 会計されるお客様本人に関しては18歳以上です。(TW発言)
 たいていのお店では必要あれば年齢確認をしてのエロゲ販売になるはずです (エロゲを中心としたイベント「ドリパ」の入場に関して年齢確認厳守はかなり有名な筈)。
 Z指定のコンシューマも扱ってるから(確認できる範囲で)厳守してます。(TW発言)
 加えるならコンシューマソフトを扱うショップでは、「Z指定」ソフトの販売の場合、 CEROの倫理表記が「18歳未満の方には販売しておりません」とパッケージに記載されているように、 年齢確認を指導されてるはずです (CEROでも「18歳以上のみを対象」としており、 実質的にも18歳未満への販売は制約されてます)(自治体の青少年保護育成条例での指導で禁じられている場合も)。
 明らかに中学生のお客様が年齢制限された商品を持ってくる事がありますので、 販売をお断りするケースは何度も経験してますね。

 買われた方のその後の処分まではさすがに責任負いかねないですが。(TW発言)
(修正)これについては購入された方の処分権の問題なので、18歳未満には手の届かない所で保管してもらいたいと希望するしかないですが、 ただ、これもどこまで製造・販売側の管轄から離れているのかを厳密に論じるとどうなんだろうなぁと思ってしまう部分もややあります。
 一応、陳列の時点でのコーナーでの「18歳未満の方には販売しておりません」等の掲示で販売店的にも「18歳未満への提供は望んでいない事」を示しているし、 ソフトパッケージでの「18歳未満への販売不可」との明示でも、18歳未満へそれが渡る事が「好ましくない」と一般的に理解できる筈だと思いますから、 そういう意味でも、エロゲを購入された事で管轄も移ったとなった時点で、 その購入者に対して「18歳未満には手の届かない所で保管」が求められると見做されるかなって考えてますが。(修正)


 とりあえず結論としては、本来であれば18歳未満の方は18歳以上を対象とし販売制限されている物を、 正常な手順(ショップでの購入)で手にする事は出来ない筈となります。



【子供は好奇心が旺盛 / 禁断の果実】

※昔は子供の頃って「性的」なものはもう少し日陰的であり逆に身近であったように思います。 荒地とかにエロ本が棄ててあったりとか、テレビでの映像とかにもごく有触れていたはず。 今は事を荒立ててまで声高に非難する声が一部であることからテレビでの表現なんかも不自然なくらいに制限されてますが。

 しかしながら、禁じられているからこそそれに羨望と葛藤を抱き、 その「禁断の果実(タブー)」に挑むというのも人間の本質の一部、 そういった意味で言うと18歳未満の人が販売を規制されている物に未知の興味を抱く気持ち自体は否定できないと思います。
 ただまぁ若きの至りで未知のエリアに度胸試しにか突撃する方もいらっしゃいますが(笑)、 キリッと「18歳になってからね」って感じでエリアから退去してもらいます。 他のショップの方でもそういったハプニングはよくあるんじゃないかな。 (TW発言)
 正直言うとエロゲコーナーへの突撃は止めて欲しいんだけど(苦笑)
 空き地とかに転がるエロ本にモノリス触れるみたいに近寄る、 若きのチャレンジ精神というのは否定しないけど(但し正規の手順に限る)、 販売する側の立場的には公然と18歳未満がエロゲを手にする事を肯定は出来ないです。 (TW発言)
 あくまでも否定はしないけど肯定も出来ない、そんな曖昧な事しか言えないです、スミマセン。
それから「禁断の果実」っていうのは確かに禁じられている分、羨望を抱かざるを得ない。 ステーキの脂身を食べるのを規制されているウチにとってその脂身は禁じられた珍味だし。 そういった渇望は人間的な要素ではあると思うかな。ここをどう本音と建前で使い分けるかって事? (TW発言)
 こう呟いてはいますが、あくまでも「建前」メインで(苦笑)。


 ただし、悪びれもなく反社会的な行為を成し、 罪悪感みたいな認識もなくただ欲望のままに振舞うのであれば(昨今の万引き問題みたいな)、 それは反モラルだとして到底容認できません

