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2011年1月13日 (木)

電撃文庫『神様のメモ帳』 ニート探偵は儚げな黒髪少女

電撃文庫『神様のメモ帳(6)』
著者:杉井 光さん 絵:岸田メルさん
2011年2月発売予定
■いつも思うんだけど、電撃文庫ってなんであらすじを裏面とかに記載しないのかね?

 帯に「ニート探偵」とそこで描かれる事件のあらましが書かれているから、 そこからは探偵が事件を解決するらしい、とだけは想像できるけれども。
 そして表紙には黒髪の女の子。何よりも儚げなそのイラストが目に止まってしまう。 彼女がその「ニート探偵」?

■去る12月に 2010年にウチが読んだ主なライトノベルを少しずつ書きまとめながら GA文庫『月見月理解の探偵殺人(4)』を読み終えかけていた頃でしょうか。 この黒髪ロングの子が気になる 事件物っぽいこの『神様のメモ帳』が気になると呟いたら
「神メモ」は推理モノと言うよりもアリス(ヒロイン)とナオ(主人公)のやり取りと主人公の鈍感さとアリスのツンデレを味わうものなので推理モノと肩張らずに(意訳:いいから読め)。(センセイさん)

『神様のメモ帳』は私がライトノベルで一番好きな作品です。ライノさんにも好きになって下さると嬉しいです^^推理物ですが、主人公やそれを取り巻く人物の生き様に強く惹かれました。『ニート』中心の雰囲気を、是非に☆ (カノンchさん)
という神の啓示を受けましたので、勇気を振り絞って1冊目を手にしてました (ツイッターでの記録だと12/15ごろ?)。それから12/19頃に読み始めて(違ってたらゴメン)、
第1巻読了 12/24頃
第2巻読了 元旦夜
第3巻読了 1/4晩
第4巻読了 1/8未明
第5巻読了 1/11晩
といったハイペースで読み進めて行く事に……秋頃の『俺妹』よりも読破するのが早いな(苦笑)。

 読み進めている間に2月の電撃文庫新刊告知で『神様のメモ帳(6)』が出るって情報が出てました。 ちょうどその詳細がきた……ミンさんに結婚騒動、まじかよ!?


■『神様のメモ帳』を実際読んでみて、1冊目を読み終えた辺りで思い浮かんだイメージは「ビタースィート」って感じでしょうか。
 東京都内を舞台に、主に探偵助手のナルミが事件の発端に関わり、ニート探偵アリスとナルミと「ニート探偵団」が事件を追っていくのですが、 探偵団の面々の痛快極まる行動力とか言動とか、アリスのクラッキングレベルの恐るべき情報収集力で得られた情報の断片を アリスとナルミが繋ぎ合わせて事実に近づいていくと、決まってそれまで知る由のない真実を目にする事になる。それこそほろ苦い結末。
 アリス自身も最初にこう警告してくれている、
「(探偵の)その本質は、死者の代弁者だ。失われてしまった言葉を墓の底から掘り返して、 死者の名誉を守るためだけに生者を傷つけ、生者に慰みを与えるためだけに死者を辱める」
 しかしそんなほろ苦い結末には、ラーメン「はなまる」にいつも集る面々やそこで出されるアイス、 そしてドクターペッパー中毒のアリスの照れ隠しという賑やかで甘い幸福感が添えられている。


■また、別のイメージは実写ドラマの探偵物。
『アイゼンフリューゲル』みたいにリアリティある異世界ファンタジーミリタリズムでもなく、 『死想図書館のリヴル・ブランシェ』みたいなメイドさん大活躍のファンタジーでもなく、 『化物語』や『DDD』みたいに怪異とか不可思議も存在せず、 『月見月理解の探偵殺人』みたいな閉鎖空間な雰囲気も無く、 『シュタインズゲート』や『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』みたいなアキバ的ファンタジーとも無縁。
 ラーメン「はなまる」とその周囲、高速道路の高架下道路とか、やくざや風俗店など猥雑なエリアから学校、 そのウラの寺院墓地など、大都市の一角を凝縮したみたいな場所を舞台にしています。

