『王立宇宙軍』、テレビ初放映から33年目の到達点
自分にとってのすべての始まりは劇場公開時(1987年)ではなく、中学時代に金曜ロードショーで放映された時(1989年3/24らしい)でした。という事で今年2022年は劇場公開から35周年に当たるのですが、自分自身は33年となります。
それから何度も何度も『王立宇宙軍』を見てきたので、実のところ、一番最初の感想のようなものは上書きされ過ぎて記憶に残ってないです。ただ、TV放映を見た時の衝撃の大きさは、今も手元にある関連物のほとんどをその頃に買い揃えていて、ほぼ手放していない事とかから伺えると思います。
〇CD 『オネアミスの翼』オリジナルサウンドトラック
〇CD 『オネアミスの翼〈イメージ・スケッチ〉』
〇小説『オネアミスの翼 王立宇宙軍』I・II 著:飯野文彦
※この辺りは広島市内にあったアニメショップ「アニメージュスタジオ」(コミコミスタジオ 2019年9/16閉店 広島コミコミスタジオの履歴と閉店)の、今はかつ丼の松のや紙屋町店になっている敷地にかつてあった店舗で購入した記憶があります。CD2種類がワンパッケージになったソフトもそこで目にしてましたが……サントラ完全版じゃなかったので手にしなかった……。
※色々と日焼け気味になってる手持ちの小説版は劇場版と色々とストーリーが違いまして……まずは宇宙パイロット候補が二人!! そしてシロツグを襲う暗殺者は実は宇宙軍の仲間の一人……とか。久しく読み返してないので、これを機に時間を見て読み返したいです。
〇劇場パンフレット
※これはいつ頃の入手か不明。その誌面で初めて関連書籍の存在を知ったけど、どれも時間が経ち過ぎてて入手困難だった……今のようにネットが普及する以前で、ネット通販とかも存在せず。高校から大学生の頃だと割と古書店を巡ってたんですがそれでも見当たらなかったように思う。
※これら以外に表側が宇宙服を着てコックピットに搭乗しているシロツグの上半身が映ってるカット、裏がモノクロ刷りっぽい印刷のイメージスケッチ(空母の甲板から離陸するヘリコプター)という「下敷き」も持ってたのですが、実際に使っていてボロボロになった末にお役御免となってしまいました……。
◆テレビ放映された『王立宇宙軍』を見た時の衝撃
その衝撃がいかに大きかったかというと、その映像を後日どうやって見返す事が出来たかという経緯からも伺えるかと。友人が録画していると知り、今となってはどうやったかまでは覚えてませんが伝手を頼ってダビングして漸く映像を見返す事が出来たのでした。後にも先にもそこまでの事をした記憶はありません。
なお、TV放映版は放送時間の関係でカットされているシーンがありました。記憶にあるのは、シロツグが暗殺者の襲撃を受ける場面で、前半のマティとの逃走劇がカットされ、マティと別れた後にシロツグがひとりで駅に辿り着いて券売機の前で再襲撃を受けるシーンから始まっていた、という辺りです。
その駅構内での襲撃シーンの前にも暗殺者の追撃を受けていたと知ったのは、大学時代になってレンタルビデオで借りたVHSビデオソフトを見た時だと思う。
〇DVD『王立宇宙軍 オネアミスの翼 <通常パッケージ版>』
これは恐らく、夏コミ初一般参加の時(DC版『こみっくパーティ』発売日頃)に、秋葉原の中古DVD店を巡って『攻殻機動隊』『劇場版パトレイバー2』のDVDと一緒に購入してました。これで漸く、いつでも視聴できるアニメ作品となったのです。
◆『蒼きウル』について
PC雑誌『ログイン』に掲載されたガイナックスの広告『蒼きウル コンバットフライトシミュレータ プレーン&ミッションモジュール』でその存在を知り、それからいつ作られるかいつ作られるかと心待ちしていましたが……、最後に話題になったのもゴタゴタを起こして中でダシにされてたっぽい話が聞こえてきたぐらいで……庵野さんたちのいるカラーがアニメ特撮アーカイブ機構の管理下に置いているそうだし……いつか日の目を見れれば、と。
◆美術の課題で〈イメージ・スケッチ〉のCDジェケットイラストを描いた事