(追記)って言うのも後々考えると極端な言い方でしたが、 人が全能的で全肯定される存在にはなり得ないと同時に「建前」と「本音」が両存するように、 表立ってアピールできる事と、 一般的には「全肯定されない」ような価値観である為に内々的にしか告白できず又は自らの中に閉じ込めておかなければいけない事(暗黒面のような要素など)を、 誰もがきっと心の内に持っているはずです。
 内に秘めた暗黒面の存在だけでなく、価値観の違いから生じうる摩擦を避ける為にも、 社会で生きていく上では「後ろめたさ(背徳性)」を内面でコントロールして「建前」と「本音」を使い分け、 一般的に社会の中では許されていない事もあるのだと学んでおくべきなんです。(追記)

『俺妹』の原作である電撃文庫の第1巻を読んでみますと、桐乃が兄へそういったゲームやグッズを集めて愛でている事について、 後ろめたさと愛着との葛藤が描かれてました。 それ以外でも、好きなんだけどそれが帯びている背徳性にも強く意識している為に桐乃も悩んだりする場面が描かれ、 またそれがバレそうになる危機にも遭遇してしまってます(第2巻でもピンチ発生)。
 という事で、原作の第2巻まで読んでいる限りでは青少年オタクのそういった表に出せないような葛藤が上手く描かれているかなと思いました (ただ兄が桐乃を擁護したり、背徳的な面にやや寄る傾向が2巻以降強まっているようにも思えてきましたが)。

(追記)「後ろめたさ(背徳性)」だけでなく、「一方的な信念を押し付けて矯正を謀る自称正義のような排他的価値観」も、 価値観の違いから社会の上では摩擦が生じるという事は、世界史の教科書と海外ニュースを見ていればより良く判ると思うんですけどね。 共存とか住み分けと言った妥協を探り合うのではなく、一方が相手を潰す事にばかりに目を向けて本来の目的を完全に見失っているのは、 双方にとっても望ましい結果を生まないように思える。(追記)


【全年齢向け雑誌での18歳以上対象作品の取り扱いについて】

※次は……すごく扱いが難しい議題なので、 あくまでも個人的に少し思っている違和感のような微妙な反応になります(汗)。
 18歳未満がエロゲを買う事は肯定しないけど、 全年齢な雑誌で紹介されてるのに初回限定版を手にする事が出来ないという事に関して、 後輩の苦悩には同情してます。 (TW発言)
 18禁コンテンツをアニメやコンシューマ移植、 コミカライズといった「全年齢向けに翻案して紹介する」という意味合いでなら、 18歳未満へのコンテンツの提供はユーザーへの提供という意味にはなります。
 ただ、その原作(18禁)への興味も尽きないでしょう。 誌面で紹介されているのに18歳未満だからその初回版を買えないという悔しさは、 既に18歳以上にあるウチのような者には実感はできないけれども、なんとなくは想像できます。

 多分、この問題を掘り下げると色々と藪を突いて蛇を出すような事になりそう(汗)。 さすがにウチには表面的にしか問題点が見えていないので、これ以上の事については控えます。

 っと拍手へのメッセージにて、(18禁表示のある)某剛田誌面でのコンシューマソフト 『アマガミ』特集記事を中高生は読む事が出来ないというコメントを戴いてます。 某剛田(伏字になってないし)と『アマガミ』が同じ会社での商材だから扱っているという面もあるんでしょうけど、 これもどうなのかなぁ。出版社的には年齢層に応じた記事をそれぞれの雑誌に掲載していると考えているのかもしれないですが (全年齢は某ファミ通という雑誌もありますし、こちらなら週刊誌だから情報提供ペースも早かった?)。  ただ、特に熱心な読者層からすると出来れば全ての情報を読みたいわけで。


【創作における反社会的な表現とその許容の問題】

(注 「反社会的」というと極端な意味合いになるなと後で思いましたが、 他に表現する言葉が浮かばないので、今回の論議では便宜上、 ルールに反する事を含むものとして扱ってます)

(注(追記) 「無批判」って表記については、「批判」という言葉を「をただ否定する意味」で捉えるか、 「欠点を指摘・検討し、どうあるべきか論じる(考える)という意味」で捉えるか、 それらによっては感じられる意味合いが変わるかなと。
 最初のテキストで使った「無批判」を「無関心」に置き換える事も考えましたが、 「関心」が「単なる受け取り」に留まり考察するような意味を含まない為、言い表しとしては不足してましたので、 「指摘・検討もせず、考えもしない」という意味で「無批判」という言葉は残します。
 どちらかというと「批評」の方が良い面・悪い面を捉えていて適切かもしれないけど、「無批評」って余り馴染みが無い言葉ですし)