 登場人物もニートである事の他は、女性を口説くことに長けているヒモ・ヒロさん、元ボクサーのギャンブラー・テツ先輩、 小学生みたいな大学生でミリオタの少佐、実は手芸が得意だという任侠団体・平坂組を束ねるリーダー・四代目、 元四天王の一人だったらしいラーメン店女店主・ミンさん、探偵助手でニート予備軍扱いされている詭弁家能力ある高校生・主人公ナルミ…… アレ? 微妙に普通じゃないな(苦笑)。
 といっても昨今読んでいるラノベの中では比較的俗世的リアリティある存在のように感じられます。


■この作品は探偵が登場するのだから事件も発生します。
 第1巻は薬物事件、第2巻では謎の大金と女の子の事件、第3巻は主人公と同級生の彩夏の属する園芸部を巡る過去、 第4巻では任侠団体とその四代目の過去の因縁。どれも新聞紙面には載らないような出来事や、表に知られてはいけない出来事ばかり。 そして決してニート探偵の事件解決も知られることはない(裏社会では徐々に有名になってるっぽいけどね)。

 具体的にどういった活躍をしているのかは実際に手にとって読んでもらって貰いたい所ですが、 例え単純に見えた事件でも、そして調査していく途中で事件の結末が見えてきたって思ったとしても、 その最後には思い掛けない真相を目にすることになるでしょう。 どうして真実が事実に覆い隠されたのか。死者と遺された者の意志、望み。それら真実が記されたのも神様のメモ帳なのかもしれない。
 アリスの推理も解決に導いているんだけど……愚鈍な主人公・ナルミが意外と活躍しているんだよね(苦笑)。徐々に助手稼業に慣れてきているとは別次元で。

 それぞれの事件は個々の出来事ですが、しかしながらニート探偵団の面々の過去とも絡んでいる事もある為、 その関連性に驚かされることも結構あったりします。というかその見えない網にナルミは引っかかりすぎだ(笑)。 同級生の彩夏、テツ先輩、四代目がそれぞれ関わるエピソードが登場してますが(短編ではラーメン店のミンさん絡みも)、 次の第6巻はミンさんとヒロさんが絡むっぽい?


■リアリティを感じた事から少しだけ『神様のメモ帳』実写ドラマ化を想像してしまいましたが……、 舞台とか都心だから問題ないだろうし、 主な役者はなんとか用意できると思ったけれども、ただひとつ、用意できないものがあるって気付いてその想像はあえなく霧散してます。 それは何って? アリスですよ。永遠に成長しないかのような彼女だけはそう易々と演じられる人はいないんじゃないだろうか?


■表紙を常に飾っているニート探偵・アリスの魅力は…… 探偵らしい並外れた推理力と大人びた言動とネットでの情報収集解析力といった探偵能力、 ぬいぐるみと無数の液晶画面に囲まれたベッドの上で常にある長い黒髪の儚げなパジャマ姿、 ドクターペッパー中毒、許し難いぐらい愚昧な探偵助手に対する罵声(苦笑)……といった所でしょうけど、 徐々にそれとは別に惹きつけられることに気付くハズです、敢えてココでは言わんけど。 ホント、彼女と主人公の今後の関係とか気になってしまいますな(苦笑)。

 さて、この作品ではいずれ、そのアリスについても語られるんですかね。 実家を逃げ出して教育も受けずにラーメン屋の入っているビルの一角で探偵稼業、主人公が助手としても私生活でも? 一番関わっているこの小さな女の子について。余りに儚げで、唯一リアリティさに欠けている存在の彼女について。

 ほぼ1年に1冊のペースみたいだし第6巻の次は更に先なのかもしれないなぁ。

(2011年1月13日 17:03)


※記事を挙げた後になって、『神様のメモ帳(6)』の表紙が公式ページに挙がってる事をツイッター上で知りましたが ……メイド服姿でランプを手に夜道に立つアリス……作中のワンシーンを指すんだろうか。5巻までもそうだったけど、 この表紙絵もスッと姿が消えてもすぐに気付かないくらい、儚げだよなぁアリスは。

(2011年1月13日 22:35)


※作者・杉井 光さんの公式ページ「NEET TEEN」で、 『神メモ』表紙絵などのQ&Aが掲載されてます。

(2011年1月13日 23:50)



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