中学時代の美術の課題でCD『オネアミスの翼〈イメージ・スケッチ〉』を選んだのは、単純にそれが紙パッケージでCDの出し入れに不便だったから、というのも理由の一つでした。それだけははっきりしてるんだけど、当時一番好きな作品だったから(上記のように感想が上書きされててその原初が分からない)かもしれないし、構図とか技法が思い付いていたからかもしれない。
※その時に参考にしていたのがバンダイの「NEW DISC MAGAZINE 1990 11・12」という店頭配布の映像ソフト案内冊子に掲載された『王立宇宙軍 オネアミスの翼 メモリアルボックス』の紹介ページでした。流石に残ってないかと思ったら劇場パンフレットの間に挟まってました。
ジャケットイラストは下のタイトルはポスターカラー、夜明けの空は多分水彩で、地平線上には白を塗り重ねて朝靄を表現。その紙の上に、遠くに山がいくつも見える平原とロケットを(冬をイメージして)鉛筆画で白黒に描いたものを切り貼りしてコラージュしてます。ロケットの土台は水彩画の靄の上に直書き。当時の美術の授業で知った画法とかを色々と取り入れてみてますが……辛うじてこうして公に出来る程度でやっぱり拙いですね(苦笑)。
ちなみに、カメラ屋さんに依頼してCDジャケットサイズにカラー印刷してもらって実際にCDジャケットにして〈イメージ・スケッチ〉のCDも収めてたはずですが、今現在、CDは元の紙パッケージに返っていて、そのCDジャケットは行方不明です……。
◆『王立空軍 Another Story of オネアミスの翼』(G小隊 権太茂さん/ごんたさん)
自分も好きなゲームである『ガングリフォン』の同人連作だけでなくそれ以外のSFアニメの同人誌も出されてまして、こちらの同人誌は2017年の発行のものです。今からだと5年前で、劇場版初上映から30周年に合わせての作品でした。
宇宙軍の士官様を相手に大げんかをした挙句、空中酔いな宇宙パイロット候補を相手にしたばっかりにそれのゲロを喰らうという災難に見舞われていた王立空軍パイロットを主人公としたアナザーサイドなお話です。ロケット打ち上げを前にした共和国軍のジェット戦闘機を相手に王立空軍第3スチラドゥ戦闘機で繰り広げられる熱い空中戦もすごいですが、本作の主人公空軍パイロットの人生感が、ゲロった宇宙パイロット候補が無事宇宙に飛び立つのを見届けてから前向きに変化する辺りのドラマも見どころでしょう。
◆そして2022年の35周年、4Kリマスター版と劇場再上映。
劇場再上映自体はすでに何度かあったらしいけど全て上映後に東京など大都市だけでの上映だったので、初上映後のTV放映で作品の存在を知った自分はこれまで一度も劇場で見たことがありませんでした。
それもあって2022年の再上映も地元広島で見れるかどうか不安でしたが、無事に上映もあり、週違いの入場特典【複製】イメージボード・イラストレーション3枚セットに釣られて2度も見る事が出来ました。劇場スクリーンという大画面に大音響!! こればかりは映画館でしか味わえませんって!! それに次の機会なんてまたいつあるか分からないですし。ともかくじっくり堪能できました。
◆4Kリマスター版『王立宇宙軍』
……のBDディスクだけ見ました(ここまでのテキストを打ち込みながら)。ウルトラBDの環境がないのよね。だから劇場見終わった後も暫くは11月25日発売の4Kリマスター版を買うかどうか結構迷ってました。ですが、DVD版と多分2021年にBS12の日曜アニメ劇場で放映された時のBDダビング保存の映像しか手元にないし、BGM集(CDじゃないけど)など映像特典も多いからという事で思い切って注文してしまったのです。到着予定日の本日(11/26)は朝から気をもんでましたが届いたのは午後に入ってからでした。
特典ディスクをほぼ見た後から本編ディスクを再生して、それを横目に思い出をつらつらとここまで書き綴ってました。今はまた特典ディスクのBGM集を最初から流してます。……1曲ごとに複数枚ものイメージスケッチとか建築物模型の写真まで映像が映し出されていて、それが42曲だからすごい数のイメージスケッチなどが収められてるんじゃないかなって。ああでも、BGMは携帯音楽機でも聴きたいなぁ。
◆ウチにとっての『王立宇宙軍』は隣の惑星よりも近い世界?