(注(訂正) 永倉さんへの返答にある「無批判に表現している事を懸念している」との記述は 「社会ルールに反する行為だと説明する事なしに表現している事を懸念している」 と訂正します。何を懸念しているのかが説明不足過ぎました。
 ただ「中学生がエロゲを買う」という表現に対しては販売店員という立場上、 誤解を招きかねない表現にはどうしても厳しくならなければならないです)

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」エロゲ問題への反応いろいろ

※よく見るとエンドーさんや永倉さんといったネット上で身近に目にしている方々が論じてるのかぁ(苦笑)。

 ウチも一応創作をしているし、反社会的でタブー的な表現に関しても、個人的に嫌悪したり嘔吐するように拒絶する事はあっても、 その表現自体の存在は否定しないです。
 ただし、罪悪感もなく、または余りにも強行的で個人的に到底許容しないような内容・価値観を礼賛し、 それを熟考する余地も与えず押し付けるような全体主義的な表現であればその限りではありませんが (強硬な規制派の一方的な主張やテロリスト・虐殺者を無批判に絶賛するような事とか)。 (表現⇒主張と置き換えてもいいかも)
 最近であれば「コーランを焼く」というキリスト教原理主義者の (反イスラム)表現行為は他宗教への非寛容さの極地といえる反社会的行為であり容認できるものではないです。

 ともかく、創作物の中で"中学生がエロゲを買う"表現自体に反対してる人はナニを考えてるのか教えてほしい。 それはいくらなんでもおかしくね? 結局みんなで殺し合いするしかないのかなー。 SU-37さん
「その表現に反対」というよりも 無批判に表現している事 社会ルールに反する行為だと説明する事なしに表現している事を懸念していると言う感じかなぁ。

 作中でやんわりと「18歳未満は購入する事はイケナイ事デス!」とでも注意テロップを流しているのなら、 本来は18歳……というか中学生!? それはちょっと早い気がするが(苦笑)、 そんな年齢層は買う事が出来ないと視聴者にも理解できるとは思うし、問題点の一つはその問題性を薄めるのですが。 というかテロップでツッコミネタという表現にもなるし


 ドラマでの殺人行為と現実の事件との混同と、 今回の劇中での取り扱いと現実での取り扱いの混同。 そういう示し方で言えば確かに似た問題かもしれない。 ただ、創作話への視点としてその行為は社会的に容認されないという認識が備わった上で、 反社会的振る舞いを見ている事が前提じゃないかな。 (TW発言)
 作品で描かれるカーチェイスや殺人行為は実際の出来事ではない架空の出来事ではありますが、 視聴する側は、それが「実際の出来事ではない」と理解すると同時に、 「実際に行うとその行為は社会的には容認されない・非難される」と現実と比較して照らし合わせた上で(前提)、 その前提と作品とを比較して「作品で描かれている事は架空の出来事だ」と理解して、安心して視聴する事が出来ます。

 更に言えば、視聴者がその場面を見た時に何も考えずに居たとしても、 一般的に「社会的には容認されない行為」だと常識化・熟知していれば無意識にでもその前提が脳裏の片隅に浮かび上がるだろうし、 また後でその場面を思い浮かべてみて考えてみたのなら、思い浮かべて考えている事は現実という前提と作品との比較行為になるはず。
 そういった思考が「物事を批判的に見る」という事かなと(専門知識が無いのでこれが違うならスミマセン)。

「先の嫌悪的表現についても(現実的な視点では)個人的に好ましくないと理解している事から、 (創作の反社会的表現を)無批判には見ることはできないです」とウチが挙げていた事については、 「社会的には容認されない行為」と個人的な価値観が混在してますね(汗)。

「批判」的に見る事については否定的に捉えるよりも「何らかの疑問を持ち、考える」という思考と捉えてます。
「物事を批判的に見る」事とは、 作者がそういった表現を描いた事にはきっと何らかの意図があるんだと作中の他のシーンに注意を払い、 作者が描きたいテーマを見つけ出し、または自分の中でそのテーマを読み砕いて評価して、 難しい部分を感じながら作品全体を読み解いていく事だと思う。  そこまで読み解かなくても、その作品では何か難しい事を思考していると気付くだけでも気に留めて考えさせられると感じてる事だと思う。

 そんな現実と虚構との比較で作品を読み解く事も読者の受容方法のひとつでしょうし。

 ただ部分的な記述だけを切り取って声高に非難し否定し、 他に記されてある「反社会的な表現をフォローする部分」や表現全体での意図を無視するのであれば、 その非難者は単に言論弾圧的な「言葉狩り」と見做され逆にその非難者が非難を受けても仕方が無いです。


『俺妹』の原作において「エロゲ」がどう位置づけられているんでしょう?  今回こうして扱ったからには何らかの意図があるのかなぁと思いたいです。

※(追記)そんな疑問もあって読んでみました原作である電撃文庫版。 というかアニメ放映までまだ触れた事がなかったんだけど、まさか第6巻まで次々と買って読破し、第7巻発売を心待ちするまでに至るとは(苦笑)。

 その第1巻の後半でも“18歳未満の奴が持ってちゃまずいだろうよ”というテキストが登場し、 また桐乃自身の後ろめたさの認識も含めて「18歳未満は購入する事はダメ」って事も作中で示されていて、 中学生がエロゲを手にしている事と社会ルールとのバランスを取っているように思いました。
 また、桐乃が一目見て好きになったイラストと関連品がそういった18禁物で、 それだから尚の事、表立ってそれが好きとは言えず悩みも打ち明けられずにいた事も、 ある意味極端な事例と言った意味合いで「エロゲ」を充ててみたと言えるのかもしれません。 ただのアニメよりもそっちの方が禁断性が高いですし。

 原作第1巻全体を通してならそういったバランスは見受けられるのですけど、 しかしながらアニメの方では、原作第1巻を数回に渡り描いていく為に、 どうしても第1巻のオチを第1話に持ち込む事ができないかったんですよね、きっと。 加えて桐乃の態度も後ろめたさより愛着度のアピールがかなり強かったし。 だから"中学生がエロゲを買う"事が社会ルールに反している事が感じられにくかったし、 むしろその愛着度の高さに推されてしまっている印象かなと。

 やはり「18歳未満は購入する事はイケナイ事デス!」 との注意書きが少なくともその第一話のその場面か冒頭か終わりにテロップで表示されてたら良かったんですけどね(販売店的に)。

 10月の第1話初放映直後の騒動の際のウチの問題視した点については、 以上の様に原作及びアニメのその後の放映内で社会的なルールについて触れられ、無批判に扱っていない事が分かりましたので、 的外れな部分があった事を認めて訂正します。(追記)



※なお、以上の【創作における反社会的な表現とその許容の問題】は、ねこねこさんの 「「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」エロゲメーカー協力問題、このことについて俺妹を擁護します」に対する反論でもあります。
 ただ、そういった民族的アイデンティティ視点による作品への拒否反応と、 今回の『俺妹』で18歳未満がエロゲを手にする事とメーカーが協賛した件で生じている問題とでは、 論点がずれているように思う。 (TW発言)
 この度の問題は「現実と虚構表現を無理矢理混同させて非難(表現の問題)」している事ではなく、 単純に社会的なルールに関する問題です。

「18歳未満は購入できない」という前提が周知されているのであれば、 『俺妹』の作中(虚構表現)のその行為は一般的(現実)にはダメなんだねっていう感じで、 タブーに接するような虚構表現を楽しめると思う。読み手によってはタブーという罪悪感を含めて読み取られるのかもしれません。

 ただ、今回の件ではそういった販売が規制されている事がどこまで周知されているのかについて不安を感じずにはいられなかったので、 批判や非難というよりも懸念を抱いたわけです
(よく冒頭とか終幕に表示される注意書きがありますけど、それだけだと見逃しやすいので、 出来れば注意を促す表記が作中にでもあればその懸念は払拭されるのですけどね。 勿論、一般的な注意表示だけでも制作側の責任は形式的には果たしてますが)


 とは言え、ねこねこさんの意見全てに反論するわけではないです。

“人生は、批判精神や解放体験を打ちのめそうとするタブーや禁止事項によって支配されるものではない” については無批判にタブーに支配されるべきではないという点ではウチも同意しますし、 “一人の芸術家の作品がその観点(作家の人格や主義)だけから判断され、糾弾されてはならないのだ” という指摘にも同意します。以上の引用元は『オリエンタリズム』で著名だった故サイード氏の記述なのですね。
 信奉するセルビア人作家がユーゴ内戦でどういった思想を抱いていたかまでは分からないのですが、 ウチ的にもそれと作家作品とは切り離して考えてますが。 そういう意味では作品と作家個人とを切り離す意見には同意する。 (TW発言)