初めてTV放映で見た時をどうにか振り返ると、辛うじて思い出せたのは、異なる歴史を歩んだ地球を舞台とした宇宙開発史のような印象でした。でも実際には地球とは異なる惑星が舞台だったという事は小説版の冒頭を読んで早々に正されたと思います。
ですが、劇場での再上映を見て更にお家でリマスター版を見て改めて感じたのは、異なる星の異文化というよりももう少し身近な、でもちょっと(?)違う世界だなという事でした。これはやはり……異文化的なデザインという見慣れない筈の光景を30年以上(時々ですが)繰り返し見続けていた所為なんだろうなって(苦笑)。
あと、今ここに至っても劇場公開時に出版されていた関連する書籍にあったであろう数々の設定資料を未だ目にする事が果たせていない為に、その世界を知りたいと関心を寄せ続けてきた事も、距離感を縮めていたのかもしれません。
地球とは異なる歴史(だけどそれをなぞるかのような)を持つ異世界という舞台、そこでの宇宙開発史、政治的な陰謀と戦争。その中にあってシロツグたち「戦わない」宇宙軍の面々が、シロツグの軽はずみな決意をきっかけに、目的のない自堕落な生活から本気で宇宙を目指すという青春ものなストーリー、軽はずみだった決意……可愛い子にカッコいいところを見せたいだけだった筈のシロツグがその相手であるリイクニとマナとの交流の中で少しずつ心境を変化させていくドラマ……これらが凝縮された作品は、とりあえず手元にBDソフトが届いたことですし、これからまた時々見返していくんだと思います。
ここまで感想みたいなの書いている間に再生している……BGM集。いやもう聴くだけでシーンを思い出す筈なんだけど一緒にイメージイラストとか実際の背景画(天文台の絵が劇場のだったな)が映し出されて更に思い起こされてしまう。〈イメージ・スケッチ〉収録の「PROTOTYPE C」の曲をベースにした宇宙軍のロケット製作活動とかのいろんなアレンジが聴けますし~。サントラだとチャランポランな「無駄」って曲でしか収録がないんですよね。あと、「メインテーマ」のアレンジで空軍機で空を飛ぶシーンとか、空母から離陸したヘリから夜景を眺めるシーンの曲もなんか夢があるような幻想的な曲だから好きだったんです。暗殺者襲撃の場面だけで3つの展開シーン毎に曲があるとか今回初めて知ったし。いやはやもう、これは完全版サントラを出すしか!!(超願望)
と、ここまで一度書き綴った後、風呂に入ってた時にふと考えたのですが、この作品ってシロツグにとって「折り合い」のつけ方が何度も変化しているような気がしました。
自分の成績では空軍は無理だから宇宙軍に入った事、宇宙軍で適当にやっている事なんかは妥協して折り合って人生を選択しているし、聖職者として生きるリイクニを相手に現実と「折り合う」事を説いてさえいました(そして怒られる)。ですが、リイクニたちの細やかな住まいが土地の権利を持っていた電力会社に破壊された事、ロケット造りの棟梁グノォム博士の事故死、更には王国のロケット計画を妨害する為に共和国が送り込んだ暗殺者に襲われそうになった事で「折り合えない」現実に直面し、共和国の軍事介入で打ち上げが中止に追い込まれた時、「俺は、まだやるぞ。死んでも上がってみせる!」と遂には「折り合う」事を拒絶します。それ以外にも社会の現状を直視するようになって「折り合えない」現実に気付いた事とかリイクニの持つ経典を真剣に読み始めた事とか、結構いろんな場面で「折り合い」との関わり方が問われていたのかもしれない。
(2022年11月27日01:17)
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