(関連 追文 パヴィチ氏への理解と批判 「私は民族主義者ではない。貴族政治主義者だ」への批判)

“仮想の表現作品として、虚構の表現と外部を無理矢理くっつけた詭弁で不当に批判されるべきではないと思います”
 批判に無防備でいるべきではないし、作者の意図が絡む以上、 その意図を伴った表現について作者は無責任であるべきではないですが、 その作者による表現の自由は守られるべきであり、批判に対して反論する機会は当然にあるべきだと思います。
 その批判が表現の意図を読解したものでもなく単純に感情的嫌悪感だけに基づき弁解すら許さないものなら、 それこそ詭弁でありその批判は底が知れたものです。
(その批判が作者にとっても一考に値するような批判であるなら、 それは貴重な議論にも発展するかもしれませんし、 その批判を捉えた上で新たな作品を作り出す機会となるかもしれません。ちょっと楽観的な考えですが)



【アニメ『俺妹』におけるエロゲメーカー協力問題】

この度の問題は「表現規制」という問題ではなくエロゲ製作側(メーカー)とアニメ制作側との(協力に関する)約束のです。

「18歳未満の方はご購入できない」表記され、 業界団体的にもメーカー的にも「18歳未満の人が購入する事」が好ましくない若しくは「購入お断り」 としているルールや、更に加えると青少年保護育成条例といった法的な規制。 そういった規制で保護される中学生本人がそれを逸脱している行為に対してどう考えていて、 今回の「18歳未満の人が購入する事」という問題をどう捉えているか、 そういった社会的なルールについてどう考えていたかの問題がテーマとなります。というかやっと本題に入った感じか(苦笑)。

この問題それ以前に、「18禁シール」とか「18歳未満には販売できない」といったエロゲ市場的な一般的ルールを逸脱している行為を、ルールを定め遵守する流通やメーカーは許容するべきではない、そういう……ラーメン延びるって呼ばれたので中断(ぇ

そういう社会的なルールの問題。そして遵守する立場からすれば慎重にあるべきで建前でしか述べられないと思う。

(TW発言 というか途中ラーメン食べる為に発言中断はさすがに無いなorz)

 まず、エロゲメーカー側はそれぞれの属する審査機関において倫理規程に従う義務が生じています。
「一般社団法人 コンピューターソフトウエア倫理機構 倫理規程」
(コンピュータソフトウェア倫理機構の情報開示にPDFで)

 第8条「販売基準」に、“(ソフト・作品等の)その対象とする年齢層を考慮した上で社会理念に適合した 責任ある制作、販売態度が求められる”
 第12条にて「18歳未満への販売禁止ソフト作品(18禁)の判断基準」


「18才未満者への販売禁止ソフト作品(18禁作品)」
(コンピュータソフトウェア倫理機構 レーティング)

 販売対象者を社会理念に十分な認識を持てる年令層に絞ったもので、満18才以上を対象とします。
 18才未満者が購入及びプレイする事は出来ません。
「18才未満者への販売禁止ソフト作品」を示すものとしてソフトのパッケージにも年齢別区分販売を示すシールが貼られてます。

 そしてメーカーが厳守するそのレーティングが守られる事を前提に、 メーカー・流通は販売店にその制作商品を卸して販売店が販売するというのが、 エロゲ市場の大まかな構図です。

 倫理規定上では販売店についての規程がありませんが(意外ですが)、 販売側が厳守する事でメーカー・流通側のルール厳守が成り立っていると見れば、 間接的に年齢別区分販売を厳守する倫理的な義務を販売店は負っていると言えます。 また、地方自治体の青少年保護育成条例も年齢別区分販売の義務を販売店に課してますし。

 つまり「制作・流通・販売」といった業界内としては業界的な倫理規定上でも 「18歳未満への18禁ソフトの販売は禁止されている」という事です。


 今回、『俺妹』作中において中学生の娘さんが「18歳未満への18禁ソフトの販売は禁止されている」 ソフトを購入していた事が描かれてますが、 誰か代理人に購入してもらいそれを譲渡して入手しているのではなく、恐らく本人が通販で買っているんじゃないでしょうか (モデルの収入を収める個人口座を持っているんだろうから振込みで支払えば。というか他には思いつかん)。
(なお、購入者が18歳未満の人に譲渡する事についても販売店的には好ましい行為だとは思えないです。といっても何も言えないんですけど)
(第4巻では兄・京介がアキバの深夜販売に並ばされているんですが、桐乃からの命令の際にも年齢制限について京介が桐乃に説明している事で、 一般的なルールは示されてはいるんだけど……)


 とりあえず「18歳未満の方が購入している」という事案について、 上記の倫理規定で考えると次のような問題となります。

  年齢別区分販売の義務をショップは果たせなかった(条例違反・倫理規定違反)。

 故意はもとより過失であったとしても、 販売店で生じた問題は例えばマスコミ等によって事が過度に大きく報じられてしまうなら、 昨今だと更に流通やメーカーにまで追及が及び、 その余波で、生じた問題とは別の問題まで詭弁で突き上げられる可能性もあります (完全にとばっちりだった去年の海外における事例が悪しき例です)。
 そういった大きな問題や摩擦が生じる隙を与えないよう販売店・メーカー・流通が倫理規定や条例を厳守するよう努力しているのです。



 ゲーム業界の置く倫理規定のルールに対して、 「18歳未満の方が購入している」をシーンに描いたアニメ『俺妹』側はどういった事を考慮していたのでしょうか?  また、メーカーも今回関わるに当たってどう考えていたのでしょう?


 問題のシーンでは幾つかのメーカーが実際に制作販売した作品が登場してます。

 作中への登場が例えば単にイメージ表現でエロゲコーナーを描写する際に登場している程度であれば、 まだ関わり方としてはマシだったかもしれません。
 けれども実際にはその娘さんが「購入していた(譲渡されていた?)」作品として登場してます。 そのような関わり方が問題であったのです。18歳未満による購入を容認ないし黙認しているのかと。

 恐らくかなり厳密に見れば倫理規程の第8条「販売基準」 “(ソフト・作品等の)その対象とする年齢層を考慮した上で社会理念に適合した責任ある制作、 販売態度が求められる” に含まれる「対象とする年齢層を考慮」する倫理規程の趣旨に反する恐れもあります。


 ただ、今回の場合はメーカーがその趣旨を踏み外したのではなく、 アニメ製作側がその倫理規定に触れてしまったというケースなのですが、 アニメ製作側がメーカーの属する倫理機関に属しているのであればまだしも、 そうでないなら倫理規定への遵守する義務はありません (その規程の存在を知っているのならその考慮は求められるでしょうけど)。



 なお、ショップの陳列物として登場するだけだとしても 「18歳未満には販売できない」と明示して誤解を与えないよう、 メーカー側がアニメ制作側に最初の接触の時から意見する必要はあったのではと思います。 というか協力し著作物の画像を使用許可する際に条件に加えて契約するぐらいは必要だったかなと。

“はじめてお話を頂いた時の説明では、主人公たちが秋葉原のショップに行くシーンがあり、そこに陳列してある商品の1つにウチのパッケージを登場させたいというものでした”
(俺妹アニメ問題について協力エロゲ会社の中の人の言い訳(はてな匿名ダイアリーでの記述))
(加筆修正)未成年者がエロゲを保有しているという原作での表現がどこまで周知されているかにも寄るかもしれませんが、 依頼を受けるにしても、どういった取り扱いをするのかについてぐらいはアニメ制作側に説明を求めて関心を持って応じるべきだったかもしれません。 大事な著作物を提供するのなら尚の事。 もしかすると当初の約束に基づく信義則に反して無責任な扱い方だってされてしまう恐れもありますし、 意図が双方でずれているという誤解が生じている可能性だってあるのですから。じっさいの放映を見て「え、そんな……orz」って愕然としたくないでしょう?


 アニメ制作側についてはどういった考慮を持っていたのかコメントもない為、想像するほかありません。 メーカー側に対してどう説明していたのかについても、 当初から「18歳未満の方が購入しているソフト」としても登場すると説明していたのか、 それとも最初はショップでの陳列だけに留まっていた約束が制作の過程で購入しているソフトにも転用してしまい、 約束の反故を説明しないまま放映してしまったのか。その事実関係によって、どちらが配慮を欠いたのかは分からないままになります。

 アニメ制作側が「18歳未満の方が購入している」事が問題ある、 特段の配慮が必要だと気付かなかったという事はしかしながらちょっと考えにくいです。
 アニメ作品では内容によっては表現を修正したり、 「18才未満販売・貸出禁止」といったような年齢区分をして制作販売している(審査機関にも通してますよね?)場合もあるでしょう。 特に年齢制限に絡む作品を手掛けていたなら秋葉原などのエロゲショップが年齢制限を行っている事ぐらいは熟知しているはずだと思います。

 また、そうでない場合にしても、秋葉原を取材でもしていれば直ぐに店内に年齢制限がされている場所を見かける事もありますし、 今回の場合、例えばメーカーにアクセスしているならそのサイトでも年齢制限している事にでも簡単に気付く筈。(加筆修正)


※以上の個人的な見解については過敏とも言えるかも知れません。 ですが、昨今の規制強化の魔の手は、エロゲ界隈で生じた些細な問題や、規制派による詭弁的な糾弾(問題の指摘)など、 何をきっかけに表現規制の不必要かつ過度の強化を謀ろうとするか分かりません。 そういった意味でも、隙を出来るだけ与えないようもう少し業界側は慎重にあるべきではないかとウチは思います。
『俺妹』におけるエロゲの扱いに関しては、 『朝焼け前より甘藍色な』(笑)というようなパロディタイトルをアニメの方が勝手にでっち上げ、 エロゲ業界的にはノータッチでいた方が、まだ倫理問題での摩擦は少なかった気がする。 18歳未満に販売出来ないとメーカーはとっくに提示してる事だし。 (TW発言)
 とは言ってもやはり「18歳未満には販売できない」っていう注意書きやテロップぐらいは 販売店的にも欲しいなぁ。 今週でしたっけ? 10月16日から放送開始のBS11『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』はしっかりと見ますので(初放送見る前のコメント)。


※無論、誰かが未成年でも手に入れる事が出来ると誤解したとしても 販売店側がしっかりと18才未満に販売していない事を示してお断りすれば懸念される問題は生じない でしょうけど。という事なので現場的にもその辺りはしっかりしたいと思います。

(2010年10月6日 3:30)


(関連記事)
「アニメ版『俺妹』にエロゲメーカー協力問題」の論点整理 (平和の温故知新さん)
「18禁を未成年がプレイするシーンが登場する作品に、エロゲメーカーが協力することの是非」
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』はエロゲー業界への「トロイの木馬」になりかねない(一本足の蛸さん)

「『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』1話に出た協力メーカーのエロゲーが特定される」の補足 (エンドーさん)

俺妹アニメのエロゲメーカー協力問題(笑)について一言言わせてくれ (Half Moon Diary:ラルフさん)

「メディアの違いに起因する視点の変化」が無視されるとこうなる――「俺妹」アニメ#1問題 (takayanさん)

※4時半過ぎて明日に支障をきたしそうなのでツイッターまとめの方は明日帰ってから読みます。 というかエンドーさんの調査能力がそのエロゲの山を全て解読していたのですか(苦笑)。

※なんか色々と難しく考えてしまっているだけなのかもしれないかもorz

(2010年10月6日 4:38)


※『ヨスガノソラ』と一緒に録画予約をセットしようと思ったら今週の番組表に無いのを見て 初めてBS11での放送が10月16日からだと知りましたorz このアニメですが脚本を倉田英之さんが手掛けてるんですね。
 それから試しに原作小説の第1巻を買って帰ってます。


※ウチの立ち位置が(ユーザーの一人であると共に) 実際に18才未満に販売できない物を扱う販売店員であるというやや特殊な事情から、 今回のアニメで描かれた「18歳未満への18禁ソフトの販売は禁止されている」というルールを逸脱している事と、 ルールの遵守を求められる業界側がその問題点(ルール逸脱)を見過ごしてしまった事に対して 「懸念」を抱かざるを得ないのです。

 ただそういった販売現場としての「懸念」も、 「販売店側がしっかりと18才未満に販売していない事を示してお断りすれば懸念される問題は生じない」 という結論で向き合い方は見つかりました。というか昨晩は延々と遠回りしていたのね(汗)。

 そういった「懸念」ですが、更によくよく考えると 「18歳未満への18禁ソフトの販売は禁止されている」 というルールが一般的に認知されているのかと不安視している事に意味してしまうな、 とも後々思い当たってます(汗)。逸脱するような事が稀に見られるからなのですけど、 ルールの浸透に疑問を抱く事はルールの根底を覆してしまう事な訳で、 それはそれで業界の末端に属する者としては勇み足としか言いようが無いです(汗)。スミマセン。

「18禁を未成年がプレイするシーンが登場する作品に、エロゲメーカーが協力することの是非」

 再度繰り返しになりますが、改めて整理します。あるアニメに、 18歳未満の子が18禁エロゲーをプレイする描写が存在すること自体は問題がない、と僕は考えています。 「反社会的行動を教唆する内容をアニメに描くべきではない」 という表現規制論者の立場に与したくはないからです。(続く)
(maeQさん)

(続き)しかし、そうした描写のある作品に、 18禁エロゲーの制作会社が明確なエクスキューズを発することなく関与することは、 関わり方の大小を問わず、問題だと考えます。 それはエロゲ業界全体の自主規制の努力が有名無実だと公言することに等しく、 法的規制を推進する流れに与しかねないからです。
(maeQさん)
「反社会的行為の表現」については既にウチは 「その行為は社会的に容認されないという認識もなく注意も促されず、無批判に扱われている」 事に懸念を抱いていると記してますが、 とは言え、その表現全体の意図を理解する努力もなく、ただ一方的に批判し規制し 禁じようとする表現規制論者に対しては、表現の自由を脅かす危険な存在だと批判的に見ています。
 続きのコメントについてはウチも同じ見解です。
“俺妹に関しては、昨今の規制問題でメーカーが一番敏感になってるはずなので、 問題ありと感じたならメーカーが動く、と個人的には思っています。 女子中学生が買うという設定自体がファンタジー過ぎて、現実感がないのですけどね”
(拍手より)
 釈明とかよりも、アニメ制作側に対して注意を促す表記をするよう求め、 その上で年齢区分されているコンテンツをアニメでどう扱う方がベターなのかアドバイスをする、 そんな感じでの建設的な協力をした方がいいのかもしれないし、 もう少し距離を置く対応にした方がいいのかもしれません。

(2010年10月7日 0:42)



※って冷却期間を置いたと思ったら季節が冬に近づいて部屋が本当に冷却される季節に踏み込んでました(汗)。

 1ヶ月以上放置しておりました10月のテキストですが、問題が指摘された直後に加筆修正したものや、 その10月のテキストへの批判とそれへの返信を書く際に加筆修正したもの、 そして今改めて読み直して行った加筆修正をもって、改めて訂正版を挙げます。

 既にこの話題も過去の物となった感がありますし、それよりもなんか第8話で論議が生じているそうですが(まだ放映されてないんだよ)。


 この『俺妹』での問題については、雑誌『ゲームラボ』12月号掲載の《オトナげないアニメ》というコラムが、 論点を整理されてます。

「(エロゲ業界団体による自主規制の信用が揺るがされ、法律や規制派による介入の隙を与えてしまいかねない)」
「「本物であること」は本質か?(積み上げられる桐乃のエロゲが本物のエロゲである必然性について)」

 2ページのコラムという限られた枠で説明されている訳ですが、 ここまで色々とウチが考えたりしていた論点がいかに長々しい無駄積みであったのかがよく分かりましたorz
 いくつか今回の問題で挙がっている論点が触れられていないけれども、上記の2点については簡潔に記されてるかなと思います。


『俺妹』はアニメも原作小説も楽しく読ませてもらってます。小説はパソ机に全巻積み置かれているし。 あやせのヤバサは良く判った(笑)。ウチ的にはちょっと素の沙織に触れそうになりましたが黒猫派です。
 しっかり嵌りましたよ。まったくもう、主題歌「irony」は最近まで毎日の通勤中に何度も聴いてましたし(ヴォーカリストとしてClariSにも注目中) 1月に発売のPSP版ゲームも予約しました、限定版を(爆死)。アニメのブルーレイパッケージまでは単価が高くて国防費から出費できないんですけどね(涙)。
 原作第8巻、早く読みたいですな……。

(2010年11月30日 13:26 残していた案件はこれで一つ処理できた……かな)



|

« 『毛枯れ翼のユースティア』(テックジャイアン・PUSH! 1月号のオーガスト関連情報) | トップページ | Rhinoの思い浮かんだ『2010年の重大エロゲニュース』 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/137013/50172510

この記事へのトラックバック一覧です: アニメ『俺妹』におけるエロゲメーカー協力問題の論点(訂正・加筆修正版):

« 『毛枯れ翼のユースティア』(テックジャイアン・PUSH! 1月号のオーガスト関連情報) | トップページ | Rhinoの思い浮かんだ『2010年の重大エロゲニュース』 »